クラスター爆弾とは

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2009/12/30(水)
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クラスター爆弾(クラスターばくだん)とは、容器となる大型の弾体の中に複数の子弾を搭載した爆弾である。クラスター弾、集束爆弾(しゅうそくばくだん)とも呼ばれ、昔は親子爆弾とも呼ばれた。

定義

2008 年5月28日、ダブリンで行われた「クラスター弾に関する外交会議」(Diplomatic Conference for the Adoption of a Convention on Cluster Munitions)で採択された「クラスター弾に関する条約」(Conventions on Cluster Munitions)第2条で、クラスター弾の定義は次のように定められた。

* 「それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの」

概要

主に航空機や地対地ロケット弾、砲弾などに搭載される。通常の空対地爆弾とほぼ同サイズのケースの中に、小型爆弾や地雷で構成される数個から数百個の子弾を内蔵する。このケースが発射、投下の後に空中で破裂することで子弾を散布し、多数の小規模な爆発を引き起こすなどして広範囲の目標に損害を与える。多数の小型爆弾で、人的被害や、あまり強固ではない建造物、装甲の薄い兵器に対して広範囲の被害を狙うものと、少数の対戦車誘導爆弾を搭載して機甲部隊への打撃を狙うものがある。対人地雷を子弾とする場合、オタワ条約の規制対象となる。

フィンランドにおける冬戦争では、ソ連空軍が、空中で回転しながら遠心力で60発の小型焼夷弾を散布する収束爆弾コンテナを実戦で使用している。また第二次世界大戦中のドイツ空軍は対人馬用収束爆弾として、重量2kgの小型爆弾SD292発をコンテナに収容したものを運用。アメリカ陸軍航空軍はドイツ軍がロンドン爆撃で使用した焼夷弾を参考に開発した、38ないし48発の焼夷弾をコンテナに収容し高度 700 m で爆散させ、高密度に焼夷弾を降らせる集束焼夷弾E46を日本への空襲に使用している。

ベトナム戦争においては、爆弾本体に野球ボール大の子爆弾を300個ほど内蔵し、その子爆弾ひとつの炸裂で 600個ほどの金属球を飛散させる『ボール爆弾』が使用された。この子爆弾は手榴弾や指向性の無い散弾地雷のように、弾炸裂周辺部にいる人員や通常の車両など、装甲を持たない標的に被害を与えるもので、加害面積は親弾の炸裂高度によって変化する。

クラスター爆弾には様々な種類の子弾が存在し、米軍では対人・対装甲車両用の子弾を202発収めた CBU-87/B、戦車などを目標とする対装甲用子弾を10発収めた CBU-97/B、対装甲用成型炸薬子弾を247発収めた CBU-59(ロックアイII)などがある。爆発性が無いためクラスター弾に関する条約の条件には合致しないが、炭素繊維のワイヤーを放出して送電施設をショートさせ、停電を引き起こすBLU-114/Bのような非致死性兵器も存在し、これは停電爆弾と呼ばれる。

子弾1つは通常は小型の爆弾であり、鉄筋コンクリートビルやトーチカのような強固な建造物に対する破壊力は低い。小型の爆発物を散布することで他の普通の航空爆弾より広い範囲に被害を与えるため、対人や対車両用の面制圧兵器として使われる。対装甲目標用に成形炸薬弾頭を持つ子弾は、リボンや小型のパラシュートが取り付けられ、姿勢を垂直に向けて落下することで装甲厚の比較的薄い車両上面部に最適の角度で接触し起爆・穿孔するように設計されている。

在来型航空爆弾との比較

クラスター爆弾が開発されてきた背景は、在来爆弾に比べて総合的費用対効果に優れるからである(弾の単価は高い)

