戦車とは~構造編

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2009/12/30(水)
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戦車(せんしゃ)は装甲戦闘車輌の一種である。履帯で走行し、火砲を搭載した旋回砲塔を持ち、なおかつ強固な装甲を持つ、走攻守の能力バランスに優れた兵器である。

概要

現代の戦車はほぼ主力戦車(Main battle tank、MBT)の事を指す。敵の戦車を撃破する火力を持ち、自らは敵の戦車に破壊されない装甲を持つことが戦車の目標とされ、正確な砲撃による攻撃力を備え、対戦車兵器がなければ容易に破壊出来ない陸上戦闘の主役である。戦車は戦う車の総称ではないため自走砲や装甲車などとは区別されるが、何をもって戦車と定義するかは曖昧な部分もあり、また時代や国、地域によって変化する。

21世紀初頭現在では大まかに

* 全周旋回砲塔を有すること
* 装甲化されていること
* 無限軌道(履帯)であること
* 主に敵の車両ないし陣地を砲撃によって破壊することが目的であること


などが挙げられる。

ただ保有する側が戦車と呼べば戦車扱いされる可能性もある。歩兵戦闘車や自走砲の多くも上記に該当するが、戦車とは異なった兵器である。直射射撃によって敵の保有する(ほぼ)すべての装甲車輌を撃破するように設計された兵器であることも、上の条件に加えられるかも知れない。

構造

主要な装備

戦車の説明画像

1. 走行装置:戦車は無限軌道(履帯、商標名でキャタピラ)で走行する。起動輪と誘導輪があるのは共通だが、転輪には様々な形が存在する。普通は1列に並べてあるが、かつてのドイツ重戦車の場合、転輪が千鳥型に2重になっていたり、3重に並べたり、荷重を分散するようにしていた。ただし保守が困難な上、手間の割に効果的とは言えなかったため第二次世界大戦後は、そのような形式は採用されていない。転輪には騒音と振動を軽減する目的で周辺にゴム製のソリッドタイヤを装着するが、ゴム資源が不足していた第二次世界大戦中のドイツ・ソ連では、転輪内部や車軸にゴムを内蔵したり、やむを得ず全くゴムを用いない鋼製転輪を使用する場合もあった(イスラエルの戦車は砂漠でゴムタイヤの破損が激しい為に一部に完全鋼製転輪を使用している)。

2. 主砲:1970年代末以降の主力戦車では120 mm クラスの滑腔砲が採用されることが多い。加えて射撃統制に環境センサーとコンピュータの組み合わせを用いることで、あらゆる条件下での精密射撃を可能にしている。射撃時の反動を抑えると共に、砲身後退量を抑えて砲塔を小さく済ませるため、油圧により反動を吸収する駐退機が備えられている。以前は砲口にマズルブレーキを装備した物が多かったが、APFSDS弾の装弾筒が引っかかるため最近の車輌では見られない。先端近くに砲身の歪みをレーザー計測する反射体が取り付けられているものが多い。また中東・アフリカなどの高温地域で運用される車輌には、主砲身に熱による歪みを防ぐサーマル・ジャケット(遮熱カバー)の装着が見られる。戦車砲弾は発砲時に煙と一酸化炭素などの有毒ガスが発生するため、排莢時に砲身から戦闘室内へこの発射ガスが逆流しないようエバキュエータ(排煙器)と呼ばれる空洞部が砲身に取り付けられている。

3. サスペンション:初めて実戦投入されたMk.I戦車にはサスペンションは存在しなかったが、その後におけるサスペンション形式はさまざまで、スプリングの種類も、リーフスプリング、コイルスプリング、渦巻きスプリング、クリスティー式(コイルスプリングと大型転輪の組み合わせ)、横置きトーションバー、縦置きトーションバーなどがある。現用戦車では主に横置きトーションバーが採用されている。スウェーデンのStrv.103は前後左右の油圧を変える事で車体の角度を変えられる油気圧(ハイドロニューマチック)式サスペンションを史上初めて実用装備した。陸上自衛隊の74式戦車も同様の油気圧式サスペンションを採用しているが、この機能は地形を利用した待ち伏せ砲撃に有利であり、専守防衛を旨とする両国の防衛策に適していたと言える。また、90式戦車や韓国のK1は横置きトーションバー式と油気圧式を混合装備している。いくらエンジン出力の大きな車両でも、サスペンションの性能が悪ければ車体や乗員の負担が大きくなり十分な機動性は発揮できず、逆にエンジンが非力であっても、サスペンションの改良により機動性を向上させる事が可能である。

