タボール TAR-21 (IMI Tavor TAR-21)

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2012/01/22(日)
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タボール TAR-21 (Tavor TAR-21) は、イスラエルIMI社の小火器部門が最初に設計し、その後小火器部門が分離独立した民間器メーカーであるIWIイスラエル・ウェポン・インダストリーズ)社がプロモーションする、元はイスラエル国防軍向けに開発したブルパップ方式アサルトライフルであり、同社の主力製品のひとつである。

タボール」とは、旧約聖書にも登場し、新約聖書においてもイエス・キリストが昇天したと伝えられている、ガリラヤ地方のタボール山(Mt.Tavor、Taborとも表記されるが、これはヘブライ語の VとBはほぼ同じ発音であることに起因する。「Tavor」の意味は「変貌」)から取られた。機種型式名及び通称として使われる「TAR-21」とは「Tavor Assault Rifle - 21st Century=21世紀のタボールアサルトライフル」の略である。

ちなみにタボールと同時期に登場したアサルトライフルには、21世紀を目前に設計されたことから、タボールと同様に次世代の軍用小という意味合いで「21」を付けたアサルトライフルが数種存在する。有名なものでは、シンガポールSTK社設計のSAR21、イスラエル設計のガリル・アサルトライフルをライセンス生産している南アフリカデネル・グループ・ベクター設計のCR21がある。

開発された背景

タボールが設計された背景には、アメリカ軍から格安で購入して軍に支給されていたM16A1、CAR-15、そして軍の一部に支給されていたガリルを置き換えることと、輸出用が主体として設計されていたガリルが旧式化したことにある。

このため、イスラエル国防軍の近代化と現代の兵器マーケットに対応するため、新型アサルトライフルの開発をイスラエル軍はIMI社の小火器部門(当時)に命じた。その後、IMI社のデザイナーであったポーランド出身のザルマン・シェベスを開発責任者とするチーム「フォームテック」が組織され、1994年より試作品「AAR90」として5世代に渡り研究開発が続けられた。

当時のイスラエル軍が主として提示した“車両からの出入りや市街戦を容易に行うべく全長は短く、だが平坦な中東の戦場に対応するため射程や威力は十分に確保する”と言う条件を満たすライフルはブルパップ方式であるとチームは判断し、彼らが他の各国のアサルトライフルを比較・研究して開発し、1997年に基礎を確立させた結果が、この「タボール」なのである。完成型は1999年のミリポルで初公開された。

特徴・基本仕様

ステアー社で設計されたAUGの初期型のストックにハンドガードを追加し、なおかつ「ごつく」したような、イスラエル製らしい外見をしたブルパップ式のスタイルである。グリップ上部にはバレルを冷却させるための通風孔がある。肩付けする部分のバット・プレートは開閉可能で、内部にあるボルトを取り出して掃除することが可能である。コッキング・ハンドル(手で操作して弾を薬室に送り込むための可動式取っ手)部分はバレル冷却用の通風孔を兼ねている。このコッキング・ハンドルは独立式であり、ボルトの動きとは連動しない為、射撃中に動く事は無い。バレルがレシーバー以外の部位には直接接触しない「フリー・フローティング方式」を採用し、射撃時の命中精度の安定化やフルオート時のバレル加熱によるストックの溶け出しを防止している。

外観のストックにはAUGと同様のセンサテック(合成樹脂)を採用し、内部パーツにはセンサテックとアルミ合金を多用している。これにより後述するスタンダード仕様TAR-21では約2800g(全オプション・パーツ無し)というアサルトライフルでは1、2を争う軽さを誇り、腐食にも強い。ただし、主要機器があるストック後部に重量が集中しているため、バランスが後方寄りになり構え時の安定性が多少悪い(ただし、これについては後述のバイポッド(二脚)、M203・40mmグレネード・ランチャーを取り付ければ若干改善出来るらしい)。

外部デザインに関する問題として、特にブルパップ方式でのショルダーストック部分は主要機器の集約する場所だけあって大きくなりがちで、見た目としても重く感じてしまう。そこで開発総責任者のシェベスは、ストック全体に段差やラインを多めに彫り込んだ独特なデザインで、ライフル自体を小さく見せて視覚的に解決する事とした(それでも実際に後方寄りな重量バランスの為、ユーザーの判断により前述の方法を取られる事がある)。

