64式 7.62mm小銃 (Howa Type 64 Rifle)

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2009/12/12(土)
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64式7.62mm小銃(ろくよんしきななてんろくにみりしょうじゅう・英語名:Type 64 Rifle)は、主に自衛隊と海上保安庁で使用されている自動小

概要

1964年に制式採用された、戦後初の国産小である。開発と製造は豊和工業が担当し、自衛隊と海上保安庁で採用された。日本人の体格を考慮した設計となっており、命中精度を高めるために二脚を標準装備する。1984年度における製造単価は約17万円。弾倉はダブルカラム(複列)式で最大装弾数は20発。

弾薬は有事の際に在日米軍との弾薬を共用する事を考慮し、当時のアメリカ軍が配備していたM14と同規格の7.62mm×51弾を使用する。後にアメリカは5.56mm NATO弾を使用するM16を採用し、小弾の共用が一時的に不可能となったが、後継機種である89式小の開発で再び共用可能となった。この7.62mm弾の採用は、当時採用されたばかりだった62式7.62mm機関との弾薬の統一化も含まれていた。制式採用後、九九式短小銃や、アメリカ軍から供与されていたM1騎銃や7.62mm小銃M1を更新する形で配備が行われ、230,000丁以上が製造された。

後継小銃の89式5.56mm小銃の採用をもって製造を終了した。ただし後方職種や海上自衛隊、航空自衛隊の自衛装備としていまだに現役である。普通科などの戦闘職種に限れば更新がほぼ完了し、現在では海外派遣の自衛用として・海外派遣時に89式を貸し出した部隊への補充用の他には予備自衛官向けの予備兵器として補給処に保管されている。

開発経緯

前史

1950年10月、警察予備隊の発足に伴いアメリカ軍よりM1騎銃が供与された。これが警察予備隊にとって、初めての小銃となった。翌年1951年3月からは7.62mm小銃M1、1952年には増員に伴って3万5000人分の火器不足から、アメリカ側が接収していた旧日本軍の九九式短小銃が供与された。

しかし、供与されたアメリカ製の小銃は反動が大きく、九九小銃は制式型、戦時型、二式小銃などの部品が入り混じり互換性を失っていた事、.30弾薬M2を使用できるように改造した事で、その重量の軽さ(M1ガーランドに比べ12%軽い)も相まって反動が増加していた。現場レベルでは既に、「安全装置を掛けていても、引き金を引くと発火する」「発砲中に銃身が割れる」といった問題が多発していた。

1961年には検査の為に500挺の九九式が豊和工業に持ち込まれた。九九式の開発に関わった岩下賢蔵も加わって行われた検査の結果、遊底、撃針、安全子の合格点数はゼロ、尾筒は2個、撃針止バネ37個、銃として満足できるものは1挺もなかった。この結果を報告された陸上幕僚監部は、即刻射撃禁止措置をとる。

国産小銃の開発

1957年に防衛庁(当時)は、アメリカ軍から供与され使用していた7.62mm小銃M1や九九式短小銃などの後継種として国産小銃の開発を計画し、当時のNATOの標準であった7.62mm NATO弾を連射可能な新型小銃の研究を技術研究本部で開始した。また、これとは別に豊和工業でも独自に新小銃の開発をスタートさせた。開発にあたっては、日本軍が敵側の自動小銃に苦しめられた教訓に基づき、M1ガーランド、M1カービン、M14、BARのほか、ソビエト連邦のSKSカービンや、日中戦争で使用されたチェコ製ZB26軽機関銃の実物などを購入して参考にした。

開発を開始した翌年の1958年3月、ガス圧式を採用したR1型と遅延反動式のR2型が試作された。1959年4月にはガス吹き込み式のR3型が、1960年11月には遅延反動式のR6A型が完成した。1962年7月には遅延装置を搭載した豊和工業の試作小銃官I(R6B-3)型が完成した事を受け、防衛庁はR6A型試作小銃を基に官II(R6D)型と官II(R6K)型を同年10月に試作。M14小銃との比較試を行い、一部改良が行われた。豊和工業の開発した遅延装置を有する官III型が、1964年10月6日付けで64式7.62mm小銃と名づけられ、制式採用された。

特徴

基本構造

銃身と銃床が一直線上にある直銃床デザインを取り入れ、ガス圧利用の落ち込み式ボルト、直動式撃鉄による撃発機構を採用している。国産小銃として日本人の体型に合わせた設計を考慮したものの、当時の自衛隊は防御戦闘が主眼であり、多少の重量増加よりも射撃時の命中精度、弾幕散布界の小径化を考慮した小銃となった。これはソ連軍機械化部隊の侵攻を遅滞するため、多数の敵軍にも損害を与えられ、対物射撃にも威力を発揮する7.62mm弾の連射に対応するよう設計されたことによる。また、防御戦闘重視の自衛隊の用兵思想に準拠して、携帯性の高い軽機関銃としての要素も有している。回転速度を下げて連射時の銃口の跳ね上がりを抑えるため、コイルばねと棒状の撃鉄を納めた撃鉄筒が床尾内に入り込む設計となっており、他国の小銃や89式5.56mm小銃の様な折曲銃床式(折畳銃床)型を製作することは不可能になっている。

