RPG-7

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2010/01/12(火)
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RPG-7 (ロシア語: РПГ-7)は、ソ連の開発した携帯対戦車兵器。安価、簡便であるため途上国や武装組織が好んで使用し、紛争では必ずと言って良いほど目にする。

概要

RPG-7 の名称は、ロシア語で「携帯式対戦車擲弾発射筒」を意味する「РПГ-7:Ручной Противотанковый Гранатомёт(ルチノーイ・プラチヴァターンカヴィイ・グラナタミョート)」の英字綴りである「Ruchnoy Protivotankoviy Granatomet」の頭文字をとった略称から作られた。

英語の訳表記では「Rocket-Propelled Grenade(ロケット推進擲弾)」と綴られ、必ずしも間違いとは言い切れないが、このRPG-7は、弾体である対戦車擲弾を「装薬によって砲身から射出すると共に後方にも装薬の燃焼で発生したガスを噴射することによって反動を相殺し、発射後に弾体の固体ロケットに点火して飛翔させる」という機構であり、厳密には「グレネードランチャー」もしくは「(携行)ロケットランチャー」ではなく、「無反動砲」の種別に分類される兵器であるといえる。

RPG-7は、構造単純、取扱簡便、低製造単価、M72 LAWやAT4などの使い捨ての物を除けば対戦車兵器では比較的軽量(それでも発射器と弾頭で10kgと、やはり重いものであるが)、しかもそのわりに高い威力を発揮するため、アサルトライフル・AK-47と同じく発展途上国の軍隊やゲリラなどにより幅広く使用されている。少なくとも40カ国が正規に採用しており、様々なモデルが9カ国以上で生産されている。特にこの兵器によってゲリラやテロリストが容易に戦車をも破壊しうる火力を持つ様になった事が、いわゆる低強度紛争(LIC)の活性化の要因の一つとなっている。

イスラエルのメルカバ Mk.4やイギリスのチャレンジャー2など、対成形炸薬弾防御に特化した戦車以外がRPG-7の成形炸薬弾を側面から受けると行動不能になる程の威力がある。ただし、発射時の後方噴射(バックブラスト)が激しく、射手の位置が判明しやすいため、別名「スーサイドウェポン(suicide weapon,自殺兵器)」と呼ばれる(とはいっても大抵の歩兵が携行する対戦車兵器は発射時にほぼ位置を暴露してしまうが)。これにより射手は反撃を避けるため発射後速やかに移動することが必要である。日本においては、九州南西海域工作船事件において北朝鮮工作船乗組員がこれを使用したため有名になった。また、防衛省でも少数を研究用に購入し、自衛隊の装備品に対する各種試験に使用している。

開発

歩兵用の軽対戦車火器としては、アメリカ軍のバズーカ砲に代表されるロケット・ランチャーと、ドイツ軍のパンツァーファウストに代表される擲弾発射器とがある。RPGは、第二次世界大戦末期にドイツ国防軍が開発したパンツァーファウスト250を発展させたものである。当初量産されたRPG-2は外装式擲弾を発射する無反動砲であった。これを発展させたRPG-7では、砲弾にロケット推進機能を追加して射程の延長と命中率の向上を実現した。

運用

1961 年以降、ソ連軍に小隊向けの対戦車兵器として大量に配備された。空挺部隊にはパラシュート降下時の邪魔にならないように砲身を前後に分離可能なRPG-7Dが配備されたほか、1970年以降改良型のRPG-16が配備されている。

東側諸国や共産ゲリラ組織にも大量供与され、ベトナム戦争において北ベトナム軍やベトコンはRPG-7をアメリカ軍や南ベトナム軍の戦車や装甲車、ヘリコプター、陣地などの攻撃に使用したが、ベトナム戦争はゲリラ戦主体で戦車に活躍の余地があまりなかったため、対戦車火器として注目を集める機会には乏しかった。

1973 年の第四次中東戦争においては、エジプト軍がRPG-7を9M14マリュートカ(AT-3サガー)対戦車ミサイルとともに有効に活用してイスラエル軍の戦車を多数撃破した。このため西側諸国にも対戦車火器としての威力が広く認められ、損害を受けた側であるイスラエル軍でも使用された。

中華人民共和国では1960年代にRPG-7をリバースエンジニアリングして、デッドコピーの69式ロケットランチャー(69 式火箭筒)を生産している。さらにソ連自身もワルシャワ条約機構加盟国などにライセンス生産を認めたため、AK-47と同様に世界中に拡散した。この結果、ソ連のアフガニスタン侵攻やチェチェン紛争においてソビエト連邦軍・ロシア連邦軍が(外国製の)RPG-7によって攻撃されるという皮肉な状況をもたらしている。

朝鮮民主主義人民共和国でも朝鮮人民軍に広く配備されていると考えられており、九州南西海域工作船事件では、海上保安庁の巡視船に2発のRPG-7が発射されたことが赤外線映像から判明している(ただし、揺れる海上からの射撃であったため、 2発とも命中していない)。その後、不審船の沈没地点周辺から「68式7号発射管」とハングルで刻印された発射機が引揚げられ、海上保安資料館横浜館で不審船と共に展示されている。現代でもAK(カラシニコフ突撃銃)とともに世界各地の紛争で頻繁に使用されている。