現行モデルのハンドガードには、握りやすさを改善するための盛り上がった線が六本追加された他、軽量化対策としてグリップにも溝が入っている。最近のモデルではピカティニー・レールを標準装備した改良型ハンドガードが供給されている。スタンダード、グレネードランチャー、コマンド、シャープシューティング仕様のタボールのストックは共通だが、マイクロ仕様(X95)のみ様々な条件を前提とするため別デザインの物となっている(後述するマイクロ・タボールMTAR-21の項目を参照)。

ガリルとは違い、作動・閉鎖機構はAR-18と基本的には同じだが、AK-47と同様に2本のボルトロッキング・ラグで閉鎖とする、ガス・オペレーション/ショートストローク・ピストンヘッド/ロテイティングボルト・システム(短ガス・ピストン方式)を採用している。しかしロッキング・ラグ自体の形状はAR-18やM16系と同一であり、本来7本あったロッキング・ラグを2本に減らす事で、従来のAR-18やM16系よりボルト作動の確実性やクリーニングの容易さを更に高めたものとなっている。AKコピーでロングストローク・ピストンのガリルやリュングマン方式のM16とも異なる、AK系とAR-18両者の利点を混ぜたような独特の作動・閉鎖機構により、作動は確実だが命中精度に難があったとされるガリル(AK)以上の精度と、命中精度は良いが異物に弱めなM16より強靱で確実な作動の双方を実現した。

だが、工作精度や製造ノウハウの安定していない最初期の試作モデルでは、ガリルより粉塵に弱いとされるM4A1と比べても作動不良が続出したらしく、一度は1998年に行われたイスラエル軍新規制式突撃トライアルにおいて落選してしまった。しかしテストの結果を反映させ、また工作精度やノウハウそして生産ライン確立の過程で徹底的に改良され、ようやく完成した量産モデルの性能がイスラエル軍に認められて採用された(ちなみに、このような完成までの経緯はウージーやガリル、ネゲヴ等、IWI社製器全般に共通する事柄である)。

口径5.56mm×45(SS109)系列の弾薬を使用し、基本的にはM16系(STANAGタイプ)の30発マガジンを使用するが、アダプターを併用することにより、ガリル用の35発マガジンも流用できるなど、既存アサルトライフルとのマガジンの共通性を図っている。理論的にはM16用100発ドラム・マガジンやガリルARM用50発ロング・マガジンも装着することは可能ではあるが、ブルパップのデザイン上、構えや安定性が悪くなるため推奨されない。

ブルパップ式のデザイン上、アイアンサイト(金属式照準器)で照準を付けることが難しいので、タボールにはドットサイト(光学式照準器)が標準装備としてバーチカル・グリップ上部の通風孔の上に装着可能であるが、後に非常用アイアンサイトも追加された。これらについては後述する。ブルパップ式は基本的に薬莢の排出方向で右利きか左利きかで改造を施さなくてはいけないが、タボールはコッキング・ハンドルを反対側に付け変え、排出しない排莢口を塞ぐといった最小限の改造で両利き対応としている。なお、コッキング・ハンドルの無い部分にはピカティニー・レールが装着可能で、様々なオプション機器を取り付け可能である。

フラッシュ・ハイダー(消炎器)にはライフル・グレネード、サウンド・サプレッサー(サイレンサー、減音器)が取り付け可能である。ハンド・ガードは取り外し可能。取り替えて専用のオプションを取り付けることが出来る。これについても後述する。

なお、2009年度のIWI社の大規模な方針転換およびカタログリニューアル計画の一つとして、タボールの一種として開発されたが特異な位置付けにあったマイクロ・タボールMTAR-21をX95に改称、派生の別モデルとして完全に独立させた(後述)。

タボールのバリエーション

タボールには使用目的により、以下の五種のバリエーションが存在する。

スタンダードTAR-21

後述するマイクロ・タボールMTAR-21(X95)とシビリアン・モデルを除く全てのタボールの基本形。後述のコマンド・タボールCTAR-21、シャープシューティング・タボールSTAR-21とストックや基本部品等は共通で、この三つを総称し「タボール21シリーズ」とも呼ばれる。

