AH-1 コブラ (AH-1 Cobra)

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2012/06/06(水)
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AH-1 コブラAH-1 Cobra)はベル・ヘリコプター・テキストロン(ベル・エアクラフト)社が開発した、世界初の攻撃ヘリコプターである。

概要

UH-1をベースにベル・ヘリコプター・テキストロン社(当時)が開発した世界初の本格的な攻撃ヘリコプターで、その後登場する各国の攻撃ヘリコプターに大きな影響を与えた。当初はAH-56の開発の遅れからその完成までのつなぎとして採用されたが、AH-56がキャンセルされた為に、主力攻撃ヘリとして運用され続ける事になった。

20mm機関砲やTOW対戦車ミサイル等を主武装とし、ベトナム戦争や湾岸戦争等の多くの戦闘に投入された。アメリカ陸軍では後継機種であるAH-64 アパッチに交代しているが、改良型がアメリカ海兵隊で運用されている他、日本の陸上自衛隊を初めとする諸外国でも現役で使用されている。

開発経緯

攻撃ヘリの胎動

アメリカ陸軍は、1960年代初頭より本格的な攻撃ヘリコプターの開発を検討していた。しかし、アメリカ空軍が攻撃ヘリコプターの構想に強く反対したため、UH-1のような多用途ヘリコプターに兵装を施すガンシップ的なものを計画した。

しかし、ベトナム戦争においてヘリに機銃やロケット弾を装備させたガンシップを運用したところ、重量増加による巡航速度が著しく低下するなどの問題が発生した。また生存性の低下も課題となった。エンジンの換装や装甲板の貼り付け、防弾ガラスの重ね合わせなどの応急処置がとられたが、元が輸送用ヘリコプターであるため決して良策とは言えなかった。

ベトナムの情勢が悪化する中で、ベル社は自社資金により独自に攻撃ヘリコプターの研究を進め、1962年に「D255イロコイ・ウォリア」と呼ばれるモックアップ(実寸大模型)を完成させた。

D225はUH-1をベースにした攻撃ヘリコプターで、タンデム(縦型)式コックピット、機首下面のターレット、胴体中央部に取り付けたスタブ・ウィングなど、後に出現する攻撃ヘリの特徴を既に備えていた。このD225は実際に製作される事はなかったが、アメリカ陸軍関係者の注目を集めるには十分であった。

ベル社は続いて、OH-13を改造した「モデル207」と呼ばれる実験機を製作した。この機体もやはりタンデム式コックピットを有し、M60機関銃を二挺備えたチン・ターレットを備え、胴体にはロケット弾ポッドを装備していた。モデル207は1963年1月から約300時間の飛行テストを行い、タンデム式コックピットや兵装システムが攻撃ヘリとして最も適しているものだと確認された。

AAFSSとモデル209

1964年、アメリカ陸軍は新型空中火力支援システム(AAFSS)計画を立案し、要求仕様を国内のメーカー各社に提示した。この時ベル社は、UH-1をベースに「モデル209」を自社資金で開発した。モデル209はUH-1Cにモデル207の実験で得られた成果を生かした攻撃ヘリコプターで、1965年3月にJ・P・ダプスタッド技師を中心に開発を開始したものだった。

この機体は、ガンシップの戦訓から「低振動で良好な視界を確保する」という条件を重視して開発されたが、エンジンやトランスミッション系、尾部コーンローターシステムなどはUH-1となんら変わらないものだった。しかし、胴体の座席はタンデム式に並べた複座となっていて、正面から見ると極端に縦に細い胴体が新規に設計されている。

また、胴体中央部に4基のパイロンを有するスタブ・ウィングが取り付けられ、これ自体が高速時にある程度の揚力を発生させることで、モデル209の機動性向上にも寄与していた。しかもスタブ・ウィングの下のパイロンには、ロケット・ポッドとミサイルを設置することができる。また機首には可動式ガトリング砲を標準装備することで多方面への攻撃性を増している。この機体の開発は短期間で行われ、1965年9月7日に初号機が初飛行している。

