「どうする日本の核武装」

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2009/12/30(水)
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核武装論とは、核兵器を保有していない国家において安全保障政策上の核武装の是非や利得の議論を指す。狭義においては核武装すべきであるとの主張を指す。本稿では日本における核武装論について述べる。 なお、核兵器保有国では既に保有する核兵器をどのように運用整備するかという核戦略として語られる。

1945 年8月以前の核武装計画

日本において原爆が具体的に語られたのは1940年に仁科芳雄博士が安田武雄陸軍航空技術研究所長にウラン爆弾の研究を進言したのが始まりといわれる。以後、陸軍は1941年に理化学研究所に原子爆弾の研究を委託(ニ号研究)、海軍は1942年に核物理応用研究委員会を設けて原爆の可能性を検討した。しかし、当時は人形峠(岡山県・鳥取県境)のウラン鉱脈の存在も知られておらず、ウラン鉱石の入手はもっぱらナチス・ドイツとの連絡潜水艦に頼る状況であり、ウラン爆弾1個に必要な2トンのウラン鉱石の確保は絶望的であった。1945 年6月には陸軍が、7月には海軍が研究を打ち切り、日本は敗戦を待たずして原爆研究から撤退した。

冷戦中の核武装論

ソビエトからの核攻撃の脅威を回避するためには日本も核武装し抑止力を持つべきだという主張がおこなわれた。一方、日本が冷戦期に核武装しなかったことでソ連が日本に対して軍事的行動に出られなかったという主張も存在する。ただし、日本は米の核により守られていたのでこの見方が成り立つとは考えにくい。

なお、NPT条約の締結以前、非核三原則以前であれば日本政府は「防衛用核兵器は憲法上保有しうる」という見解で核武装の完全な否定はしていない。しかし、日米安保体制にある限り、やはり戦略核抑止について論じられることはなく、戦術核に言及されるのみである。当時、核弾頭の運用が可能な兵器としては航空自衛隊のナイキJ、海上自衛隊の対潜爆雷、アスロック、陸上自衛隊の155ミリ榴弾砲、核地雷が考えられた。いずれも精密誘導兵器の発達によって必要性が無くなった分野である。

現在の東アジア軍事情勢及び核開発状況

日本の近くには南北朝鮮・中国台湾という分断国家が存在し、潜在的な危機が存在する。日本の核武装論において、仮想敵と想定されるケースの多い国々でもある。

北朝鮮

北朝鮮は原子爆弾の開発は完了したと見る向きもある。その場合、テポドンの改良型を用いれば日本に核兵器を投下可能とされている。朝鮮中央テレビは恫喝的な放送を繰り返しており、その中にはしばしば過激な表現が含まれる。ただし、これが北朝鮮政府の公式な発言や要求となって日本政府に伝達されたという事実は無く、国家財政が破綻に瀕した状況で有効性のある大規模な軍事行動を起こす能力があるわけでもない。

また、北朝鮮は移動式のスカッド600基、ノドン320基、ムスダン18基、固定式テポドン1号、テポドン2号などの1000基前後の弾道ミサイルを保有している。特に、ノドンは中国のDF21の数倍の320基が日本に向けられており、2009年には小型核弾頭の搭載・東京への核ミサイル攻撃可能であることが報じられている。

北朝鮮のノドンミサイルに搭載可能な核弾頭を製造するには小型化(1t程度)が必要である。1994年のCIA報告では数tの原始的原爆が1-2個という事であったが、脱北核技術者の情報で2001年時点で高さ直径とも1mの原爆が完成しており、2009年現在米国の研究機関ISISの報告書によればノドン搭載可能な核弾頭3個、航空用核爆弾3個と予測されていた。

北朝鮮は現在稼動停止・無力化中の5MW炉(核兵器1個/年)のほかに、建設中断中の50MW黒鉛炉(同10個/年)と200MW黒鉛炉(同40個 /年)を持っている。外交による解体も空爆もせず大型炉建設再開を座視すると北朝鮮の核生産能力は50倍になってしまい、数年でノドン320基が全弾核装備になるという見解もある。2009年現在、6カ国協議で米ブッシュ政権のライス国務長官は(拉致問題同様)日本にとっての核問題の核心である大型黒鉛炉について解体どころか無力化対象からさえ外している。ただ、核弾頭の量産に必要な資金や材料の入手について、楽観的な予測から懐疑的な予測まで様々であり、核戦力の誇示による恫喝を行うのであれば、その能力の実証が不可欠となる。すなわち連続した核実験による弾頭威力や、弾道弾あるいはロケットの試射による投射手段の性能ならびに信頼性の証明である。北朝鮮はこの部分での行動が政治的、資金的、技術的問題から制限されており、実験や試射のないままの大量配備は疑問視されている。

