F-22 "ラプター" (Lockheed Martin F-22 "Raptor")

航空兵器・陸上兵器・海上兵器・銃器・戦争・紛争・歴史・革命・テロ・事件・軍事動画・ニュース(報道)・社会情勢・政治運動・評論・講演など、軍事関連の情報を公開しています。宗教・思想・経済・政治的なものも少しアリ

広告
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009/12/25(金)
*





F-22ロッキード・マーティン社とボーイング社が共同開発した、レーダーや赤外線探知装置等からの隠密性が極めて高いステルス戦闘機。愛称は猛禽類の意味のラプター(Raptor)。また、開発元のロッキード・マーティン社は航空支配戦闘機というキャッチフレーズを用いている。

概要

アメリカ空軍のF-15C/D制空戦闘機の後継機として、ロッキード・マーティン社が先進戦術戦闘機計画に基づいて開発した、第5世代ジェット戦闘機に分類される世界初のステルス戦闘機。ミサイルや爆弾の胴体内搭載などによるステルス特性や、ミリタリー推力での音速巡航(スーパークルーズ)能力を特徴とする。

同空軍が運用するF-15E戦闘爆撃機と同じく多用途戦術戦闘機に分類されるが、対地兵装の搭載能力は限定的であり、ステルス特性を生かして効果的に対空装備を無力化したり、より空戦能力側に振った能力を生かすことにより、航空優勢を確保するための機体と言える。

冷戦下に開発が行われ、アメリカ空軍の試算では1996年からの調達で最終的には750機の配備を予定していた。しかし、開発の遅れや冷戦の終結に伴って、機種転換訓練向けに2003年から配備が開始され、実戦部隊が運用を開始したのは2005年12月だった。最終的な装備機数は187機(試作機、EMD試験機、量産準備試験機を含めた総製造数は197機)で、開発費の高騰や生産数の縮小により、一機当たりのコストは約1億5,000万ドルに達している。

2011年現在までに実戦への参加はないが、そのステルス性の高さなどから世界最強クラスの戦闘能力を持つとされる。一方でその高度な軍事技術の転移への懸念や運用コストの高さなどから、アメリカ空軍のみの配備に留まっている。コストの高騰・予算削減を背景に2009年度の調達分により生産終了が決定し、2012年には最終機の組み立てが終了する予定である。

開発経緯

アメリカ空軍は1985年10月にアメリカ国内の航空機メーカー7社に対して要求したATF(先進戦術戦闘機)のコンセプトデザインから1986年7月にロッキード社とノースロップ社の2案を選定の上で実機開発を5社2チームへ発注し、ロッキードのチームはYF-22、ノースロップのチームはYF-23をそれぞれ2機ずつ製造した。

搭載するエンジンについても競争試作としてプラット・アンド・ホイットニーのYF119-PW-100とGE(ゼネラル・エレクトリック)のYF120-GE-100を開発した。

評価試験は2種の試作機と2種のエンジンの組み合わせからなる4機で進め、1991年に評価の詳細を非公開としたままでYF-22とYF119-PW-100の組み合わせの正式採用を決定した。YF-22およびYF-23の4機の試作機、及びYF119とYF120両エンジンの開発には、約38億ドルの費用が費やされた。

F-22選定後、1991年8月にロッキード社は先行量産型開発の契約を受け単座量産型と複座量産型の設計作業を開始する。製作された2機の試作機も量産機開発のために引き続き投入され、試作1号機は技術立証機となり、2号機はエドワーズ空軍基地にて同年10月23日より飛行試験を開始したものの1992年4月に飛行試験中の墜落事故で主翼や尾翼を一部破損した上に火災も起こし(パイロットは無傷)、修理費が掛かり過ぎることからアビオニクス類の評価試験へと回された。

1992年6月に終了した単座・複座量産型の設計作業ではエアブレーキの廃止や空中給油口の追加、各部の寸法変更を行った。基本レイアウトの変更はないものの主翼後退角を48°から42°へ減らし、合わせて水平尾翼の後退角も42°とし、垂直安定板は外側に28°傾け、各翼の面積や形状も変更している。

1993年4月の先行量産型1号機の製造開始時点で、冷戦の終結に始まる国防費の削減やアメリカ軍全体の再編等の影響から調達数は750機から648機へ削減されている。

1994年3月には実物大模型(モックアップ)による試験でレーダー反射断面積(RCS:Radar Cross Section)の目標超過が判明し、原因となったパネルの形状を変更した。

