M2ブラッドレー歩兵戦闘車(M2 Bradley Infantry Fighting Vehicle)

航空兵器・陸上兵器・海上兵器・銃器・戦争・紛争・歴史・革命・テロ・事件・軍事動画・ニュース(報道)・社会情勢・政治運動・評論・講演など、軍事関連の情報を公開しています。宗教・思想・経済・政治的なものも少しアリ

広告
2010/01/04(月)
*





M2 ブラッドレー歩兵戦闘車(M2 Bradley Infantry Fighting Vehicle)は、アメリカ合衆国で開発された歩兵戦闘車IFV)である。1981年、アメリカ陸軍に採用された。M3 ブラッドレー騎兵戦闘車(M3 Bradley Cavalry Fighting Vehicle)という装甲偵察車(CFV)型も存在する。

来歴

アメリカ陸軍による歩兵戦闘車の開発は、1958年に開始されていた。これは、第二次世界大戦中にドイツが開発した実験的な歩兵戦闘車の影響を受けたものである。しかし、同様に影響を受けたドイツ・フランス・ソビエト連邦に比べると、その開発は遅々たるものであった。1954年には、フランス陸軍がAMX-VCI装甲兵員輸送車に実験的に20mm機関砲を搭載し、1950年代後半には、ドイツが世界初の歩兵戦闘車であるSpz HS.30を開発・配備していた。アメリカ陸軍もこれらの影響を受けて開発を加速し、1965年より、MICV-65計画を開始した。なお、当時進められていたMBT-70計画になぞらえて、この計画はMICV-70と呼ばれることもあった。

MICV-65計画のもとでは、M109 155mm自走榴弾砲をもとにパッカー社が開発したXM701と、M113装甲兵員輸送車をもとにFMC社が開発したXM734が試験されていた。この試験ではパッカー社のXM701が勝利したが、結局、空軍が新しく主力としたC-141輸送機で輸送できないことが判明して、採用はされなかった。一方、XM734が退けられた FMC社はさらに開発を続け、1967年にはM139 20mm機関砲を搭載するとともに車体にも小改正を施したXM765 AIFVを発表したが、XM765もやはり米陸軍の試験を合格できなかった。

そして1967年、ソ連が開発したBMP-1が公開されて、アメリカ陸軍に大きなショックを与えた。BMP-1は、73mm低圧砲とサガー対戦車ミサイルを搭載して重武装であり、また、歩兵を兵員室に収容して放射能などから守りつつ、銃眼(ガンポート)から小銃を射撃して戦えるように設計されていた。アメリカはMICV-65 計画で乗車戦闘能力を重視しており、一方、ドイツとフランスの同種車両にはまだその種の能力が備わっていなかったことから、これはアメリカ陸軍がとくに感銘を受けた点であった。ソ連が既に乗車戦闘能力と重武装を備えた歩兵戦闘車を実用化しているのに対して、アメリカ陸軍のMICV-65は依然として計画段階に留まっており、実用化の目途は立たずにいた。

1972年、アメリカ陸軍は、MICV-65計画の失敗を踏まえて、新しい歩兵戦闘車の開発計画を発表し、FMC社はこれに対してXM723を提示した。XM723は、海兵隊向けのAAV7装甲兵員輸送車をベースにしており、重量21トン、ソ連の標準的な車載機関銃であるKPV 14.5mm重機関銃に耐えられる装甲を備え、3名の乗員と8名の歩兵を輸送できた。XM723は当初、M139 20mm機関砲を備えた1名用砲塔を搭載していたが、1976年、これはM242 25mm機関砲とTOW対戦車ミサイルを備えた2名用砲塔に換装され、この改正型はMICV TBAT-IIと呼ばれるようになった。また、車内では標準的なM16小銃では長すぎて扱いづらいことから、乗車戦闘専用の小銃として、M231 FPWの開発も進められた。

この時期、歩兵部隊が歩兵戦闘車を要請していたのと同様、騎兵部隊も新しい装甲偵察車を必要としていた。このことから、XM723と同時に、軽量の装甲偵察車の要求がなされ、M139 20mm機関砲を搭載したXM800装甲偵察車が開発された。しかしXM800計画で提示された2つの案はいずれも期待外れで制式採用には至らなかったことから、1975年、装甲偵察車の計画は、MICV計画と合流することとなった。

1977年、MICV TBAT-IIはXM2と改名され、その騎兵戦闘車バージョンはXM3と呼ばれるようになった。1977年、議会はこれらの車両の能力に疑問を抱き、一時的に予算を差し止めたものの、陸軍は、コストと開発期間の不足を訴えてXM2/3計画の推進を主張し、1978年10月、議会は陸軍の主張を受け入れた。1979年12月、XM2/3は最終試験に合格して制式化され、1980年2月1日、量産が認可された。M2/3は、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で活躍したオマー・N・ブラッドレー元帥にちなんで、ブラッドレーと命名された。米軍での運用が開始された1981年以降、6,724両が生産された。

1980年に量産が認可されて以降、1994年までにIFV/CFVの2種で総数6,724両が生産された。アメリカの兵器製造委託企業ユナイテッド・ディフェンス(United Defence)が製造を請け負っていたが、2005年にユナイテッド・ディフェンスを買収したBAE システムズ・ランド・アンド・アーマメンツで製造と改修がなされている。なお、平均単価は、317万USドルである。

設計

基本となった"M2 IFV"は、固有乗員と下車戦闘兵員の合計9名を搭載できる輸送能力と共にM242 25 mm 機関砲とTOW対戦車ミサイルを搭載している。1982年に採用された初期量産型のM2 (M2A0) では、C-141輸送機での輸送可能であることも必要条件であった。これは、1988年に採用されたM2A2において、C-141輸送機の後継であるC-17輸送機での輸送可能であることが必要条件となった。