北朝鮮の核開発の資金源は、国家財政からの支出のほか、日本のパチンコ産業に代表される北朝鮮系機関による不正送金や韓朝合弁事業収益、拉致被害者 5人と引き換えに小泉政権から得た1兆円(詳細・朝銀信用組合事件)など、非合法の海外収入あったとされる。しかし弾道弾の試射以降の経済制裁によるGDPの減少は深刻であり、不正手段による外貨獲得も大きく減少している。核開発に投じる資金も減少しており、2009年の一連の核実験と弾道弾の試射においては、 536億円と推測された国防予算を超過したとみられている。国防予算は1999年の1600億円の1/3程度、1994年の2400億円の1/5以下であり、核開発の進捗が疑問視される所以でもある。 その状況で予算を核開発や弾道弾に振り向けた結果、韓国ならびに在韓米軍に備えるべき通常兵器分野においては、更新はおろか訓練もままならない状況が続いている。しかし韓国への戦備としては首都ソウルを射程に収める大量の長距離砲、スカッドなどの短距離弾道弾を保有しており、日本以上に首都圏への一極集中が進んだ韓国への抑止力として機能している。

北朝鮮はソビエト時代に供与された射程600kmスカッドをリバースエンジニアリングすることで、90年代末に射程1300km移動式ノドン、2007年に射程3200km移動式ムスダンと弾道弾の射程延伸を進めており、最終的にはアメリカ本土に到達する弾道弾を保有することを目標としている。

ただし、その弾道弾を開発し、生産し、対米核戦力を構築すること、アメリカとの対決自体が目的というわけではなく、金日成時代からの経済の限定的開放や経済特区の設置など、日本との国交正常化や国際社会への復帰を画策したことからも、当初は「国際社会での発言力の維持」より具体的には「国際社会への復帰後においても韓国に呑み込まれないだけのプレゼンスの獲得」という目標があったと思われる。しかし金日成の死後、周辺国家との国交正常化や国際社会への復帰、あるいは体制の変更という決断を下せる人間がいなくなり、このロードマップは失われてしまった。結果、後継者と官僚は核開発を近視眼的に国家生存に必要な物資を獲得する手段に矮小化してしまい、そのことが現在でも継続し、問題解決の糸口を見失わせていると言える。

中国

中国は日本向けに使用できる能力を持つDF-21を推定60-80基保有している。なお、中国は核戦力を近代化し、生残性を高めることには熱心であるものの、量的には核より通常兵器への予算配分が圧倒的であり「基本的には核を使わずに通常戦力で目的を達する事を指向している」との見方もある。2009年に軍事費が849億ドルとロシアを抜いて世界2位となった状況においても、近代化すべき分野があまりに多岐にわたるためでもある。中国が現在運用するICBMは液体燃料による固定サイロ配備であり、充分なCEP(半数必中界)と弾頭威力を持った先制核攻撃に対しては脆弱となる。中国は1970年代から戦略原潜の開発に乗り出したが、完成した夏型原子力潜水艦は1隻しかない上に、搭載しているJL1ミサイルは改良型でも射程4,000km以下であり、核抑止力として機能していなかった。量的にも質的にも不十分な地上発射ICBMもあわせて、中国は長らく「核兵器保有国」であっても「核抑止力」を持たない状況にあったと言える。

経済の伸張とともにこの分野への開発資金が投下されるようになり、2007年頃から固体燃料移動式でMIRVを装備したDF31Aが就役している。移動式弾道弾は頻繁な移動によって位置を特定させないことで固定サイロとは比較にならない生残性を発揮する。ただし、移動することによる生残性の向上は移動車両(TEL)そのものの機動性、それを助ける道路網の構築があってのことである事に留意する必要性がある。また、核戦略において第二撃能力として機能するSSBNについては、オホーツクから米本土を狙える新型弾道弾を搭載した晋型原子力潜水艦を建造し、2015年頃に対米報復核戦力を獲得する予定であったが、2007年から2010年に掛けて配備するという計画は、潜水艦、搭載弾道弾双方の技術的課題から戦力化は大きくずれこんでいる。