1995年2月に量産機の組み立て作業が承認され、先行機を使用したエンジンや電子機器類等のチェック作業と並行しての組み立てが進み1997年4月9日に量産型1号機がロールアウトした。この間にも、モックアップの製作まで行われた複座型のF-22Bの導入中止や451機への調達機数の削減など、導入計画の縮小が進む。

特徴と性能

F-22は『ステルス性が高いこと』『アフターバーナーを使用しないでスーパークルーズ(超音速巡航)ができること』『STOL(短距離離着陸)が可能なこと』という3つのSの要求通りの性能を持っている。

基本構造

一般的なモノコック構造を採用し、素材別の機体重量比はチタニウム6-4 36%、熱硬化性複合素材24%、アルミニウム16%、鋼鉄6%、チタニウム6-22-22 3%、熱可塑性材料1%、その他15%となっている。

F-22ではF-117やB-2などの攻撃機や爆撃機(戦略爆撃機)と比較して、より高度なオール・アスペクト(全方位)のステルス設計となっている。レーダー探知を可能な限り避けるため、レーダー波を吸収するレーダー波吸収素材(RAM)を使用するだけではなく、吸収しきれなかったレーダー波を内部反射と減衰を繰り返して吸収するレーダー波吸収構造(RAS)も採用した。機体表面にはレーダー波吸収素材を含んだ塗料が用いられ、レーダー波は熱へと変換され、これもレーダー反射断面積を低減させる。

さらには外部形状の様々な工夫も合わせて、レーダー反射断面積は0.001~0.01m²程度と推定されている。ストレーキの採用や主翼と水平尾翼の間に若干外側に傾けた垂直尾翼を配置するという全体構成は、F/A-18などの従来の戦闘機に先例がある。そのため、先進戦術戦闘機計画にて対抗馬となったYF-23に比べ、驚くほど平凡な外形となった。

しかしながら細かく見ると、主翼は複雑な六角形の変形デルタ翼であり、照射されたレーダー波を特定方向に反射するために機体を構成する角度は可能な限り同一になっている。更には主翼の後縁の若干の前進角と垂直尾翼とエアインテーク部分についてもほぼ同角度の傾斜を持たせている(平面整列(Planform Alignment))。

機体の平面と平面を繋ぐ曲面部分は「コンティニュアス・カーバチャー」と呼ばれる連続的な曲率を用いたデザインとする等、随所にステルス性向上のための高度な設計を施している。1980年代以降の主流ともいえるカナード付きデルタ翼形式を採用せず、あえて時代に逆行したかのような設計になっているのも、ステルス性を優先した結果である。

燃料タンクは機体前部、及び左右の主翼内部に備わっている。YF-22では機体背部にエアブレーキを搭載していたが、F-22ではこれを廃止した。これに伴って、垂直尾翼の方向舵がエアブレーキとして機能する。

キャノピーは厚さ9.5mmのポリカーボネートを2枚重ね合わせて成形されており、F-117と同じように金を蒸着コーティングすることでコックピット内部へのレーダー波の進入を防いでいる。

機体の部品点数は従来機に比べて非常に少なく、F-15Eの三分の一以下しかない。これは機体構造のフレームピッチが広くなり個々の機体部品が大型化したこと、ステルス化のために機体外板の継ぎ目を減らすことを必要としたことによる。

このため、部品製作の工作機械に対する初期投資が大きくなっている。部品点数の少なさは大量生産時の生産効率の向上に寄与するものの生産数が少ないためにその効果は現れず、また、生産設備コストが開発コストと並び機体単価の多くの割合を占めるに至っている。

エンジン

エンジンはプラット・アンド・ホイットニー社のF119-PW-100を2基搭載する。ミリタリー出力でのスーパークルーズ能力を実現するため、従来の低バイパスターボファンエンジンよりも更にバイパス比を小さくしているとされる。アフターバーナー使用時の最大推力は35,000lb(155.7kN)とされるが、不使用時の最大推力は未公開である。

また、F-22のエンジンにはF-15 S/MTDの実験で開発された、上下方向に20度まで推力軸を傾けることができる推力偏向(TV)ノズルを採用している。これにより遷音速域でF-15を上回る旋回性能を持ち格闘戦性能も高い。また、約1000mという短距離での離陸を可能としている。

しかし常用高度4万フィートでスーパークルーズを行うF-22にとって、TVノズルの一番の採用理由は、方向舵や昇降舵など空気力学的機体制御の効果の低い超音速域や、大気密度の低い高高度飛行時において、運動性を発揮できる点である。TVノズルを低速度・低高度域でも積極的に使用して機動性向上を目指しているロシア製戦闘機とは、開発の主眼や運用思想が根本的に異なっている。そのため複雑な作動をするロシア製TVノズルに対し、F-22のTVノズルの作動は非常にシンプルなものとなっている。

