三菱 F-2支援戦闘機(Mitsubishi F-2 multirole fighter)

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2010/01/03(日)
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F-2は、F-1の後継機として開発された日本・航空自衛隊の支援戦闘機(戦闘爆撃機)である。1995年(平成7 年)に初飛行を行い、2000年(平成12年)から部隊配備を開始した。「エフに」や「エフツー」と呼ばれる。

概要

第4.5世代ジェット戦闘機に分類される、航空自衛隊の戦闘機である。F-1の後継機「FS-X(次期支援戦闘機)」として国産機の開発が計画されたが、技術的問題・政治的問題などが絡みアメリカとの共同開発となった。ロッキード・マーティン社のF-16多用途戦闘機をベースとし、三菱重工業を主契約企業、ロッキード・マーティンなどを協力企業として共同開発された。

総計98機の調達が予定されており、一機当たりの調達価格は約119億円と言われている。訓練のほか、マルチロール機としての運用も行われ、支援戦闘任務だけでなく要撃任務にも用いられる。現在は「要撃」「支援」の区分が廃止されたため、F-2戦闘機と表記される。特定の愛称はないが、「バイパーゼロ」という非公式の愛称で呼ばれることもある。

F-16に比べ機体を大型化し、空対艦ミサイルを最大4発搭載可能であるため、世界の戦闘機の中でも最高レベルの対艦攻撃能力を持つ。大型化に伴う重量増加を抑止するため、主翼には世界で初めて炭素繊維強化複合材による一体構造を採用している。レーダーには量産戦闘機として、世界で初めてアクティブフェーズドアレイレーダーを搭載し、飛行制御には、国産開発されたフライ・バイ・ワイヤー(FBW)を用いる。

機体

単座のF-2Aと複座のF-2Bが存在する。支援戦闘機、つまり戦闘攻撃機である本機は、前任機F-1と同様に対地・対艦攻撃能力に特化した機体である。機体形状はベースとなったF-16とほぼ同じではあるが、航空自衛隊の要求を満たすための改造や再設計箇所が至る所に見られることから「パッと見た形状以外、すべてが違う」などとも言われることがある。

概要

F-2はF-16をベースに日米共同開発された機体であり、F-2には単座型のF-2Aと複座型のF-2Bの2種類が存在している。F-2AがF- 16Cブロック40/42、F-2BがF-16Dブロック40/42をそれぞれベースとしている。F-2Bは機種転換及び高等操縦訓練に用いる機体で、後席スペースを確保するために搭載電子機器や燃料容量が減らされている以外はF-2Aと同様である。F-2の生産は三菱重工業のほか、ロッキード・マーティン、川崎重工業、富士重工業、IHI等の各企業が分担して機体の各ブロックや部品を生産し、それを三菱重工小牧工場にて組み立てるという形で行う。日米共同開発のため、米国分開発経費として1機当たり47億円が支払われているとも言われる。また、主翼は左右で製造しているメーカーが異なる。

基本構造

ベース機からの改修点は数多く、胴体は延長され、主翼面積を拡大(主翼面積はF-16C/Dが27.9m²に対し、F-2A/Bは34.84m²)することで重量増加による翼面荷重の増加を抑え旋回性の向上を図っており、同時に水平尾翼やストレーキ(主翼の前方の機体張り出し)も面積が拡大されている。よって、垂直尾翼の形状くらいしかF-16との共通点がない。エンジンはF110-GE-129ターボファンエンジン(クリーン時約75.62kN/アフターバーナー時約131.23kN)に決定され、これをIHIにてライセンス生産し搭載している。機体大型化による重量増加を最小限に抑えるため、翼には炭素繊維強化複合材による一体構造を採り入れている。これらの措置により、機体を大型化しつつも空虚重量をF-16Cブロック40より900kg程度の増加にとどめた9527kg(F-16Cブロック 40の空虚重量は約8627kg)としている。

兵装の搭載能力も航空自衛隊の要求に合わせたものとなっており、特筆すべきは空対艦ミサイルを最大4基まで携行出来る独特の機能である。これは周囲を海で囲まれ、また政策によって作戦機の総数を制限されている日本の特殊な事情によるもので、世界的にみても稀有な能力となっている。ベース機のF-16Cブロック40よりハードポイント数も増加されて、両翼端に各1箇所、両翼下に各5箇所、胴体下面に1箇所の計13箇所が存在する。