毛沢東による「核戦争を辞さず」の発言は「核戦争で先進国と共倒れても、生き残った国民の数で勝るから復興速度も速く、故に核戦争後の覇者になれる」というもので、このような発言を真に受ける限り中国相手に核抑止は成り立たない事になる。中国の大規模な紛争の例としては台湾との数回の軍事衝突、中ソ戦争、中越紛争が挙げられるがいずれも地域紛争であって核兵器を使用する局面には至らなかった。これは核兵器国はもちろん、非核兵器国が対象であっても核兵器国の支援を受けることによる核の傘が機能することを示している。ただし、これは全面核戦争を覚悟するような致命的な国家利害の衝突において、核戦力の格差を理由に譲歩することはないという毛沢東の発言を否定するものでもなく、現役将官による同種の発言は21 世紀になっても続いている。

韓国

韓国は1970年代に米国の圧力により一旦は核兵器開発計画を放棄し、「朝鮮半島非核化に関する共同宣言」を行っている。しかし1994年に北朝鮮の核開発疑惑があり、米国は北朝鮮の爆撃を検討し、ソウルでは市民の大規模な避難が行われるなど朝鮮半島での戦争の危機が高まったことなどから、その後韓国政府は NPTに違反する独自の核開発を検討した可能性がある。

2000年1-2月にNPT(核拡散防止条約)に明らかに違反した核燃料濃縮実験を科学者が極秘で行ったことを2004年になって韓国政府は認めた(2004年9月3日の読売新聞によると、その高濃縮ウランは兵器級の90%に近い濃縮度に達していたとされる)。そのためIAEAは検査団を韓国に急行させ強制的な査察を行っている。韓国政府は実験があくまで平和利用目的であることを主張したが、IAEA内部では疑義が出ており、専門家は核兵器レベルのウランを醸成するレーザーを使用したその技術を民生利用したとは信用し難いと主張している(2004年9月2日のBBC NEWSより)。

現在の韓国政府は公式には核兵器開発の検討などは否定している。しかし韓国の世論は核兵器開発に賛成が多く、東アジア研究院の2004年7月調査で核保有賛成が51%。2006年の北朝鮮の核実験後は65%が核保有賛成で、賛成しないという回答は32%だった。なお、核兵器の運搬手段になり得るものとしては、韓国は弾道ミサイルは保有しないものの、F-15K戦闘爆撃機と巡航ミサイルを保有しており、特に、玄武III Cは日本のほぼ全域と中国沿岸部の大半が射程内に入るとみられる。また将来、もし北朝鮮と国家統一を果たした際に、北朝鮮が保有していると見られる核弾道を継承し核保有国となる可能性が懸念されている。

台湾

台湾の複数の軍関係者らによると、台湾は中国が核実験に成功した1964年以降、当時の蒋介石政権が核開発に着手したが、計画を知った米国は1976年、台湾に圧力をかけ、計画はいったんは中止されたとされる。しかし、1980年代後半になり、蒋経国政権下で開発が再開され、同研究院内に1987年、秘密裏に小規模核実験施設が造られプルトニウム抽出実験などが行なわれたが、米国に亡命した同研究院幹部が1988年1月に行なった証言などをもとに、米政府が李登輝政権時代に施設を閉鎖に追い込んだとされる。

陳水扁政権は核開発を完全否定しIAEAの査察も受け入れている(以上2004年10月14日の毎日新聞より)。核兵器の運搬手段になり得るものとして、台湾は射程距離1,000キロ、弾頭重量400キロの巡航ミサイル雄風2Eを保有している。国際政治的には中国が台湾は自国の一部であると主張しており、その中国は近年の著しい経済成長に伴い軍事力を急速に増強し、また、アメリカに対する核抑止力も高めていることから、台湾がもし核開発を始めれば中国と極度の緊張を引き起こすため、台湾の現在の親中国政権下では核武装の可能性は低いと見られる。

核兵器を戦力化させる手段

核爆弾を搭載する兵器については、弾道弾、巡航ミサイル、爆撃機の選択肢が考えられる。また兵器のプラットフォームとしては、地上基地・水上艦・潜水艦・航空機などが考えられる。なお敵の先制攻撃に対する生存性を高めるために複数の運用手段を確保するのが望ましい。