ただし、ステルス性を利用して敵に探知されない遠距離から攻撃を加える(first look, first shot, first kill)ことを想定しているため、ドッグファイトに持ち込まれる可能性は低いとされている。なお、遠心力は速度の二乗に比例し半径に反比例するため、超音速域での旋回では容易に高い遠心力を生じる。そのため、パイロットの体を保護する新型の耐GスーツCE-ATAGS(COMBAT EDGE and Advanced Technology G Suit)を機体と併せて開発した。

スーパークルーズについては、アフターバーナーの使用なしで最大巡航速度マッハ1.58となっている。ただし、マッハ1.7まで到達したという発表もある。アフターバーナーを使用しないスーパークルーズには赤外線放出量を抑える効果もある。

アビオニクス

アクティブ・フェーズド・アレイ(APA)方式のAN/APG-77レーダーを火器管制用レーダーとして機首に搭載している。レーダー自体はステルス性とは相容れないものであるが、APA方式は電波の横漏れ(サイドロープ)が少なく従来の機械走査式レーダーに比べて自己の位置を暴露しにくい。

また、周波数拡散技術により特定周波数での出力が低く抑えられ、LPI(低被探知)レーダーとなっており、また、「ファーストルック・ファーストショット(先に見つけて、先に撃つ)」の最重要要素となっている。また、相手の発するレーダーや通信電波を逆探知して方向を解析するESM(Electronic Support Measures)を備えている。

電子機器はリスク分散のため複数搭載されており、列線交換ユニットの採用により整備性が高い。飛行操縦系統には3重のフライ・バイ・ワイヤ(FBW)を使用しており、飛行姿勢の安定性は高い。また、パイロットがブラックアウト・レッドアウトを起こしたり、平衡感覚が狂ったりした場合には、操縦桿を離すことで機体を自動的に水平状態に復帰させる機能もある。

ネットワーク機能の充実も大きな特徴である。飛行中のF-22は互いに編隊内データ・リンク(IFDL:In Flight Data Link)により戦術情報を交換し、連携して戦闘行動を取ることができる。

また、索敵範囲を超える敵機及び友軍機の情報を受信用統合戦術情報伝達システム(JTIDS)を用いることで、他のF-22飛行隊や早期警戒管制機、レーダーサイト、イージス艦、陸上の小隊の端末、司令部やアメリカ国防総省など、広域データリンク網によってあらゆる情報を受信できる。自ら発するレーダー波に頼らずに外部からの情報で位置確認や索敵を行う能力は、ステルス性を発揮する上では必須といえる。

より高性能な双方向データ・リンクMADLの搭載計画があったが取り消されたため、現状では他機種や他軍種の部隊とのデータ・リンク接続能力はない。

アビオニクスのソフトウェアは1983年にMIL規格となったアメリカ国防総省の標準高等言語であるAdaで開発された。開発規模は実装のソフトウェア依存度が高まったことにより、F-15Aのソフトウエアの200,000行(開発言語不明)に比べて2,200,000行と激増した。

ソフトウェアの内訳は航法28%、レーダー12%、電子戦14%、通信14%の四分野で全体の7割近くを占めている。またレーダーと電子戦装置だけで全体の消費電力の90%を占めている。

近年ではソフトウェア開発が武器開発に占める割合が激増しており、AIM-120でも数十万行(開発言語不明)、F-35に至っては4,300,000行を超えるソースコード作成が作業工数全体の40%以上を占めると言われている。

一般的にソフトウェア開発規模の増大は要員増以外の効果的対策がないために開発コストを著しく押し上げる。開発コストは生産数を多くすることで機体単価に占める割合を押さえることが可能だが、現在の生産数ではその効果は得られていない。

武装

固定武装としてゼネラル・エレクトリック社製のM61A2機関砲(弾数480発)を装備している。M61A2はM61A1を長銃身化した改良型である。機関砲発射口はステルス性を考慮して普段は閉じられ発射時のみ開く。そのために引鉄を引いてから初弾の発射までの時間差は若干増している。

また、ステルス性を発揮するための運用の場合は、全兵装は胴体の下面1箇所と側面2箇所の計3箇所のウェポンベイ(兵器庫)に搭載される。

下面ウェポンベイ内には「トラピーズ」(Trapeze:空中ブランコの意)と呼ばれるアームが備わっており、兵装はウェポンベイ内で切り離して自由落下させるのではなく、このアームが伸びることによってウェポンベイ内から機外へと放出される機構となっている。