現在のロシアで生産されているモデルは、成形炸薬弾・タンデム成形炸薬弾・破片榴弾・サーモバリック弾の4種類の弾頭を発射可能であり有効射程距離を550~700mに延伸したRPG-7V2と、空挺部隊向けに砲身を前後で分割可能なRPG-7D3である。これらは2001年からロシア連邦軍への配備が始まっている。

2009年、アメリカのAirtronic USAが、アメリカ軍向けにRPG-7のコピー(ロシアからの製造ライセンス取得の有無は未確認)を製造し発表した。このアメリカ製RPG-7ともいえる対戦車火器は、トリガーグリップがM16/M4カービンのものに変更されているほか、ランチャーの左右上下にピカティニー・レールが装着されている。なお、初期装備であるアイアンサイトやM4カービン用のフォアグリップやストックはピカティニー・レールに装着されている。

設計

発射器は、単純に加工された鋼鉄の筒であり、直径40mm、全長953mm、重量7kgである。中央部分は木材もしくは耐熱性プラスチックに覆われており、兵士を発射時の熱から守るようになっている。尾部はラッパ状に広がっており、発射の際のバックブラストから操作している兵士を守り、反動を相殺させる役割を持っている。

一般的に光学照準器(PGO-7、2.7x)が用いられるが、これは開発当時のNATOの戦車の車高を2.7mに仮定して測遠、横方向への移動目標を狙うことができるように照準目盛が設定されており、これに当てはまらない目標に対してはあまり役にたたず、移動目標に対する偏差照準も面倒であるため、本体に固定装備された簡易なアイアン・サイトを使って300m以内から射撃することが好まれる。他、受光型赤外線式の暗視照準装置も提供されている。また中国製の69式では軽機関銃のようにバイポッド(二脚)やキャリングハンドルが追加されて実用性が増しており、本家のロシア製でもバイポッドが装備されるようになった。

弾頭

弾薬は弾頭とロケットブースター、発射器から撃ち出すための装薬、安定翼で構成される。弾頭とロケットブースターは一体化されており、装薬は折り畳まれた安定翼の周囲を取り囲むように配置されている。装薬前端と弾頭後端にはねじが切られており、弾頭と装薬は分離して運搬するが、装填前に装薬+安定翼を弾頭にねじ込んで固定する。

弾頭本体の直後に配置された小型の安定翼のようなものはロケットブースターの噴射口である。後方の大型の安定翼は砲身から射出された直後に風圧で開いて弾頭の直進を助け、さらに後方の小型安定翼は弾頭の飛翔を安定させるためのゆったりした回転を与える。

弾頭本体に誘導装置は無く、移動目標に命中させるには熟練を要する。引き金を引くと、クルップ式無反動砲の原理により撃ち出された弾頭は115m/sの速度に加速、10mの距離で固体ロケットに点火し、500mの距離まで最大295m/sに加速し、その後は慣性によって飛翔する。

確実な命中を求めるためには可能な限り近距離で射撃することが重要である。熟練した兵士なら150m以上、条件次第では300mの距離で命中させることができる。アフガニスタンの兵士は80m以内に接近して射撃することで確実に標的を撃破した。ただし、この距離は敵側から見ればどんな武器も最大限に活用でき、また随伴する歩兵部隊も存在するため、必中距離から射撃できる事は稀であり、命中精度に関していえば非常に悪い。

最大射程は時限信管により決定され、900mから1,100mの間であるが、一般的には920mである。この機能は中国製では省略されており、自爆せずに失速するまで飛び続ける。ヘリコプターのような目標に対して直撃せずとも損傷を与える為に、時限信管を短く設定して発射することもできる。

なお、多くの場合、こうした対空攻撃の際には発射機の後ろが斜め下に向く事から、前述した後方噴射(バックブラスト)が砂塵を巻き上げて敵に発見される危険性が増す。また、地面に当たった熱風が射手の足に吹きつけ、火傷を追う危険もある。 そのため、実施の際にはあらかじめ地面に後方噴射を逃がすための穴を掘り、さらに、そこへ折り取って来た樹木等を覆せるなどして、この危険性を低減させる工夫がなされる事もある。

弾頭には2種類用意されており、非装甲車両や人員といった軟目標には通常の榴弾を使用し、装甲車両やトーチカには成形炸薬弾を使用して破壊する。またそれ以外にも照明弾やスモーク弾、非致死性化学弾、さらに焼夷弾といった様々な特殊弾頭が用意されている。ロシアや旧ワルシャワ条約機構所属の国家、さらに中国ではサーモバリック(熱圧)弾頭も開発されている。サーモバリック弾頭とは、トンネルや家屋に有効な爆発時の圧力で攻撃する弾頭である。

近年では一般的になった爆発反応装甲(ERA)を貫通するために成形炸薬弾を前後に2個搭載したタンデム弾頭も開発されており、中でもロシア製のPG-7VR弾頭はその威力の高さを実戦で証明している。
イラク戦争中の2003年8月28日のバグダッドにおける戦闘において、第1機甲師団隷下の第70機甲連隊第2大隊に所属するM1A1エイブラムス戦車の車体右側面部のスカートアーマーにPG-7VR弾頭が命中、鉛筆ほどの太さのメタルジェットが装甲や砲塔バスケットを貫通して車体左側面部にまで到達し、戦闘不能となるほどの損害を被った。ただし当該車両は誘爆や火災などの致命的損傷を負うには至らなかったため、回収後に修理され前線に復帰している。

さらに詳しく → RPG-7  対戦車火器  無反動砲



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(2008/08/01)
床井 雅美

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