弾道ミサイル

日本はM-Vロケットに代表される固体燃料ロケットの技術を保有していることから、弾道ミサイルの基本的な技術は有していると考えられる。

宇宙ロケットと弾道ミサイルの主な違いは誘導システム、そして再突入体の有無である。宇宙ロケットは地上施設からの電波によって誘導される点が支援を受けずに自律誘導する弾道ミサイルとは大きく異なる。そのため弾道ミサイルを開発するならば誘導システムの新規開発は必須である。再突入体(RV)については、日本はOREXなどで大気圏再突入の実験を5回行ない、慣性航法装置のテストや空力加熱のデータなどをテレメトリー収集した。当初計画においては実験体の回収までを目標としていたが回収に成功したのは2回であり、さらには情報収集の目的であった宇宙往還機HOPE計画の事実上の凍結もあって、軍事転用できるだけの技術的蓄積は無く、今後も同種の再突入体に関する計画は無いことから、継続しての研究、あるいはデータの取得も見込めない。核弾頭を搭載した再突入体を開発するならば核抑止力としての有効性持つだけのCEPを有するRVをJAXAとは別に行う必要がある。

固定基地の弾道ミサイルは先制攻撃で狙われやすく、生存性が低い。これは「ソビエトに近い島国」であるイギリスも陥ったジレンマで、空中発射弾道弾を開発しようとして失敗し、ポラリスを導入した経緯がある。後年に実用化された車両移動式ミサイル(TEL)を僻地で運用する方法も考えられるが、日本における僻地とはすなわち国土の7割を占める山地であり、その山岳地における狭隘な道路事情での数十トンのTELの運用は非常な困難を伴う。

ちなみに、兵頭二十八は山岳地帯にミサイル基地建設を提案している。これは敵の先制核攻撃があっても、よほどCEPが高くなければ山自体が盾になるためミサイルの生存性が高まるという考えであるが、周辺住民の反発は確実で政治的難易度が最も高い運用方法である。もし、日本が核弾頭を搭載した弾道弾で核抑止力を構築するというのであれば、潜水艦発射弾道弾(SLBM)の開発と発射プラットフォームとしての戦略原潜の開発がもっとも現実的となる。

攻撃機・爆撃機

国産開発する場合、日本がライセンス生産したF-15要撃戦闘機や、日米共同開発のF-2支援戦闘機の開発の経験があるとはいえ、国産のエンジン開発能力がネックとなっている(米ロのエンジンは推力18tだが、日本は5tエンジンを試作している段階)。

国防の重点政策として資金を投入しても、米国が保有するような、敵の防空網を潜り抜けて核弾頭を目標に確実に命中させるようなステルス戦略爆撃機(もしくはそのような戦略用途に使用できる航空機と搭載兵装の組み合わせ)の開発には多年を要する。国産大型エンジンとB-2爆撃機のようなステルス性を獲得しても、その時点では更なる軍事技術の発展が見込まれる。戦略爆撃機は高価であり、効果的に運用しているのが米国だけであり、専守防衛政策面からも予算面からも日本が1機2500億円もするB-2爆撃機のような大型の戦略爆撃部隊を保有するのは困難である。

日本が運搬手段として航空機を使うのであれば、長射程の巡航ミサイルと搭載母機の組み合わせも考えられる。しかし航空基地は敵の先制攻撃の標的になるため航空機を核抑止に用いるのであれば、かつてアメリカ戦略空軍が行っていたような核パトロール(核弾頭搭載機の24時間空中待機)を行う必要があるが、極めて高い経費を必要とする。

戦略原潜(SSBN)

原潜は隠密性に優れ、衛星で発見しにくいため生残性が高く、報復戦力として優れている。但し固定サイロより自己位置計測誤差が大きく命中精度が悪いため、核攻撃に対する防護を施された軍事目標(核爆発の熱線、衝撃波に耐えうる硬化サイロに格納されたICBMなど)を攻撃する第一撃には向かない(ただしこれは報復のみを目的とした場合は無視してもよい要素となる。例を挙げるならイギリスは核戦力を戦略原潜搭載の弾道弾のみに依存している)。陸上配備の場合のような受入れ自治体を探す立地難がない。最もコスト高な方法ではあるが日本の核武装を考えた場合、最も現実的な核配備手段といわれている。