左右側面2箇所の短距離空対空ミサイル専用のウェポンベイには、AIM-9M/Xを搭載する。しかし機体自体の旋回性能が卓越していることと、使用優先順位が低いなどの理由からAIM-9Xの搭載は見送られている。サイドワインダー使用時は扉を開き、シーカーを機体の外に露出させなければならないため、ステルス性は著しく低下する。

ちなみにこの時、サイドワインダーは斜め横を向いた状態にセットされる。サイドワインダー収容部後方には、発射時のブラストが機体に当たるのを防ぐため、ブラストを外に逃がすためのディフレクターが装備されている。

下面ウェポンベイには中距離空対空ミサイルAIM-120A/Bを4発、もしくはF-22用に翼とフィンを縮小したAIM-120Cを6発搭載する。ステルス性は低下するものの、主翼下には最大4発のAIM-9M/X、またはAIM-120A/B/Cを搭載可能。

AIM-120はINSによる中間誘導とアクティブ・レーダー・ホーミングによるファイア・アンド・フォーゲット(Fire-and-forget、いわゆる「撃ち放し能力」)を持ち、中距離ミサイルとされるものの射程は100kmを超える。

F-22の短距離ミサイル×2と中距離ミサイル×6の計8発という構成は、双方共に4発の計8発だったF-15と比較し、遠距離からミサイルを発射して敵機を撃墜することに比重を置いていることが分かる。これはF-22自身の高いステルス性とレーダー、更には早期警戒管制機や僚機とのデータリンクにより「ファーストルック・ファーストショット・ファーストキル(first look, first shot, first kill:先に見つけ、先に射ち、先に撃墜する)」を意図した構成とされる。

空対地攻撃用にはGPS/INS誘導方式の統合直接攻撃弾薬(JDAM)GBU-32を搭載する。また、F-22のウェポンベイのサイズを考慮した小直径爆弾(SDB)を開発中である。

なお、ステルス性を考慮しない場合、翼下に600ガロンの燃料タンクを2本とミサイルを4発装備することができる。空対地装備として対レーダーミサイルのAGM-88、GBU-22の搭載も可能である。また、フェリー時には燃料タンク4本を装備した上に、燃料タンク吊下用パイロンの両側面に1発ずつ、計8発のAIM-120Cを取り付けて輸送することができる(機体の兵装として発射することはできない)。

戦闘能力

2011年現在においてF-22には実戦経験はない。だが、その高いステルス性とファーストルック・ファーストショット・ファーストキルを前提とした運用・戦闘スタイルから、世界最高水準の戦闘能力を有するとされる。2006年にアラスカで行われた「ノーザン・エッジ演習」においては、延べ144機を「仮想撃墜」し、F-22は1機の損害も出さなかった。

また、F-15を超える機動性や旋回性能などから、有視界戦闘(レーダーに頼らず、目視での戦闘)においても卓越した戦闘力を持つ。なお、F-22は味方機同士でリンクされているため、識別は可能となる。

無論、ステルス機といえども機体は可視光線を反射するため、近接すれば機影や国籍マークで判別できる。なお、通常飛行時(作戦任務に従事している時以外)には味方のレーダーに発見してもらうために、わざとステルス性を損なうパーツを取り付けて飛行する。

一方で、アメリカ空軍で行われた戦闘機を使った模擬空中戦で、電子戦術機EA-18Gに対空ミサイルAIM-120で撃墜されたと判定され、負けている事実がある他、有視界飛行での模擬格闘戦では、T-38に「撃墜」されたことがあり、F/A-18Fに機関砲で撃墜された可能性もある。

名称

F-22は対地攻撃用戦術戦闘機という初期構想からF-15の後継機として制空戦闘を主目的とされていたが、再度対地攻撃の比重が増えるものとされて2002年9月に型式をF-22から攻撃機を意味するA(Attacker)の文字を加えたF/A-22へ変更された。

しかし、2005年12月に初度作戦能力を得る際に名称をF-22に戻している。2008年現在でも、名称変更に伴う要求性能の変更などは特に発表されていない。従って現在までアメリカ軍機で「F/A-」の形式番号を持つのはF/A-18A-D・F/A-18E/Fのみである。

愛称については、一旦、第二次世界大戦中に活躍したP-38ライトニングにちなみ「ライトニングII」(Lightning II)と名付けられたが、後に「ライトニング」の名はP-38を製造したロッキード社を中心とした共同開発のF-35統合打撃戦闘機に譲られた。