また、設計における主要目的の一つが、M1 エイブラムス戦車に随伴可能なスピードを維持できることであった為、走破性能は非常に優れている。車体の外部装甲はアルミニウム溶接で車内の重要な部分にはラミネート装甲という構造になっている。しかし、これが欠点の一つとして挙げられることもあり、アルミニウム装甲は成形炸薬弾(HEAT)の直撃を受けると蒸発・消失しやすく、弾薬の搭載量が多いことから、生存性は低下していると考えられた。

湾岸戦争での実戦経験を経て、後に装甲の強化など大幅に改良されたM2A1、M2A2が登場した。M2A2からは戦場での生存性を高める為に、アップリケ装甲(爆発反応装甲)の装備が可能なようにされており、徹底した試験と評価を経て採用され、イラク戦争に実戦参加した。M2A3では重量も33トンに達し、行動距離は402 kmへと短くなっているが、搭載兵員数が6名から7名に増えるなど、車体も再設計された。

車体・走行系

アルミニウム合金(Al, Mg, Zn)の全溶接の装甲に履帯を備えた車体に、カミンズ製VTA-903ディーゼル・エンジン(500馬力)と662リットルの燃料を搭載して、最大速度 65km/h、航続距離480kmという性能である。車内は右前部がエンジン室、左前部に操縦手が座り、車体中央の砲塔には右に車長、左に砲手が位置し、(A2型以降は)後部空間内に下車戦闘する兵員 6名がほぼ互い違いに前後を向く5名と左の壁に背を付け右を向く1名とやや変則的に座乗する。

固有武装

M242 25mm機関砲
M242 ブッシュマスター 25mm機関砲は毎分約200発の連射が可能で、射角+60°~ -10°、有効射程2.5kmで、単発/100発/200発が切り替えられる。弾種:徹甲弾APDS-T、榴弾HET-T。弾数:900 発(IFV)、1,500発(CFV)。

TOW対戦車ミサイル
最大射程3,750mのTOW対戦車ミサイルの2連装発射機により、重装甲車両に対する攻撃が可能になっている。発射機内2発+予備3発。

M240C 7.62mm機関銃
M242C機関砲の右側に同軸にM240 7.62mm機関銃も備える。弾数:2,200発(IFV)、9,460発(CFV)

M231 5.56mm FPW
ガンポートより射撃するための小銃。専用に開発されたM16小銃の派生型で、銃身が短縮されているほか、ガンポートに固定して使用することから、銃床も省かれている。ガンポートの廃止以後は搭載されていない。

乗車歩兵

米陸軍では4輌のIFVで機械化歩兵小隊を組み、M1戦車とIFVという車輌に随伴して下車した歩兵分隊チームが互いの弱点を補いながら戦闘に臨む体制をとっている。

A2型以降のM2ブラッドレー歩兵戦闘車(IFV)は、各車輌ごとに下車戦闘する歩兵分隊6 名が搭乗しており、歩兵分隊24名に加えて機械化歩兵小隊の小隊長でもあるIFVの1号車の車長が下車して戦闘指揮を行なうことが多く、同様に他の2輌の車長も下車する。IFVの車長が欠けた3輌のIFVはぞれぞれ残る2名の内、砲手が車長代行となり予備砲手が砲手を務める。下車戦闘歩兵の27名は9名ずつ3つの歩兵分隊となり、3名の元車長が分隊長となって戦う事になる。

実戦使用

湾岸戦争では、M1エイブラムスよりも多くのイラク軍車両を破壊したが、12輌のブラッドレーが損傷し、20輌が失われた。敵の砲火で失われたのは3輌で、友軍による誤射が最も多かったことを受け、赤外線識別パネルの追加と識別マーキングを施された。イラク戦争やその後の占領下では、RPG-7(ロケット推進擲弾)や即席爆発装置(IED)による攻撃を頻繁に受けている。RPGやIEDによる攻撃のみなら完全な破壊には至らないので、車体を犠牲にして乗員は難を逃れるという方針があるものの、死者の数が増えていることも事実である。アメリカ陸軍ではこの他、1990年代半ば以降、ボスニア派遣軍でブラッドレーが使用されており、2006年の時点で損失したブラッドレーの数は 55輌である。

基礎データ

全長 6.55m
全幅 3.60m
全高 2.98m
重量 30.4t
乗員数 3名 + 兵員6名(M2 IFV)

装甲・武装

装甲 アルミニウム / 鋼
主武装 M242 25mm機関砲
    2連装TOW 対戦車ミサイル発射機
副武装 7.62mm機関銃M240

機動力

速度 66km/h (整地)
    7.2km/h (水上)
エンジン ディーゼル
     600hp
懸架・駆動 トーションバー
行動距離 483km

さらに詳しく → M2ブラッドレー歩兵戦闘車  歩兵戦闘車(IFV)



ミリタリー・パワー2 現代の戦闘車両と大砲 [DVD]ミリタリー・パワー2 現代の戦闘車両と大砲 [DVD]
(2007/02/23)
ミリタリー

商品詳細を見る
関連記事

タグ : 歩兵戦闘車 M2ブラッドレー Bradley IFV

この記事へのコメント
URL:
Comment:
Pass:   
この記事のトラックバックURL
http://gunjimania.blog108.fc2.com/tb.php/786-7398f746
 この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | Copyright © 軍事マニアクス - Military Maniacs All rights reserved. | 

 / Template by 家族 ペット 自分史 ブログ