米海軍は1948年に潜水艦用原子力機関の設計を始め、世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」を1952年に起工、1954年に完成させた。以後も米海軍は原子力潜水艦の戦力拡充を図ったが、ソビエトとのミサイルギャップを受けて建造中のスキップジャック級原子力潜水艦にミサイル区画40メートルを挿入すると言う強引な手法でジョージ・ワシントン級戦略ミサイル原潜を1960年に完成している。

現在の日本は当時の米国より工業水準は優れているが、搭載すべきミサイルも敵対国の潜水艦捜索装備も1960年代より大幅に進歩しているため、それに見合う船体や静粛な原子力機関の開発を米海軍同様の短期間で達成するのは困難と見られる。米国からの技術導入が得られなければ夏級原子力潜水艦のような習作を経て米露中英仏の水準にステップアップするような形にならざるを得ないであろう。また、潜水艦建造可能な造船所は2箇所あるが、いずれも排水量1万トンにならざるを得ない現代のSSBN を建造するには規模が不足するので、原潜を建造する場合、二分割で建造して大型ドックで接合するか、あるいは新規に造船設備を建設する事になるが工員身元調査、技術教育、機密保持、財政、立地・用地取得など多くの課題がある。

また、原子力潜水艦は燃料棒の交換は船体を切り開く長期間の大工事になりがちである。米海軍の新型原子力艦艇は超高濃縮ウランを使用することで燃料棒交換の回数、あるいは燃料棒の交換そのものを省いているが、日本がいきなりこの水準に到達するのは困難である。高被爆環境下での保守点検と燃料交換に多額の費用が掛かり、寿命が切れた原子力潜水艦は強い放射線を帯びているので解体処理コストも嵩む。相当な予算が必要なこともあり、戦略原潜とそれに搭載するSLBMの開発には10年以上の期間を要すると想定される。また原潜は高価であり調達数量の制限が見込まれるため、SLBMを搭載するなら可能な限り多くのミサイル発射筒を装備させMIRVを採用した多目標個別攻撃能力を持たせることで潜水艦1隻あたりの報復能力の向上を図るのが望ましい。しかしその為には弾頭の小型・高威力化に加え、弾道ミサイル自体の高性能化さらにはSSBNの大型化を要するので、弾道弾にせよ弾頭にせよSSBNにせよ漸進的改良を行わざるを得ない。

日本には原子力船むつの経験を持ち、搭載された原子炉は基本的には軍用船舶の原子炉と同じ加圧水型原子炉で、荒天での激しい船体の揺れや万一の際の転覆事故も想定した設計になっていた。しかし原潜で必須である静粛性はまったく考慮されておらず、なにより出力が圧倒的に足らない(むつの1万馬力に対してロサンゼルス級攻撃原潜で3万馬力、オハイオ級戦略原潜で6万馬力)ことからも大幅な技術革新が前提となる。SSBNにはミサイル整備施設が必要なため専用の基地が必要である。また通信のために浮上することの無いように、SSBNへの指令は海中にも届く電波である超長波(VLF)が用いられるため、専用の無線基地や通信中継基地が必要になる。

戦略原潜は単独で活動せず、攻撃型原潜が護衛に付くのが一般的である。よって戦略原潜を配備するなら戦略原潜と同数以上の攻撃型原潜が望ましい。日本は世界6位の排他的経済水域を持っているが、ソビエトがかつてカムチャッカ沖に保持した「聖域(敵勢力の活動を排除した海域)」を持つことは困難と見られる。必要なのは航行の自由が保障されるEEZではなく、侵入そのものを違法とできる領海か、または侵入を困難たらしめる内海である。潜水艦以外の護衛戦力の展開についても、広大な海域のエアカバーは海上自衛隊、航空自衛隊の航空部隊の能力を超えるものであるし、水上艦艇の貼り付けではその行為自体が潜水艦の存在の傍証となってしまう。

兵頭二十八の著書などにおいて、運搬手段が潜水艦なら動力が原子力である必要性はないとの主張もあるが、原子力推進艦は長期間哨戒・船体規模に比して小型の機関区という利点があり、同じ大きさ(排水量)ならば通常動力潜水艦より兵器搭載量が多くなり、運搬手段としては原潜が圧倒的に有利となる。また速力と航続力の圧倒的なアドバンテージは、哨戒海域までの進出・帰投にかかる時間を短縮し、オンステーション可能な期間を延長する。速力と航続力がもたらす生残性や、先の搭載量の優位を加えるならば、原子力推進にすることで一定数量の弾道弾を即応体制に置く場合に必要な弾道ミサイル搭載潜水艦の総数を、大幅に削減することができる。逆に言えば、通常動力潜水艦で同じことを試みた場合、膨大な数の潜水艦とその支援設備、脆弱な通常動力潜水艦を守りきる為のより強力な護衛部隊が必要になる。弾道弾の搭載の可否だけを論じても、抑止力というシステムの構築を論じたことにはならない。ただし、核抑止の必要性が明確かつ逼迫した場合においては、非常に効率の悪い装備であっても過渡期としては一定の効果を得る可能性はある。