4. 発煙弾発射機(スモーク・ディスチャージャー):多くの戦車で見られ、防御戦闘時に敵の視界を遮ったり、随伴歩兵の進撃を支援したり、ミサイル防御に用いられたりと用途は様々である。一部の車輌には、エンジン排気に燃料を吹き付けて煙幕を発生させる機構を装備する物もある。詳細は発煙弾発射機を参照。

5. 砲塔:第一次世界大戦で登場した極初期の戦車は、車体に火砲を直接搭載したり車体左右の張り出しに搭載していたが、第一次世界大戦末期にフランスで開発されたルノーFT戦車が、車体上部に360度旋回する砲塔を世界で最初に搭載した。死角を減らしたこの設計思想を持つ同戦車は、それ以降のほとんどの近代戦車の原型となった。第二次世界大戦に入るまでは複数の砲塔を持つ多砲塔戦車もあったが、非効率性や高コストが明らかとなり、360度旋回可能な砲塔1基を持つものが主流となった。砲塔前部には主砲が装備され、後部は弾薬庫として使用されることも多い。砲塔内には車長、砲撃手、装填手の座席があることが多い。第二次世界大戦前半までは全てを車長一人が行うものや二人で行うものも存在したが、車長が戦闘指揮に専念できる三人用砲搭が一般化した。車体同様リベット留めの問題があり、現在では溶接式か鋳造式が用いられている。戦車の中で最も被弾率の高い部位であり、なるべく形状を低く抑える事が望ましいが、T-62ではそのために主砲の俯角がほとんど取れず、中東戦争では地形を利用した伏せ撃ち射撃ができず却って撃破されてしまった事例がある。

戦車の説明画像

6. エンジン:エンジン部は給排気と放熱の為に装甲によって閉鎖されるのには向かない為に脆弱となり、通常は被弾による損傷を防ぐために車体後部に収められる。現在では多くの戦車がターボチャージャーの付いたディーゼルエンジンを搭載し、2ストロークと4ストローク、空冷と水冷のいずれも形式も存在する。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより油種を選ばず、軽油以外でも灯油やジェット燃料などが使用できて運用が楽である。ディーゼル燃料である軽油はガソリンに比べると発火点や引火点が低いので比較的安全であるが、絶対に引火しない訳ではない。加速性に優れるガスタービンエンジン装備の戦車もあるが、燃費が非常に悪い上に技術的ハードルも高い。

西側の戦車の多くは、現場でエンジンデッキを開放してエンジンや変速機を迅速交換できるパワーパック構造になっているが、東側の戦車ではそうした配慮はあまり行われていなかった。かつてはガソリンエンジンが使われることも多かったが、被弾時に引火・爆発しやすいため、第二次世界大戦後は次第に使われなくなった。第二次世界大戦時には戦車用という大出力のエンジンは開発が難しかったため、航空機用エンジンで代替することもあった。大戦中の戦車の多くは車体後部のエンジンからドライブシャフトで前部の変速機に動力伝達する前輪駆動であったが、戦後はエンジンと変速機が直結した後輪駆動が主流となっている。一方でイスラエルのメルカバやスウェーデンのStrv.103の様に、乗員保護を優先してあえてエンジン・変速機を車体前方に配して装甲の一部としている例もある。

7. キューポラ:従来から司令塔とも呼ばれ、車長や装填手の外部視認用に砲塔上面に設けられた半球状などの突起が備わっていたが、20 世紀末以降の戦車では、旧来の突出した形状のキューポラは無くなった。防弾ガラスごしに直接覗くものや、鏡を使ったペリスコープがあった。キューポラには機関銃が備えられるものが多く、近接攻撃や対空攻撃用に搭載されていた。

8. 同軸機銃:主砲の横にあって同じ方向を向くように装備された機関銃であり、歩兵や軽装甲車輌といったソフトターゲットに対して使用することで主砲砲弾の消費を抑えるよう計られた。主砲発射に先んじて同軸機銃を射撃し、その着弾を見て照準を微調整する、スポッティングライフルとして利用されていた戦車もあった。