国内のほとんどのメーカーが参加したこの計画は、翌1965年にロッキード社のAH-56Aシャイアンが選定機種として採用され、モデル209は不採用に終わった。しかし、順調にテストが行われたとしても、部隊配備が1970年頃になると推定された。そのため、アメリカ陸軍はAH-56をAAFSSに採用した時点で、すでにベトナム戦争に投入させる暫定的な攻撃ヘリコプターの開発を模索した。

暫定攻撃ヘリの採用

1965年、アメリカ陸軍は現用ヘリコプターで攻撃ヘリコプターに転換可能な機種を検討するための委員会を設置する。そして委員会は以下の5種を選出する。

* モデル209(ベル社)
* ACH-47(ボーイング社)
* S-61A(シコルスキー・エアクラフト社)
* UH-2(カマン社)
* モデル16H(パイアセッキ社)

そして「モデル209」「S-61A」「UH-2」の3機種まで絞られ、1965年末よりエドワーズ空軍基地で2ヵ月間の実機テストが行われた結果、「モデル209」が暫定攻撃ヘリコプターに選出されたのである。

モデル209にはAH-1G ヒューイコブラという制式名称が与えられ。1966年4月に試作機(プロトタイプ)2機に続き、量産機100機の発注がなされた。そして1967年の9月には実戦に投入されている。

一方、本命であったAAFSS計画は、AH-56の技術面・コスト面の問題を解決する事が出来ず、構想の大幅な見直しなどが重なったことからキャンセルされてしまった。よってAH-1に主力攻撃ヘリの座を譲る事となり、今日に至る。また、このキャンセルによって暫定攻撃ヘリコプターという呼び名も使用されなくなる。

特徴

機体

最大の特徴は、幅99cmという非常にスリムな胴体と、搭乗員をタンデムに配置した事である。これによって前面面積はUH-1の約三割にまで減少され、速度の大幅な増大と低視認性がもたらされた。初の量産型であるAH-1Gのエンジンは「T53-L-13」が搭載され、巡航速度は時速278kmに達する。

コックピットは、前席が射手兼副操縦席、1段高い後席が操縦席となっている。基本はモデル209と大差ないが、AH-1Gとの相違点は速度向上を図って採用された引き込み式スキッドの装備にある。これは重量増加に対し、それほど効果がないと判断されたため、G型以降の量産機では固定式に変更された。

半関節型ローターのために、マイナスGによる機動制限がある。これは、強いマイナスGのかかる機動では、ローターヘッドが浮き上がりマストが破壊されるマストバンピングが発生するため。急激な頭下げ動作や、起伏の激しい山の稜線に沿って飛ぶ機動が、制限されるという側面もある。(設計と採用者側の問題)

武装

機首下面のターレットには、7.62mm ミニガンと毎分400発の射撃が可能なグレネードランチャーの搭載が可能である。なお、AH-1Sアップガン型以降の機体ではユニバーサルターレットに換装され、発射速度毎分680~750発(切り替え可能)の20mm M197三砲身ガトリング砲を搭載する様になった(30mm M230チェーンガンの搭載も可能)。

胴体中央部のスタブ・ウイングには4ヶ所のパイロンがあり、ミニガンポッド・ロケット弾ポッド・TOW対戦車ミサイル等の兵装を、最大で700kgまで装備することが可能である。

改良

ベトナム戦争終結後には、AH-1GにTOW対戦車ミサイル運用能力付与がなされた。TOW運用能力を付与された機体はAH-1Qと呼ばれ、機首部に光学望遠鏡方式の照準装置を装備しているのが特徴である。

米陸軍では、重量増加によるエンジンの出力不足が問題視されたため、ICAM(発展型コブラ俊敏性及び機動性)計画が立案され、エンジンを熱出力 1,800shp(軸出力1485shp)のT53-L-703に換装、トランスミッション、機体各部の強化が施されたAH-1Sが登場する。