その他、ステルス性向上を狙った電波吸収材(RAM)の導入、機内燃料容量の増大(F-16Cブロック40の約 3896Lに対しF-2Aは約4750L)、着陸滑走距離を短縮する目的でドラグシュートを搭載する等の改修がなされている。全体的な外見はベース機のF-16C/Dと似ているが、細部では改修により変化している点がいくつか存在し、F-16C/Dと判別する際の指標となる。主な点として、大型化し垂れ下がったレドーム、レドームの改修に合わせて形状を変化したエア・インテーク、フレームを2本に増やして3分割化した風防、面積が拡大しテーパー翼とした主翼、ドラグシュートを収容するために延長した垂直尾翼付け根のフェアリング等が挙げられる。

アビオニクス

航空電子機器(アビオニクス)も新技術を用いて改修がされており、最も特徴的なのはレーダーを三菱電機が開発したJ/APG-1・AESA(アクティブ式電子走査アレイ)レーダー(Xバンド)へ換装した点である。AESAレーダーの装備は、量産機ではF-2が世界初となる(非アクティブ式であればMiG-31戦闘機の「ザスロン」レーダーで実用化済み)。なお、このレーダーの搭載に合わせレドームが大型化され、エア・インテークにも手が加えられている。

飛行制御にはF-16同様フライ・バイ・ワイヤー(FBW)を用いるが、飛行制御コンピューターのソースコードをアメリカ側が日本側に提供しなかったため、日本で独自のものを開発・使用している。なお、FSX計画には運動性能力向上技術(CCV)も盛り込まれており、そのため、開発当初は胴体下面にカナード翼を搭載する予定であり、カナード翼による機動データを収集するためにT-2 CCV研究機が作られた。しかし、カナード翼装備による重量・空気抵抗の増加や整備性の低下といったデメリットを考慮した結果、カナード翼の装備は見送られた。なお、CCV機能については、飛行制御コンピューターのプログラムを工夫することでカナード翼装備時と同等の機動が行えるようにした。また、日本の技術も取り入れた統合電子戦システム(IEWS)も装備している。これはレーダー警戒装置(ESM)等による脅威識別・警戒機能とECM/チャフ/フレア等の脅威対抗機能を統合制御することで効率的な電子戦を行えるようにするというもの。F-2Bではこのシステムが簡略化されているため、F-2Aとは機外ECMアンテナ等の配置に違いが見られる。

コクピットは表示装置が改良されており、液晶ディスプレイを用いた多機能表示装置(MFDS)が3基配置されている。また操縦には「HOTAS」概念が採用されたサイドスティック式操縦桿を採用している。現代戦闘機の主流であるHOTAS概念の導入により、操縦桿とスロットルレバーから手を離さずに各種操作が可能になった一方、パイロットには手先の器用さと複雑なスイッチ類の操作パターンの習得が要求される。

なお、F-16同様に本機はフライ・バイ・ワイヤーを採用しており、操縦桿に加わった圧力を電気信号化することで操舵を行う。そのため、本機の操縦桿はF-16同様、最大でも数mmしか動かない。これにより、従来型の操縦桿を持つ機体から機種転換を行う場合、操縦桿の扱いに慣れが必要という。また、風防は低空飛行時のバードストライク(鳥の激突)への対策として強化されている。コクピットからの良好な視界を確保している点はF-16の持つ優れた特徴の一つであるが、F-2においてもこの特徴は引き継がれている。

カラーリング

塗装は、量産機では「洋上迷彩」が施されている。これは同じ航空自衛隊のF-15J/DJや米軍のF-16で採用されている灰色の濃淡を参考とし、機体上面と側面には青の濃淡の迷彩を施し、機体下面には空と交じり合う明るい青一色という配色を施す迷彩パターンである。

洋上迷彩は、地上でこそ大変目立つ色合いであるが、洋上では大変識別しにくいため、支援戦闘機の主任務である対艦攻撃の際にはかなりの効果を挙げると考えられている。日本以外の国では必要性が薄いことから非常に珍しい塗装でもある。量産機に対して試作型4機(XF-2A/B各2機ずつ)には、それぞれ1機ずつ異なるカラーリングの塗装を施されている。

XF-2の1号機が白地をベースに赤、2号機(#502)が白地をベースに青と橙、3号機(#101)は色は白地をベースに赤と青だが、スピン試験用機であるために機体の上下左右でそれぞれ異なる配色とされ、4号機(#102)は上面が青(ただし洋上迷彩の青とは異なる)・下面が白となっており、いずれの機体も量産機に対して明るく鋭敏な印象を与えるカラーリングとなっている。

