L85(SA80)

航空兵器・陸上兵器・海上兵器・銃器・戦争・紛争・歴史・革命・テロ・事件・軍事動画・ニュース(報道)・社会情勢・政治運動・評論・講演など、軍事関連の情報を公開しています。宗教・思想・経済・政治的なものも少しアリ

広告
2010/01/07(木)
*



L85イギリスアサルトライフルイギリス軍のSA80ファミリーのうちの一つである。海外ではネパールとジャマイカで採用されている。

概要

1985 年、EM-2 ブルパック・ライフルをベースに、L1A1及びL2A3と更新する形で採用された。ブルパップ方式を採用し、発射機構はの最後部に収められ、全体のコンパクト化を図っている。また本体はプレス鉄板、ハンドガードやグリップ部分はプラスチックを使用し、優れた生産性・耐久性を持ちながら生産当時としては低コスト化に成功していた。現在では、頑丈なスチールを多用した事が祟って重量は約5Kgと、FA-MASやステアーAUGなどのブルパップ型アサルトライフルは勿論、一般的なアサルトライフルよりも重い。

メカニズムはAR-18をベースとしており、M16用のマガジンを使用できる。また命中精度を高める為に取り外し可能なスコープサイトを備えている。スコープサイトを使用しない場合は固定式リアサイトを搭載した着脱式キャリングハンドルを装着する。 本来は5.56mm弾を参考に開発した独自規格の4.85mm×44または4.85mm×49弾を使用する予定だったが、結局は5.56mm×45NATOを採用した。但し後述の通り、現在のSA80は寸法が同じ専用弾を使用する。

イギリス軍に配備されてすぐに多くのトラブルが発生し、幾多の大小規模の改造を経てL-85A1となる、しかしそれでもトラブルは収まらず80カ所を超える改良を施しSA80という名称になり、それに加えて専用の弾薬(寸法はNATO弾と共通規格ではある)を使用するにもかかわらずトラブルは収まらなかった。クウェートで行われた試験では平均99発毎に作動不良を起こしたとのことである。その為、陸軍特殊部隊SASではL85ではなく、アメリカ軍のM16シリーズ、或いはそのライセンス生産品であるカナダのディマコC7を使用していたことが知られている。配備された部隊ではバッキンガムでの衛兵任務の際も使用し、伝統的な衣装に近代的なL85を抱えた姿で警衛にあたっている。

動作不良の原因

SA80がジャムを起こす原因の存在は少なくない。SA80のボルトにはコッキングレバーが直接取り付けられており、これが発射の際に激しく前後運動する事になる。そして、SA80のレバーは同じような構造のAK-47と違って配置も悪く、排出された薬莢がこのコッキングレバーに当たってしまう。その結果、排莢スピードが妨げられるだけでなく、薬莢が排莢口に挟み込まれ、最悪孔の中に引き戻したりしてしまう。当然、それは作動不良を引き起こす。

また、マガジンの信頼性が非常に低かった。SA80のマガジンは弾薬を押し出すためのスプリングが弱く、殆どの兵士は装填を28発以下に留めていた。それでも弾薬は途中で止まってしまい、装填不良の原因となった。また、マガジン挿入口を広く取ったのは良いが、マガジンキャッチのスプリングが貧弱で、マガジンが自重によって滑り落ちてしまう事もあった。

この結果、発射と同時に装填と排莢がどちらも正しく行われず、弾薬が薬室に送り込まれる段階で噛み合って止まってしまったり、或いは薬莢が機関部の中に戻ってしまったりして、作動不良を引き起こした。コッキングレバーを動かしたりマガジンを入れ直して撃てれば良し、フィールド・ストリッピングで直ればまだマシ、最悪機関部が破損して工場送りになる事も珍しくなかったらしい。