全長720mm、バレル長460mm、ライフリングは6条・7インチ右一回転。重量は前述の通りで約2800gだが、基本オプションを追加すると約3635gとなる。口初速は910m/s。

ストックのカラー・バリエーションはオリーブドラブ、イスラエル・グリーン、ブラック等がある。 タボール21シリーズには専用のドットサイトとして、EOテック社のサイトとデザインがよく似たITL社製のMARS(マーズ)サイトがある。これは真中に赤い光点を表示してそれを照準とするレッド・ドットであり、レーザーサイトも付属していたが、最近ではMARSより安価なメプロライト社のM21等、別のサイトを取り付けている場合も多い。

ドットサイトを標準の照準器としているものの、照準器の故障や電池切れ等トラブルの際にのみ使用する非常用アイアンサイトも存在する。ハンド・ガード上部の通風口を兼ねた部分にある折りたたみ式フロントサイトと、照準器取付け部の真下にある折りたたみ式のリアサイトがそれである。基本的にリアサイトは照準器を外さなければ使用出来ないが、前述のMARSサイトには一体成形の簡易的リアサイト用途の溝が上部に存在し、これと組み合わせる事でアイアンサイトとすることが出来る。

サイト取り付け部の後ろには、専用の暗視スコープがねじ込み式で取り付けることが出来る。そのため、ドット・サイトと組み合わせて、暗闇でも容易に照準を定めることが出来る。

ハンド・ガードを取り外し、アメリカ軍等が制式採用しているM203 グレネードランチャーを装着可能であるが、ランチャーのバレルが長いため、バランスがあまり良くない。この箇所は今後改良される可能性がある。ちなみに、暗視スコープ用取り付け部に専用のランチャー用サイトを取り付けられる。他に、後述のSTAR-21用バイポッドを取り付け、簡易的な軽機関としても利用できる。

最近ではTAR-21を更に発展させた「タボール2/タボールOICW」なる最新鋭の全天候対応型ドット・サイトを取り付けたモデルも登場している。

2010年、装甲車両の防弾ガラスに小改良を施しガンポート化した上で、TAR-21を取り付けポートガンとするための専用装着パーツも公開された。

グレネードランチャー・タボールGTAR-21

M203を取り付けたTAR-21の名称。本来「GTAR-21」は非公式な通称であまり一般的ではなかったが、2009年度からIWI社の方針転換により、正式な名称となっている。

全長の長いM203を取り付けた際のバランスが良くない点を改善すべく、2010年からM203より多少短いブルガリアのアルクス(Arcus)社製40 UBGLも新規オプションとして追加された。

コマンド・タボールCTAR-21

スタンダード仕様よりバレル長が80mm短い380mmの長さのバレルを装備したカービン(騎兵銃)・モデル。全長は640mmで、重量はTAR-21よりも軽い2700g(基本オプション無し、オプション取り付け時3535g)、銃口初速は890m/sである。

全長が短く小回りが利くため、メーカーは落下傘兵、戦車兵、特殊部隊向けとしている。イスラエル軍では、このCTAR-21の方がスタンダード仕様より多く配備されている。

ディスカバリーチャンネルの「フューチャー・ウェポン・21世紀 戦争の真実」(en)では、ナビゲーターのマック(en)がCTAR-21をイスラエル軍の施設でテスト射撃し、300m先の標的の頭と肩に命中させている。

シャープシューティング・タボールSTAR-21

スタンダード仕様のハンド・ガードを前述のバイポッド付きハンド・ガードに取替え、ドット・サイトの代わりに各種狙撃用照準器を取り付けるためピカティニー・レール付きとしたタボール21シリーズ中の簡易狙撃用モデル。バレル長と銃口初速はTAR-21と同じ。様々なオプションを取り付けているため、3670gとタボール21シリーズの中では一番重い。分隊狙撃手向きモデルで狙撃には適しているものの、5.56mm×45の有効射程は200~300m前後なので、あくまで「簡易」的に使うのが基本であろう。

マイクロ・タボールMTAR-21(X95、ジッタラ)