9. 車体:強固な装甲で守られている。初期の戦車においては当時の溶接技術が低かったため、装甲板がリベット留めされた車体が大半であった。しかし、被弾時に千切れたリベットが車内を跳ね回り、乗員が死傷する事故が相次いだ。また、近くでの爆発による衝撃波にももろく、装甲板がバラバラになることもあった。第二次大戦前のフランス戦車には分割された溶接車体をボルトで接合した物もあったが、貫通しなくても被弾の衝撃でボルトが折損し装甲が脱落することがあった。そのため点ではなく線で接合される溶接式か一体鋳造式、または鋳造部品の溶接接合で製造されるようになった。現代の主力戦闘戦車においては、複数の装甲材をサンドウィッチ状に重ね、防御力の向上を狙った複合装甲が主流である。これは車体や砲塔の前面等の主要部に用いられるが重量があり、1990年代以降の主力戦闘戦車の総重量は50-70 t 程度であることが多く、これに対して1000-1500馬力級のエンジンで機動性を確保している。

10. 操縦席:車体前部にあり、普通の自動車同様、アクセル・ブレーキ・クラッチで操縦する。車体の操行は左右のレバーを引く古い方式(乾式クラッチ式からシンクロメッシュ方式まで様々)と、自動車やバイクのようなハンドルを用いるオートマチック式がある。戦闘中の視界は、かつては小さな覗視孔付きの小窓から直接覗くしかなかったが、その後ペリスコープや最近ではTVカメラによる間接視認法が用いられている。

火力

「戦車の敵は戦車」という考えから、最大の火力は敵の主力となる戦車を撃破するための滑腔砲が主砲として装備され、対人用や対軽車輌用といった軟目標には機関銃などの副火器を装備し、対航空機用の火器はそれほど有効なものを備えず、主砲と機関銃で攻撃することが想定されている。また補助として対戦車ミサイルが使用される場合もあり、車内から砲口を通して対戦車ミサイルが発射可能なガン・ランチャーも用いられたが、21世紀の現在は通常の戦車砲から発射可能な対戦車ミサイルも開発されている。

主砲砲弾

主砲の砲弾は攻撃する対象により弾種が選択される。戦車のような硬目標に対しては、多くが運動エネルギーによって装甲を貫徹する徹甲弾(AP)の中でも細長い弾芯を持ち貫通力を高めたAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)が使用され、モンロー/ノイマン効果を狙った成形炸薬弾(HEAT)も使用されることがある。21世紀の現在ではあまり使用されない傾向があるが炸裂時の衝撃によって目標の内部を破壊する粘着榴弾(HESH)も存在する。

兵員装甲車のような軽微な装甲を備えた軟目標や陣地のような目標に対しては、もし保有すれば榴弾が使われ、多くの場合は榴弾の特性も備えた成形炸薬弾が使用される。対人用としては、主砲同軸機銃や砲塔の上に搭載された機関銃が使用され、主砲砲弾を節約する。砲を撃ちあう状況では、地形条件により変化するが砲戦距離は、一般に、1,000から3,000mの距離で敵戦車と対峙した場合、3発以内で命中させないと相手に撃破されると言われているが、そのためには主砲の発射速度は毎分15発程度が求められる。

装填は今なお人の手で行われることが多いが、人力で円滑な装填動作を行うには砲弾重量は20kg程度が限界とされており、自動装填装置により装填が自動化されている戦車もある。また車内への砲弾の搬入は多くは砲塔上の装填手用ハッチから行われるが、労力軽減のため砲塔側面や車体に搬入口や自動装填装置の給弾口を設けている車輌もある。一時期は火炎放射機能を有する戦車も存在したが、被弾した際の引火のリスクが高い為に採用されなくなった。

乗員

通常は車輌を指揮する車長、操縦を行う操縦手、主砲を照準し射撃を行う砲手、砲弾の装填を行う装填手の4名である。自動装填装置が導入されれば装填手は不要となるが、随伴歩兵の協力が得られなければ、整備や周囲警戒、防御陣地の構築などの非乗務作業を3人だけで行なうには負担が大きすぎるという考えや、戦闘によって1名でも負傷すれば直ちに有効な戦闘が行なえなくなるという冗長性の不足を指摘する声もある。イスラエル陸軍では戦訓により「戦車を守るには最低4人必要」としている。

初期の戦車には現在の4名に加えて、通信を担当する無線手がいたが、無線機が進歩して車長が自分で扱える様になると廃された。また車体に前方機銃を備えた車輌では、操縦手の隣に副操縦手(または無線手)兼機銃手が配置されていた。また第一次世界大戦の戦車などでは、エンジンルームとの仕切りが無く走行中でも点検できたこともあり、機関手も乗っていた。