銃口部の消炎制退器(フラッシュサプレッサー)は、発砲炎を水平方向に拡散することで射撃位置の秘匿に効果があるほか、反動の30%を軽減する。銃身内部にはクロムメッキを施して耐久力と防錆能力の向上に努め、銃身寿命は軽機関銃並みの発射数37,000発以上、尾筒寿命は発射数24,000発以上となっている。銃床の木材部分は調達が容易で加工しやすい東南アジア産の赤ラワン材を用いており、赤みを帯びた木製部品が目立つ外観となっている。

可倒式の照門・照星(サイト)を有するが、66式鉄帽を目深に被った状態での伏せ撃ちの際、鉄帽のひさし部分が照門に干渉したり、射撃中の反動で倒れることがある。

下部被筒の前部は鋼板で補強されているが、本体はヤング率の低い軽合金を採用しており、一度変形すると元に戻り難い。取扱不良などにより変形している個体もあり、そのような被筒では脱落する可能性が高くなっている。本銃に限らず、装備品の管理に厳格な自衛隊では、演習等の訓練時に部品の脱落を警戒してビニールテープ等による脱落防止処置が行われる。

軍用ライフルとしては部品点数が58個と比較的多く、整備のための通常分解(日常の手入れ分解)時にも床尾板の整備用具入れに入っているプラスドライバー、ピンポンチを必要とする。発射モードの切替え軸部にはア(安全)、タ(単発)、レ(連発)と記されており、「当たれ」と表現されることがある。採用当時のジェーン年鑑の本銃の記事には、JANEによる64式小銃の実弾射撃等が行われたかどうかは明記されていないが、Very good weaponとの記述がある。

内部機構

独自の緩速機構による低発射速度を採用し、二脚を使用しての連射においては、同時期に米軍が使用していたM14に比し優れた命中精度を発揮した。また、引き金を引いてから撃鉄が作動し、撃鉄に叩かれた撃針が弾の雷管を突き発射するまでの時間(ロックタイム)が他の軍用銃と比較して長い。これは連発射撃時の発射速度を、意図的に落とすための機構でもある。スライドを後座させるためのガス導入量を調整する「規整子」(レギュレーター)を操作することで、常装弾や小銃擲弾も発射可能。

試作型や64式小銃の初期型においては、撃鉄筒が機関部と一体化されておらず、床尾内にねじ込まれる設計になっていた為、何らかの理由で床尾に大きな衝撃が加わると機関部と撃鉄筒がずれてしまい、撃鉄が引っ掛かって停止することで作動不良や後退不良、最悪の場合暴発を起こす恐れがあった。撃鉄筒の構造は銃番号79055以降はより強度の高い機関部一体式に改良されたが、現在でも前述の訓練における禁忌事項は特に変更されていない。

潤滑油切れ、汚れの付着などにより遊底の後退速度が不安定になると、装弾不良、排莢不良を起こす場合がある。これは軽量化のため尾筒部(レシーバー)を短縮した結果、一般的な小銃に比べ遊底の後退距離に余裕がなくなっている設計に起因したものである。

安全装置

64式小銃の安全装置は、他国の銃に類を見ない「引っ張って回す」構造となっており、時に「危急の際、即座に"安全"から"単発"への切り替えが不可能である」として批判される事がある。この構造は、行軍の際に、木の枝などの他物に動かされて外れる事が絶対に無い事を最大の目的として考案された物である事が、当時の開発者が昭和56年に『全猟』誌に発表した雑誌論文により証言されている。

* ア、タ、レの表記及び安全装置の基本構造は、旧陸軍の岩下大佐により発案された物である。
* ア、タ、レの各位置には穴があり、レバーの突起がこの穴に入り込む。回すにはレバーを摘んで引っ張り、突起を穴から出さねばならない。
* この様な「両側から摘んで引っ張り、回す」動作は自然界の不特定要素ではまず起こりえない事であり、「押して回す」三八式歩兵銃の安全装置と比べ操作は多少不便となるが、停止・固定がより確実で、射手が気付かないうちに他物に動かされる事態が起こらない安全装置となっている。

重量

質量は二脚を含め約4.3kg。普通科隊員(他国で言う歩兵)の扱う小銃としては重く不便とされることがある。実際に、工法が削り出しを多用している点や、陣地における二脚の使用を前提とした軽機関銃的運用を考慮した設計、銃身肉厚の強化などで重量が増加しているが、上部被筒にはFRPを使用する等、軽量化も図られている。その結果、同じ7.62mm NATO弾を使用するFAL、G3、M14等、同クラスの小銃と比較すると、64式の銃身長が短いことも関係するが若干軽量となっている。銃身の肉厚や二脚によってバランスは前方に偏っているが、これによって発砲時の銃口の跳ね上がりは軽減される。