* 重量に対する制圧面積が広く、少ない航空機数で従来型の航空爆弾と同様の爆撃面積を得られるため、爆撃機数の削減が可能になる。

o 2乗3乗則 在来型の航空爆弾は大型であるほど重量あたりの殺傷面積効率が低下する。殺傷半径を2倍にすれば、殺傷面積は4倍になるが、高圧ガス球体積=爆弾重量は8倍を必要とする。

* 地上部隊に対して短時間で面的制圧を行えるため、国境線が長かったり、障壁となる地形が乏しいなどの事情を持つ地域では、対人地雷と同様に戦術上有効とされる。

不発弾問題

対戦車用の成型炸薬弾型など、爆発に指向性があるものは、弾頭部が下を向くようパラシュートやリボンなどで落下姿勢を調整するが、これが対地落下速度を弱め、落下場所によっては信管に十分な衝撃が加わらなかったり、リボンやパラシュートが木や建物に引っ掛かって不発となる場合がある。

種類や小弾の性質・運用状況にもよるが、過去の運用実績上の不発率は約5%から40%とされている。通常爆弾と同程度まで不発率を下げても、大量の小弾を散布するクラスター爆弾の性質上、爆弾の総数が多いことで不発弾となる数が増える。戦闘終結後に不発弾に接触した非戦闘員が被害を受けることが、非人道的とされることもある。

戦闘後の被害

国際連合のレバノン南部地雷活動調整センターは、2006年8月までにレバノンで使用された旧式のクラスター爆弾で、子爆弾の4割が不発のまま残ったとしている。この戦闘ではイスラエル軍によりヒズボラに対して子爆弾644発を積載したクラスター爆弾が最低でも1800発使用されたが、これの不発分が市街地などに散乱しており、全ての撤去には1年以上かかるとされている。

残留した不発弾が戦後復興に影響する場合もあり、レバノンでは、戦闘中に避難していた市民が乗用車で戻ってきたところ、その車列で爆発が発生、驚いた市民らが車から降りて更に爆発が発生し、30分で市民15人が死傷したケースもあると2006年09月20日の朝日新聞が報じている。中には木に引っ掛かった状態の子爆弾もあり、2006年10月23日の朝日新聞報道では、果樹園で取り入れを手伝っていた子供の死亡事例が多いと報じている。同記事は同年 8月14日から10月22日までの間に、20名が死亡、120名が負傷したとしている。

2003年には、ヨルダンのアンマン国際空港において毎日新聞社のカメラマン、五味宏基が「取材活動の記念に」とイラクから持ち出した不発弾が爆発し、空港職員が1人死亡、空港職員と一般人の計2名が負傷する事件が発生した。爆発したのは、形状などから地上発射兵器MLRSのロケット弾で散布される成型炸薬弾M77と見られている。

2008年8月に起きた南オセチア紛争において、グルジア政府はロシア軍がクラスター爆弾を使用したとして非難し、欧米マスコミもこれを大々的に報じた。ところが後に、関係者の証言からグルジア軍自身もクラスター爆弾を使用していたことが発覚する。双方の使用による犠牲者は数十名ほどでは無いかと見られている。

フランスのリヨンとベルギーのブリュッセルに本拠のあるNGO団体Handicap International(ハンディキャップ・インターナショナル)は「この爆弾で被害を受けるのは、過去98%が一般市民だ(残りが本来の目標である軍人)と主張し、クラスター爆弾の使用を非難している。

使用禁止に向けた動き

2006 年2月16日には、世界に先駆けてベルギーがクラスター爆弾を法的に禁止した。
2007年2 月22日から23日には、ノルウェーが呼びかけたクラスター爆弾禁止に関する国際会議が、ノルウェーの首都オスロで開催された。 49ヶ国が参加したこの会議では、参加国中の46ヶ国によって、2008年中にクラスター爆弾の使用・製造・移動・備蓄の禁止条約を実現させることを目指すという内容の「オスロ宣言」が採択された。この宣言は「受け入れがたい民間人被害をもたらすクラスター爆弾を禁止する条約を08年中に作る」とも述べ、クラスター爆弾の廃棄、使用された爆弾の撤去や被害者のケアへの枠組づくりも含んでいる。ノルウェー等の提唱有志国が禁止条約作りを目指す運動を『オスロ・プロセス』と呼ぶ。