巡航ミサイル

巡航ミサイルは原潜、駆逐艦、航空機、車両など、発射プラットフォームを多様化出来るという点が最大の利点である。トマホーク巡航ミサイルを米国から輸入した場合は、日本が自由に運用できない可能性がある。現にトマホークを米国から輸入したイギリスにおいては運用についての厳しい制限が設けられている(事実上、アメリカの同意が無いと発射できない)。

巡航ミサイルを独自に開発した場合はこの限りではないが、戦略用途の運用であれば、機体規模の小ささ(トマホークで1.5トン、弾頭部は450キロ、事実上の艦艇用長魚雷サイズである)にあわせて、小型核弾頭の開発が必要である(兵頭二十八は大型巡航ミサイルの開発を提唱しているが、その場合はかつてアメリカが建造し、運用を諦めたレギュラス搭載潜水艦のような単能艦でしか運用できないことになり、多彩な発射プラットフォームを選択できるトマホーククラスの巡航ミサイルの持つ運用の柔軟性を失う事になる)。

航法装置(INS)は1時間飛行すると約1.8キロのずれを生じる。戦術用途であれば(もしくは戦争の規模が限定されているのであれば)GPSや地形照合システムで補正することもできるが、現在の所GPSはアメリカの独占状態にある。欧州連合やロシア、中国は安全保障上の要請もあって独自企画を開発中である。戦略核兵器を使用する状況(すなわち全面戦争)において、他国の航法支援を使用できない可能性は極めて高く、GPS無しでの命中精度を確立するか、日本独自のGPS衛星を保有する必要がある。

しかしGPSによる航法情報も電波であるためにGPSジャマーと呼ばれる装置で妨害される可能性がある。地形が存在しない海上を長距離飛行する場合に地形照合は使用できないため、海を渡ってから地形照合で位置を補正する必要がある。そのためには弾頭の小型化やエンジンの燃費向上でミサイルの射程距離を延ばさなければならない。

地表情報は民間企業から購入できる高精度の衛星画像を使用できるという説もあるが、日本が独自保有する偵察衛星(情報収集衛星)の精度を上げてより精密な地表情報を入手する方が確実である。現在、アメリカ軍は巡航ミサイルを戦略兵器として運用していないため戦略抑止としての参考にならないが、ピースキーパーなどの弾道弾は航法情報が無い状態を基本としており、アストロトラッカーと呼ばれる恒星追跡装置による天測を行ってCEP90メートルを達成している。

その他

* 「攻撃に使える兵器」と言う意味でなら、核でなく青森県で貯蔵されている使用済み核燃料やプルトニウムを兵器に積み込み、報復攻撃対象国上空で爆発させるだけで核と同等の効果を持つ上に長期的に敵国の土地資源や人的資源に汚染を引き起こせる為、費用対効果が高く多大な費用を掛けて核兵器を開発する必要は無いという指摘もある。しかし汚い爆弾は使用しても死者は出ないと言われており、仮に大型の輸送機に満載して自爆させるとしても撃墜される可能性が高い。軍事的確実性が不明確では費用対効果を測る事自体が不可能であり、国家単位のテロにはなり得ても核抑止には寄与しない。
* 弾道弾も大量破壊兵器(WMD)の運搬手段として国際的な監視と規制が行なわれている拡散安全保障イニシアティブ(PSI)。
o 日本はMTCR(ミサイル技術管理レジーム)に参加している。これは弾道ミサイルとその関連技術の輸出管理を目的とするが独自開発は妨げない(米ロをはじめ、弾道弾の開発は行っている)。
o 日本政府は弾道弾や攻撃型空母など「性能上専ら相手国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器」の保有はしないとしている。核武装とは、非核三原則を含めこれまでの安全保障政策の根本的な変更を意味する。

さらに詳しく → 核兵器  日本文化チャンネル桜



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(2009/08/01)
田母神 俊雄

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