愛称

航空自衛隊においては1970年代以降、航空機に正式な愛称をつける習慣を持っておらず、F-2は単に「エフに」や「エフツー」と呼ばれる。しかし非公式に「バイパーゼロ(VIPER ZERO)」と呼ばれることがある。「バイパー」はF-2のベースとなったF-16の非公式の愛称で、「ゼロ」は量産機が納入された西暦2000年から取った「ゼロ」(自衛隊装備品の制式名は制式化年の下2桁を取って「○○式~」である)と、最も有名な日本製戦闘機である零戦の「ゼロ」とを掛けたものだと言われている。ここから航空雑誌等ではF-2を指して「平成の零戦」といった呼び方もされることがある。また機体愛称では無いが、F-2を操縦するパイロットを指して「F-2 CHARMER(チャーマー)」あるいは単に「チャーマー」と呼ぶことがある。

仕様

* 乗員: 1名(F-2A) / 2名(F-2B)
* 全長: 15.52m
* 全幅: 11.13m(両主翼端ランチャー含む)/10.80m(含まず)
* 全高: 4.96m
* 主翼面積: 34.84m²
* 空虚重量: 9,527kg
* 機内燃料容量: 4,750L
* 最大離陸重量: 22,100kg
* 最大兵装類機外搭載量: 8,085kg
* エンジン: IHI/GE F110-IHI-129ターボファンエンジン ×1
* 出力: アフターバーナー使用時131.23kN(13,381kgf)/非使用時75.62kN(7,711kgf)
* 最大速度: M2.0
* 戦闘行動半径(対艦攻撃時): 450nm
* 航続距離: 約4,000km(フェリー時)

兵装

固定武装

* JM61A1「バルカン」20mm機関砲×1:装弾数512発

運用可能な兵装

* 短射程空対空ミサイル
o AIM-9L
o 90式空対空誘導弾 (AAM-3)
* 中射程空対空ミサイル
o AIM-7F/M
o 99式空対空誘導弾 (AAM-4)
* 空対艦ミサイル
o 80式空対艦誘導弾(ASM-1):アクティブ・レーダー誘導方式
o 93式空対艦誘導弾(ASM-2):画像赤外線誘導方式
* 爆弾
o Mk.82 500lb通常爆弾:無誘導
o 91式爆弾用誘導装置(GCS-1)装備型Mk.82 500lb誘導爆弾:赤外線誘導方式
o CBU-87/B クラスター爆弾:無誘導
o JDAM 500lb誘導爆弾:GPS及び慣性誘導方式

* その他
o J/LAU-3ロケット弾ポッド:70mmロケット弾19発搭載
o RL-4ロケット弾ポッド:127mmロケット弾4発搭載
o 300ガロン(1136L)増槽:胴体下兵装ステーション用
o 600ガロン(2271L)増槽:主翼下兵装ステーション用

兵装の運用形態
F-2には13ヵ所の搭載ステーションがあり任務に応じてさまざまな形態を執ることができる。以下に代表的な例を挙げる。

航空阻止(INT,BAI)時

洋上の主要目標に対して直接攻撃を加える際の形態。周囲を海洋に囲まれ広い領海を持つ日本においては、特に洋上の敵艦船を攻撃する対艦戦闘の意味合いが強い。また、航空阻止は本機の主任務である。

* 空対艦ミサイル×4、もしくはGCS-1×6
* 短射程空対空ミサイル×2
* 600ガロン増槽×2

近接航空支援(CAS)時

友軍の脅威となる敵地上戦力等へ航空攻撃を実施、友軍地上部隊等の作戦を支援する際の形態。

* Mk.82通常爆弾×12、もしくはクラスター爆弾又はJDAM(500lb)×4
* 短射程空対空ミサイル×2
* 300ガロン増槽×1

要撃(Intercept)もしくは戦闘空中哨戒(CAP)時

* 中射程空対空ミサイル×4
* 短射程空対空ミサイル×4
* 300ガロン増槽×1

警戒待機(Alert)時

本機の運用に際しては対艦及び対地攻撃任務に重点が置かれるものであるが、警戒待機任務に就いているなど、支援任務一辺倒ではない運用がなされている。

* 短射程空対空ミサイル×2
* 300ガロン増槽×1

趨勢と展望

上記兵装の他、後述するAAM-4、AAM-5等の高機能空対空兵装の運用能力獲得が予定されている。 また、本機へ搭載可能な次世代兵装、或いはアビオニクスの高機能化などの研究が進められており、日本の中長期的防衛戦略をその背景として、将来にわたり段階的な機能向上が図られていく模様。