同会議に参加していた日本、ポーランド、ルーマニアの3ヶ国はこの宣言に加わらなかった。アメリカ、イスラエル、ロシア、中国等、主要なクラスター爆弾の配備運用国は会議そのものに参加していない。 イギリスは土壇場で参加を決め、会議の翌月に、英軍使用のクラスター爆弾を自爆機能のついたものへ切り替え、不発弾による被害を生じやすいものは即時使用を停止し、廃棄することを決定した。オスロ会議の前後にはノルウェーやオーストリア、スイスなどがクラスター爆弾の使用を凍結している。2006年2月に使用を禁止したベルギーは、会議後の2007年3月にはクラスター爆弾を製造している企業への投資を違法とした。

日本が当初宣言に加わらなかった理由は、国際的に見て特殊な防衛事情を持つ日本の安全保障上の判断とされている。詳細は『保有国の対応』の節を参照。2007年5月23日から25日には、ペルーの首都リマで 68ヶ国が参加して「クラスター爆弾禁止リマ会議」が開催されたが、禁止条約の草案の合意には至らなかった。2008年5月28日のダブリンでの国際会議で、無力化機能を有する一部の型を除いて禁止する条約案が合意された。条約文第2条は、「禁止対象とならないクラスター弾」の要件を以下のようなものとしている。。

* (第2条2項c) - 周囲に対する無差別的な影響ならびに不発弾による危険性を回避するために次の特性を備える弾薬。

1. 10個未満の爆発性子弾しか含まない。
2. それぞれの爆発性子弾の重量が4キロ以上である。
3. 単一の目標を察知して攻撃できるよう設計されている。
4. 電気式の自己破壊装置を備えている。
5. 電気式の自己不活性機能を備えている。

不発弾の性質

クラスター爆弾の不発弾を「意図的に不発になるよう仕組まれており、復旧作業の妨害を狙っている」、「民間人(子供)の興味を引く玩具のような形状と色にして、拾うように仕向けている」、「地雷禁止条約の抜け道として、不発弾を地雷代わりにしている」とする批判がある。

しかし滑走路などの軍事目標に対して復旧を遅らせる目的で、爆撃終了後に爆発するよう時限信管を設定したり、あるいはクラスター爆弾でも子弾として地雷を混在させて使用する(かつてイギリス空軍のトーネードに搭載されたJP233ディスペンサー)例もあるが、不発弾は発生が偶発的で分布などをコントロール出来ないので「意図的な不発」や「子供を狙って」いるわけではない。玩具のようとされる形状は空気抵抗で落下姿勢などを調整するためのもので、明るい黄色などの鮮明な色に塗装されているのは、目に付く色で不発弾の存在を強調して触らないよう注意を促し、戦闘終了後の発見回収を容易とするためのものである。

この警戒色は、人道援助として空中散布される救援用非常食(レーション)を目立たせるための塗装と同じ色だったことで、アフガニスタンでは混乱の原因となった。アメリカ国防省は2001年11月1日にこの問題を認め、クラスター爆弾の危険性に対して市民に注意を促すチラシを配布すると共に、非常用食料はオレンジ色のパッケージに変更すると発表している。

さらに詳しく → クラスター爆弾  MLRS  クラスター爆弾禁止条約  非政府組織(NGO)



行動する市民が世界を変えた クラスター爆弾禁止運動とグローバルNGOパワー行動する市民が世界を変えた クラスター爆弾禁止運動とグローバルNGOパワー
(2009/10/22)
目加田 説子

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タグ : 爆弾 クラスター爆弾 MLRS クラスター爆弾禁止条約 非政府組織 NGO

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