使用弾薬

使用する7.62mm弾は、反動軽減のため薬量を10%削減した減装弾を使用している[26]。結果的に連射速度が低下し、遊底の作動が緩やかになるため、命中精度の向上に寄与しているとされる。規整子(ガスレギュレーター)を切り替える事で通常薬量の7.62mmNATO弾を発射する事も可能。

64式7.62mm狙撃銃

64式小銃には64式用狙撃眼鏡(スナイパースコープ)が装着可能で、狙撃銃としても運用されている。命中精度の高い個体に狙撃眼鏡を装着するとされるが、実際の運用では各分隊内で射撃技術の高い者が選抜射手(マークスマン)となり、その個人の貸与銃に眼鏡が取り付けられる場合が多い。基本的に演習、または射撃競技会に使用する場合以外には狙撃眼鏡は装着されず、常に狙撃銃仕様となっているわけではない。

64式用狙撃眼鏡はアメリカ軍が二次大戦時に採用した M1C/D狙撃銃に装備されるM84スコープに似た日本光学(現:ニコン)製のもので、倍率はM84と同様2.2倍の低倍率となっている。この照準眼鏡の上下転輪には0から800mまでの表示があり、射撃距離に合わせることにより各距離に対応するが、64式小銃の命中精度と眼鏡の倍率の制限により、人型的に確実に命中させられる射程はおおむね500mまでとされる。また、この眼鏡の鏡内目盛(レティクル)は中心部が離れたT字型で線自体も細いため、薄暮時や黒い標的に対しては照準がし難いものとなっている。

照準眼鏡の取り付け部はネジ1個によって固定されるため照準が狂いやすいほか、マウントと尾筒部(レシーバー)に隙間が存在し、マウント装着時には尾筒部との間に裁断布を挟み、隙間を埋めるといった工夫がされている。銃の構造上、銃身の真上に照準眼鏡を装着できず眼鏡の位置が銃身左斜め上になるように装着しなければならないため、射撃時には頬当て(チークパッド)の装着が必須となるが、この場合、通常の照門、照星は使用できなくなる。現在、陸上自衛隊には米国レミントン・アームズ社製対人狙撃銃が配備されているが、64式小銃も各普通科中隊では狙撃用として数挺ずつ残されている。

オプション

64式銃剣
30cm程度の刃渡りを持つが、これは三十年式銃剣とM-1ライフル用銃剣の半分の長さにしたため。着剣状態ならAKM(876mm+銃剣長)等より長くなり、堅牢な造りで適度な重量があることから、銃剣戦闘も対応できる。駐屯地によっては、正門の歩哨などが着剣した状態の小銃を保持している姿を見ることができる。平時は刃引きされた状態で、有事の際の戦闘準備で刃を研ぐ事になる。刃引きされた状態でも刺突武器としては有効。

64式用照準眼鏡

空砲発射補助具

薬莢受け
訓練で薬莢を回収しやすくする為に使用される。

M31対戦車小銃擲弾
アメリカ軍から供与されていた対戦車小銃擲弾(ライフルグレネード)で、64式の銃口に装着し擲弾薬筒で発射する。最大射程は185m。装甲貫通力250mm、コンクリート500mm。

06式小銃てき弾
2006年に制式化された、64式及び89式に対応した小銃擲弾。

配備先

陸上、海上、航空の三自衛隊で使用されているほか海上保安庁でも使用され、九州南西海域工作船事件では巡視船を銃撃してきた工作船に対する正当防衛射撃を行っている。また、1992年のカンボジアPKO派遣では自衛用として隊員が携行している。警察庁への納入実績もある。特殊急襲部隊(SAT)の前身である特科中隊(SAP)が使用していたとされる。

後継の89式5.56mm小銃の制式化により更新が行われているものの、未だ多数の64式小銃が現役であり、入隊直後の新隊員教育や予備自衛官召集訓練及び予備自衛官補教育訓練でも使用されている。小銃の主な運用法に防御戦闘を想定する航空自衛隊、海上自衛隊では、今後もしばらくの間、陸上自衛隊から移管された64式小銃が使われ続ける。

仕様

種別 自動小銃
口径 7.62mm
銃身長 450mm
ライフリング 4条右転(25.4cmにつき1回転)
使用弾薬 7.62mm NATO弾
装弾数 20発(箱型弾倉)
作動方式 ガス利用衝撃式 ティルティングボルト
全長 約990mm
重量 約4,300g(弾倉及び付属品を除く)
発射速度 最大約500発/分(450発/分)
銃口初速 約700m/秒(減装薬)
        約800m/秒(常装薬)

さらに詳しく → 64式7.62mm小銃



日本の軍隊マニュアル―帝国陸軍と陸上自衛隊『戦闘力』の比較検証日本の軍隊マニュアル―帝国陸軍と陸上自衛隊『戦闘力』の比較検証
(2002/12)
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