なお、AH-1Sはその後も段階的に改修が加えられており、いくつかのバリエーションがある。 AH-1Qから改修した機体と初めからAH-1Sとして生産された初期生産型、初期生産型をより能力向上させた型、さらに、これに近代化改修を施した型で、AH- 1S改修型(MOD)=AH-1S、AH-1S量産型(PROD)=AH-1P、AH-1Sアップガン型(ECAS)=AH-1E、AH-1S近代改修型(MC)=AH-1Fと分類される。

1986 年3月から実戦配備されているアメリカ海兵隊向けの「AH-1W スーパーコブラ」などの派生型もある。最新型は「AH-1Z バイパー」で、米海兵隊は2004年から2013年までに180機を「AH-1W スーパーコブラ」から「AH-1Z バイパー」にOH時に改造更新することを計画している。なお、陸軍向け仕様のAH-1S系統だけは、太陽光の反射による発見を防ぐためキャノピーが角ばった平面型となっている。

形式

AH-1G
初期生産型。1966年よりアメリカ陸軍が調達を開始し、ベトナム戦争に多数が投入された。

AH-1J
アメリカ海兵隊向けAH-1G。エンジンを双発とし、エンジン出力の増加を図った。「シーコブラ(Sea Cobra)」の愛称で呼ばれる。

AH-1T
AH-1Jの改良型で、搭載燃料の増加と胴体の延長が行われた。

    AH-1W
AH-1Tの発展型。詳細はAH-1W スーパーコブラを参照。

    AH-1Z
        AH-1Wの改修機でメインローターを4枚とし、電子機類の性能向上に伴う戦闘力の向上が図られる。

AH-1Q
AH-1Gの改良型でTOW対戦車ミサイルの運用能力を有し、機関砲をターレット状に変更している。

AH-1S
AH-1Qの改良型。AH-1Qで指摘された機体重量の増加による運動性能の低下を補うため、エンジンの換装が行われた。また、風防形状の変更や搭載機器の改良等、各部に改良が施された。新規生産のほか、AH-1G/Qの一部の機体にもS型への改修が施された。

    AH-1P(AH-1S量産型)
    AH-1Sの量産型。

    AH-1E(AH-1Sアップガン型)
    射撃能力の向上を図り、機関砲と照準器をターレットに装着した形式。

    AH-1F(AH-1S近代改修型)
    近代化改修が施されたAH-1S。

性能・主要諸元

AH-1G

* 乗員:前席:射撃手、後席:操縦士(計2名)
* 主回転翼直径:13.4m
* 胴体長:13.4m
* 全高:4.1m
* 自重:2,754kg
* 最大離陸重量:4,309kg
* 発動機:ライカミングT53-L-13(1,100shp)×1
* 超過禁止速度:219mph、(352km/h)
* 実用上昇限度:3,475m
* 武装
    o 7.62mm多目的ミニガン×2 または 40mm M129グレネードランチャー×2
    o M200ハイドラ70ロケット弾ポッド(ロケット弾19発入り)×2

AH-1S

* 乗員: 前席:射撃手、後席:操縦士(計2名)
* 主回転翼直径:13.41m
* 胴体幅:3.28m
* 全長/胴体長:17.44/13.59m
* 全高:4.19m
* 自重/最大重量:3,076/4,536kg
* 発動機:ライカミングT53-K-703(1,485shp)×1
* 超過禁止速度:315km/h
* 巡航速度:228km/h
* 実用上昇限度:3,960m
* 航続距離:456km
* 武装
    o 20mm M197 ガトリング砲×1(固定武装)
    o TOW対戦車ミサイル×最大8発
    o JM261ハイドラ70ロケット弾ポッド(ロケット弾19発入り)×2

さらに詳しく → AH-1 コブラ  攻撃ヘリコプター



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