MTAR-21はTAR-21の設計を元に、サブマシンガン並みの長さを実現したモデル。タボール21シリーズとは若干異なった形状のストック、ハンド・ガードからグリップ上部に移動したコッキング・ハンドル、専用サウンド・サプレッサー取り付けを前提とした広い銃口付近の開口部や口径9mmサブマシンガン・モデルの存在(後述)など、他のタボール21シリーズとは異なる部分が多く、メーカーのオンライン・カタログの同じアサルトライフルのジャンルでも他のモデルと区別して扱われている。

2009年におけるIWI社の大規模な方針転換の一環として、このマイクロ・モデルはX95へ改称され、タボール21シリーズとは完全に別けられ、独立した派生モデル扱いとなった。ただし基本仕様や外見は変わらず、メーカーのカタログ(一部)ではマイクロ・タボール(MTAR-21)の名称も引き続きニックネームとして併記されている。

最初期の試作型MTAR-21は、ハンド・ガードまで切り落としたような特徴的なスタイルだったが、そのあまりにも短すぎる全長からバランスが悪く、二世代目からはハンド・ガードが追加され、グリップが独自のピストル・グリップに変更された。その後三世代目からはタボール21シリーズの物に近いデザインのグリップに変更された。現行モデルではユーザーの要求に合わせて、タボール21タイプのグリップとピストル・グリップのパーツ交換が可能となっている。

銃口付近の開口部が広いことを利用して、専用のサウンド・サプレッサーが取り付け可能である。これはタボール21シリーズが汎用品を利用することに対し、IMIIWI)社オリジナルのオプションパーツであり、銃身ほぼ全体を包み隠すタイプの品である(但しフラッシュ・ハイダーは共通品なので、汎用サプレッサーも取付けられる)。

最大の特徴として、口径5.56mm×45モデルが基本だが、同社のUZI用、またはグロック・ピストル用のロング・マガジンを使い、作動方式をブローバックに変え、口径9mm×19(9mmパラベラム/ルガー)に変えたサブマシンガン・モデル、及び5.56mm×45モデルから改造するコンバージョン・キットがある。内部機器とバレル、マガジンを交換するだけなので、ストックに取り付けたドットサイト等のオプション・パーツはそのまま引き継いで使用可能な利点を持っている。口径そのものを変える機能はタボール21シリーズには存在せず、よりユーザーの要求に合わせられることも大きな相違点となっている。

5.56mm×45モデルのバレル長は330mm、全長は590mmだが、重量は2950gと意外にCTAR-21より重いのも特徴である。メーカーではCTAR-21と同じく特殊部隊向けモデルとしている。

後述のインド軍が最も購入したモデルはこのMTAR-21(X95)である。初期はIMI社(当時)から直接購入していたが、後にライセンス権を購入しインド国内での生産も開始した。このバリエーションはジッタラ(Zittara)のニックネームが付けられ、主にインド軍の特殊部隊で採用されている。

シビリアン・モデル

通称タボール・カービン。MTAR-21を元に製作されたタボールの民間販売用で、バレット社がディーラーとして米国内で販売していたが、現在は生産が中止されている。

尚、現在でも一般民間販売用としてのセミ・オートマチック仕様のタボールは存在するが、これはスタンダード仕様をセミ・オートのみにしただけで、軍・警察用モデルとほぼ変わらない外見である。カナダやヨーロッパ等に輸出されているが、アメリカでは銃規制法の関係上セミ・オート仕様であっても、輸入や一般販売は現在でも不可能である(例外として軍・警察機関向けとしてのディーラー・サンプル品は僅かながら輸入されているものの、これも一般民間市場には出されない)。

仕様

種別 アサルトライフル
口径 5.56mm
銃身長 460mm
ライフリング 6条右回り・7インチ一回転
使用弾薬 5.56mm NATO弾
装弾数 30発(箱形湾曲弾倉)
作動方式 短ガス・ピストン方式
全長 720mm
重量 2800g(オプションなし)
発射速度 750~900発/分
銃口初速 950m/秒
有効射程 300~500m

さらに詳しく → IMI マイクロタボール TAR-21  ブルパップ方式
外部リンク → IWI社 Tavorのページ



図説アメリカ軍用銃パーフェクトバイブル―アメリカは軍用銃になにを求めたか (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)図説アメリカ軍用銃パーフェクトバイブル―アメリカは軍用銃になにを求めたか (歴史群像シリーズ Modern Warfare MW)
(2008/09)
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