近年においては、顕在化する不安定要因(朝鮮半島情勢、或いは西太平洋地域における中国の軍事的プレゼンスの増大)から、日本の専守防衛戦略はその一部見直しを迫られているところである。これは専守防衛の考え方が、渡洋侵攻を伴わない、つまり弾道ミサイルや巡航ミサイルなどによるスタンドオフ攻撃に対し、基本的にはこれら事態に対する反撃を許されないという、防衛戦略的に大変危険な側面を持つためであるが(詳しくは「専守防衛」項を参照されたい)、こうした近隣国の動向等に伴って発生してきた新たな問題に対し、防衛省においては防衛庁の時代から様々な研究や議論を進めてきており、近年では敵の策源地や攻撃基地に対する航空攻撃作戦の実施について、これらは専守防衛の理念から逸脱しないとし、かかる攻撃能力や手段の保有も視野に入れ、20世紀末より様々な研究が開始・計画されているところである。

一方で、2000年代の米空軍の再編計画等に絡み、三沢基地に駐留するワイルド・ウィーゼル部隊が再三にわたり国外への移転を行いたい意向を示しているとされ、このことも、日本が独自の反撃能力獲得を模索しなければならない理由の一つと思われる。

こうした動きの中、本格的な攻撃機や敵防空網制圧の手段を保有しない自衛隊にあって、長い航続距離と大きな兵装搭載量を持つF-2がその反撃戦術の中核を担うことになるのはほぼ確実であり、防衛省技術研究本部による、かかる任務に必要とされる武器システム等の研究を通じ、近い将来にわたり段階的に、本機の機能向上または本来任務の範囲拡大が図られていく見通しである。

次世代兵装と武器システム

F-2は迎撃任務を主任務としない支援戦闘機ではあるものの、増大し続ける脅威や日本独特の防衛環境に起因する現実的要請から、開発終了後にあってマルチロールファイター(多用途戦闘攻撃機)としての高い能力を求められているものである。というのも、本機の配備開始時点で既に米国やロシアはAIM-120やR-77などといったアクティブレーダー誘導方式の中射程空対空誘導弾を開発・戦力化しており、この世界的趨勢に対しF-2も同種の誘導弾を運用可能とし、空対空戦闘における優れた機能を獲得し、ひいては他国空軍戦力に対する航空自衛隊能力の陳腐化を防止するための研究が進行中である。

特に技術研究本部(技本、TRDI)技術開発官(航空機担当)第4開発室が実施している「アクティブ・電波・ホーミング・ミサイル搭載に関する研究」では、国産中射程空対空誘導弾AAM-4(99式空対空誘導弾)をF-2に搭載し、また発射母機としてAAM-4の性能を満足に発揮するためのレーダーの探知距離の大幅な延伸と同時目標対処能力の向上の研究を行い、2009年度に試験を終えて事業を終了した、2010年度から搭載改修予定。

改修作業はIRAN(定期点検修理)時に実施し、専用の指令送信装置(J/ARG-1)などの必用コンポーネンツが追加される。この作業を経てF-2はAAM-4 発射能力を付与される。これは前述したAIM-120の既存モデルやR-77等といったミサイルと比較して優れた射程距離、追尾・撃破性能、ECCM性能を持つとされる。巡航ミサイルへの高水準な対処能力も持つとされる同兵装を運用可能とすることで、F-2は他国の第4.5世代戦闘機に対抗し得る対空攻撃機能を獲得するに至るとされる。

また、対地・対艦攻撃能力も向上しており、さらに将来の能力向上のための研究も進んでいる。調達年度によって製品の仕様に多少の相違がみられるが、後年調達機では総じて、進歩する搭載装備品に合わせた機能強化が行われている。平成16年(2004年)度発注の機体からは、JDAM(GPS誘導爆弾)搭載能力が、平成17年(2005年)度発注機からは、「外装型赤外線前方監視装置 J/AAQ-2」の搭載能力が付与されている。

他にF-2に関連して研究が進行中の計画としては、自衛隊デジタル戦闘システム(JDCS(F))の搭載 、次世代対艦ミサイルのための各要素研究、敵性電波識別及び対放射源攻撃システム(3次元高精度方探システム)、FCS レーダーの高機能化が挙げられる。

さらに詳しく → F-2支援戦闘機  フライ・バイ・ワイヤ(FBW)  運動能力向上機(CCV)  80式空対艦誘導弾(ASM-1)
93式空対艦誘導弾(ASM-2)  99式空対空誘導弾(AAM-4)  耐Gスーツ  ヘッドアップディスプレイ(HUD)  マルチロール機



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(2009/04/27)
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