SA80の大改修

SA80A1はそれまでに幾多の改良を加えられたにもかかわらずトラブルはなくならず、これらの致命的なトラブルを解決するため、1991年に軍用の開発・製造で実績のあるヘッケラー&コッホ社(H&K)が改修作業を請け負うことが決定した。H&Kがイギリスの航空機メーカーであるブリティッシュ・エアロスペースの一部門、ロイヤル・オードナンス に買収されていた時期である。

H&Kが改修を施した200挺のテストは成功裏に進み、9200万ポンド(約150億円)を投じて20万挺のSA80A1を改修する契約が結ばれた。これは1挺あたり実に7万5千円にもなり、ドイツ連邦軍等で採用されているH&KのG36ライフルの新品1挺とほぼ同じ(無論、イギリスがG36を輸入、或いはライセンス生産した場合に掛かる費用などは除く)額になる。

改良箇所は以下の通り。

* ロッキングシステムのヘッドにエキストラクターネイルを追加。
* ファイアリングピンをややテーパーのついた形状に変更。
* コッキングハンドルの変更による薬莢の戻りを解消。
* ガスシステム周りをよりクリアランスの大きなものに。
* HK416と同じような信頼性の高いスチール製マガジンの採用。

また、作動不良の解消とは関係ないが、ライフルグレネードからの転換として、AG36を使用出来るようになった。装着の際、SA80のハンドガードはより前方に延長した形のものに換装される。

その他にも様々な改良を加えた結果、作動不良の回数は劇的に低下した。それでもライフルそのものの形状に由来する使い勝手の悪さは変わっていない。今までに比べれば大分良くなったという現場の兵士の声はあくまで比較によるものであり、実際は一世代前の軍用小の世界基準にやっと近くなった程度でしかないという。こうした改修の結果SA80A2ができた。これをイギリス軍はL85A2として採用している。余談だが、2009年ごろからL85のハンドガードにピカティニー・レールがついた。

SA80シリーズ

SA80とは Small Arms 1980's から由来している。一種のファミリーネームと考えることもでき、重要部を共通設計として、次のような派生形が開発された。

* L85 IW (Individual Weapon) - アサルトライフル(当項目)

* L86 LSW (Light Support Weapon) - ブレン軽機関の改良型L4の後継として開発された分隊支援火器だが、諸問題によりミニミ軽機関に更新される。その後、遠射能力と精度の高さからマークスマン・ライフルに変換された。

* L22 Carbine (別名 L85A2, SA80A2 Carbine, SA80K) - 少数生産されたカービンモデル。東南アジア地域の立地条件に合わせて開発された。短縮されたバレルのせいでハンドガードは切除され、代わりにフォアグリップを標準装備する。

* L98A1 CGP (Cadet General Purpose) - 訓練用。セレクターレバーがなく、ガスシステムを排除しており、弾薬を発射するにはグリップ前方まで引き伸ばされたコッキングハンドルを引く必要がある。ボルトは後ろに引かれた後にスプリングで閉じられるので、厳密にいうとボルトアクションではない。

* SA80.22LR - .22LR弾を使用するSA80。

仕様

種別 アサルトライフル
口径 5.56mm
銃身長 495mm
ライフリング 6条右転
使用弾薬 5.56mm NATO弾
装弾数 30発(箱形弾倉)
作動方式 ガス圧利用、ターンロックボルト
全長 785mm
重量 4,980g(弾倉に30発装填、4×SUSAT装着時)
発射速度 610~775発/分
銃口初速 940m/秒

さらに詳しく → L85  ブルパップ方式



銃器使用マニュアル 愛蔵版銃器使用マニュアル 愛蔵版
(2003/11)
カヅキオオツカ

商品詳細を見る
関連記事

タグ : アサルトライフル L85 ブルパップ方式 SA80 イギリス

この記事へのコメント
URL:
Comment:
Pass:   
この記事のトラックバックURL
http://gunjimania.blog108.fc2.com/tb.php/873-10e31b9f
 この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | Copyright © 軍事マニアクス - Military Maniacs All rights reserved. | 

 / Template by 家族 ペット 自分史 ブログ