車内での状態

車外活動や脱出後のために乗員全員が拳銃を持つことが多い。また、車内にサブマシンガンやアサルトカービン、手榴弾が装備されている。通常これらは標準装備として内壁に固定されている。第二次世界大戦において車輌放棄時に余裕があれば、車体据え付けの機関銃を外して出ることもあった。アメリカ軍などは戦車に三脚を装備していた。日本でも、車輌放棄後は機関銃を持ち出し、臨時機関銃隊として歩兵戦闘に加入することもあった。また、旧日本陸軍では士官などが個人的に軍刀を持ち込むこともあった。

戦車兵の軍服は狭い車内で活動するため、他の兵科より裾を短くするなど、引っかからないように工夫されている。第二次世界大戦後になるとつなぎタイプの軍服を採用する軍隊が多数を占めるようになる。さらに破片などから身を護るために上から防弾チョッキを着用する事も多い。また戦闘帽は、単なるベレー帽や略帽を着用する場合も多かったが、頭部を保護するためのパットが内蔵されているものも多い。またヘルメットの場合、車内装備やヘッドホンに引っかからないように、縁が切り落とされているものもあった。車内はエンジン音や履帯の走行音などで騒がしいため、耳の保護と通話のためのヘッドホンを装着していることが多い。通話用には手持ち式のマイクや、ヘッドホンと一体化したインターコム式、喉に当て振動を拾って音声化するタコホーン式などがある。第二次大戦後の戦車では、車体後部に外付けされた通話器で、随伴歩兵が乗員と通話できる様になっているものも多い。

装甲

戦車がその能力を発揮し続けるためには、外部からの攻撃に対して内部の乗員や火砲、機動力を守る必要がある。防護性という点では、秘匿性を維持するための低姿勢設計や隠密設計、被弾時の人員の脱出効率なども評価対象となるが、通常は対弾防御能力でもってその性能を評価される。現在の主力戦車の正面装甲は、対抗する主力戦車が搭載する火砲に対し1,000mで攻撃を受けても耐えることが求められているとされるが、実際には常に競争を続ける盾と矛の関係であり、防護性能より火力性能が上回ることが多い。

装甲の歴史

出現した当初の戦車は、対人用の銃器に耐えられる程度の装甲しか持たなかったが、対戦車用の火砲が出現し、戦車自身もそれらを搭載するようになると、戦車は重装甲化への道を走る事になる。無論、厚くて重い装甲は機動性の妨げとなるため、両者のバランスが戦車開発の永遠の命題となった。

第一次世界大戦や戦間期の戦車は圧延鋼板をリベットまたはボルト留めした構造であった。しかし敵弾が命中した時の衝撃でリベットが飛んで車内にいる搭乗員や随伴歩兵を殺傷する危険があった。溶接技術が進歩すると共に、圧延鋼や鋳造鋼を溶接組みする製法が採り入れられた。第二次世界大戦中には、ソ連が避弾経始に優れた曲面形状の鋳造砲塔と傾斜装甲を装備したT-34戦車を投入、独ソ戦初期のドイツ側の攻撃を寄せ付けなかった。この後、いわゆる戦後第2世代戦車まで、各国で避弾経始を意識した戦車設計が行われた。

1970年代には、従来の圧延鋼や鋳造鋼ではほとんど阻止不可能なAPFSDS弾が登場して、それまでの傾斜装甲による避弾経始の有効性に疑問が生じた。APFSDS弾を防ぐために、装甲板にセラミック板などの異素材を挟み込んだ複合装甲が 1970年代後半から採用されはじめ、その後、世界中の第3世代戦車では装甲技術の主流となった。それらの戦車の中には傾斜装甲を捨てて垂直面の多い車体とするものも現れたが、21世紀初頭現在の第3.5世代戦車でも傾斜装甲が主流であり、あまりに傾斜角が強い為に砲塔の張り出しに引っ掛かってパワーパック交換に支障が出る物もある。

増加装甲

戦車には防護力を高めるために増加装甲が取り付けられる場合もある。はじめからその用途に開発されたものから、戦地にある部隊が独自に取り付けたものまである。素材も先進装甲から土嚢、セメントの類まで幅広い。工具箱や予備履帯の配置を工夫して増加装甲としての効果を期待する事もある。ただ、これらの事をすると当然車体重量が増え、機動性能が落ち、足回り装置に負担がかかる事になる。第二次世界大戦では増加装甲の取り付けが積極的に行われた。

現代では車種ごとに車体にフィットするような専用の装甲ブロックが供給される。最近では、装甲の一部を取り外し可能にして、破損時の交換や新型装甲素材への換装を容易にしたモジュール装甲(外装式と内装式がある)も一部で導入されている。中でも人的資源が限られているイスラエル国防軍が運用するメルカバでは、乗員の生存性を高めるために戦車の防御力強化に力を注いでおり、爆発反応装甲や中空装甲をいち早く導入し、エンジンを車体前部に配置して乗員を護る装甲の一部としている。

対成形炸薬弾(HEAT弾)対策

第二次世界大戦後期には、成形炸薬によるモンロー効果を用いた成形炸薬弾(HEAT弾)が戦車の脅威となった。運動エネルギーに頼らずに砲弾自体が発生させる超高速噴流によって装甲を貫くため、発射装置を簡略化することが出来た。この原理を用いたバズーカやパンツァーファウストなどの携帯可能なロケットランチャーや無反動砲により、歩兵の対戦車戦闘力が向上した。第二次世界大戦後はソ連製のRPG-7などが、歩兵用の対戦車擲弾発射器として広く用いられている。

第二次世界大戦時にドイツ軍戦車が用いた「シュルツェン」は、車体から離して薄い鋼板を張った増加装甲である。これはもともとソ連軍の対戦車ライフル対策であったが、HEAT弾に対し効果があることも判明した。HEAT弾を車体からできるだけ離れたところで起爆させ、ジェット噴流が車体に及ぼす効果を極力抑えようとしたもので、後にそれ専用として軽量化を意図した金網製の物も作られた。ソ連軍でもベルリン攻防戦時、ドイツ歩兵のパンツァーファウストへの対策として、砲塔の外側に金網やベッドスプリングを貼っている。

初期にはHEAT弾に対して装甲内に空洞を待たせることで対応するスペースドアーマーも登場し、燃料タンクとして利用する試みもなされ、 21世紀の現在でもプラスチックやディーゼル燃料を充填する試みが行なわれているが、対HEAT装甲の主役は鋼鉄製の装甲板にセラミック材や重金属を積層した複合装甲に移っている。

イラク戦争後、米英を主体とした駐留軍の車両も対HEAT装甲である鳥籠状の構造物で車体を覆っているが、これは前述のように独軍が採用した防御方法であったもので、その後に同じ着想のものが世界中で採用された。これがRPGの弾頭を数十%の確率で不発、または著しく効果を削ぐと云われている。

また対戦車ミサイル対策として、箱状の爆発反応装甲を主装甲の上に追加する事もある。初期にはHEAT弾にしか効果がなかったが、現代の爆発反応装甲はAPFSDS弾にも効果がある。爆発反応装甲の作動時にはその爆発によって車体周囲の随行歩兵や自車の装甲に損傷を与える恐れがあり、作動後はその箇所の防御力は低下してしまう。新世代のミサイルに対する装甲防御力が弱い旧世代戦車に、爆発反応装甲を全周に貼り付ける事で兵器寿命の延命を計ることがある。

弱点

重量と防御力を最適化するため、戦車の装甲厚は敵と向き合う前面が最も厚く、上面や底面が薄く造られている。対地攻撃機や対戦車ヘリコプター、地上の兵士が放つある種のミサイルでは装甲車輌の上面に攻撃を加えるトップアタック能力を持つものがあり、これらの兵器に対しては戦車の装甲も脆弱である。乗員が車内に出入りするためのハッチ、キューポラ、また外部を観察するためのスリット、あるいはエンジン部などは装甲を厚くできない箇所で、履帯や転輪のような駆動系も攻撃に弱い。また砲塔の形状によって、砲塔下部で跳弾した敵弾が車体上面を直撃してしまう「ショットトラップ」と呼ばれる現象を生じる事もある。車体下面も装甲は薄く、対戦車地雷によって損傷を受けることが多い。

敵への警戒という面で一番の弱点は狭い視界である。装甲の防御力を高めるために良好な視界が得られる開口部は減らされる。戦車は視界とともに外部音も遮蔽され一層周囲警戒が困難になる。敵歩兵からは1km以上先から戦車の走行音が聞かれてしまう。「戦車だけの部隊」は歩兵や隠蔽された車両に対して脆弱となる。戦車は登場した当初から歩兵の手榴弾や地雷による肉薄攻撃によって容易に撃破されてきたが、個人携行が可能な対戦車ミサイルによって離れた位置から戦車への攻撃が可能になると、戦車兵や同行の歩兵は徒歩によって周囲警戒する必要に迫られている。市街地戦闘では建物により戦車の車高より高い箇所が多く敵兵の潜伏箇所が多い上、その視界の狭さや音の遮蔽がさらに不利となる。

さらに詳しく → 戦車
歴史と種類編 → 戦車とは~歴史編





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