1997年4月9日のロールアウトの際に、F-22には猛禽類を意味する「ラプター」(Raptor)の愛称を付けられた。また、この際に航空支配戦闘機(エア・ドミナンス・ファイター:Air Dominance Fighter)というキャッチフレーズを明らかにし、航空優勢(エア・スペリオリティ)や絶対的航空優勢(エア・シュプレマシィ)以上の意気込みを示した。

生産数

冷戦終結に起因する調達数の削減により一機当たりの開発費負担が増加したために機体単価が増大し、更なる調達数削減を招くという悪循環に陥った結果、当初予定に対して著しく調達数を減らしていることもF-22について特筆すべき事項となっている。

1989年のアメリカ空軍試算では先進戦術戦闘機計画で開発した戦闘機は1994年度の会計予算から調達を開始し、2007年度の会計予算までに750機の発注と見込んでいた。この発注数はアメリカ空軍によるF-15の発注数すべてを置き換えるのに十分な数とされた。さらに当時のアメリカ海軍のNATF(アメリカ海軍先進戦術戦闘機)としても546機の受注を期待していた。これらにより目標単価はF-15よりも低い3,500万ドルを実現可能とされていた。

F-22選定後は開発元のロッキード・マーティン社、ジェネラル・ダイナミクス社、ボーイング社の三社による共同生産として1995年中盤頃までに13機の開発用機の初号機を初飛行させ、1996年末から量産を開始し最終的には航空団5・5個分に相当する648機のF-22Aを受領するとの見通しを立てた。そして1991年度予算でロッキードに対し、単座型F-22Aを9機と複座型F-22Bを2機の計11機を技術製造開発(EMD)試験機として発注した。

だが冷戦の終結でF-22導入の意義が薄れ始めた中で、技術的問題等による計画自体の遅滞、それに伴う開発費の高騰と問題が山積した。このため、1996年に複座型のF-22Bを導入を中止した上、計画全体でEMD試験機9機と量産型442機の計451機まで削減した。さらに2001年8月15日に国防調達委員会(DAB)は、F-22の調達自体は承認したものの生産数は295機まで削減するとした。アメリカ空軍はこれを333機まで増やすために様々な経費削減策を講じたが、結局2005年の配備直前での生産予定数は277機とされた。

実戦配備開始後、約150億ドルの費用削減のため生産数を183機へと削減され(2010年現在187機を予定)、更なる機体単価の高騰を招いている。187機限りの生産とした場合は2011年に生産を完了し、ラインが閉鎖される見込みとなる。このためF-15は全機代替されずに、2025年まで第一線で運用されることとされた。

だが、2007年11月2日に起きたミズーリ空軍州兵所属のF-15Cの空中分解事故で、機体疲労に対する全機点検の結果、相当数の機体の老朽化が判明した。この際、応急的にF-16で対処している主力制空戦闘機の穴を埋めるため、F-22の導入予定の前倒しと増産が検討された。しかし、代替機種としてはF-35を充てることとなり、F-22の増産は行われないことが決定した。

2009会計年度の調達分の機体に関しては、既に最終生産機の各部品の製造は担当各企業ではほぼ終了し、そのほとんどがジョージア州マリエッタにある最終組み立て施設に運び込まれている。2012年には生産を終了予定である。

輸出に関しては、アメリカ空軍への配備以前よりロッキード社は検討を行っていた。対象となったのは、F-15の導入実績のあった日本の航空自衛隊やイスラエルのイスラエル航空宇宙軍だった。当時の軍事雑誌などにはロッキード社の作成した日本仕様のF-22とイスラエル仕様のF-22のイラストが掲載されたりもした。2001年にはクリントン大統領(当時)がイスラエルへF-22を優先的に輸出するとの書簡を送っている。

しかし軍事機密の塊となったF-22の技術漏洩が懸念され、1998年会計年度のアメリカ防衛予算法に「オビー修正条項」が明記された。「オビー修正条項」は機密漏洩の対策が確立するまで、F-22の輸出を禁止するものである。2007年には輸出に向けて条項撤廃の動きがあったものの、アメリカ合衆国下院歳出委員会は輸出禁止条項を継続させる決議を採択している。

アメリカ合衆国議会も2006年9月27日に、F-22の輸出を2015年まで禁止する条項を国防歳出法に明示している。しかし、2009年4月の北朝鮮によるミサイル発射実験、2ヵ月後の地下核実験の強行、2010年の韓国海軍哨戒艦沈没事件・延坪島砲撃事件の発生、F-35の開発の遅れなど情勢の変化に伴い、その都度日本への輸出解禁の動きや生産継続の議論が行われるなど、流動的であった。

アメリカ空軍は製造ラインの閉鎖が予定される2010年代以降も、「F-22J-Ex」などの輸出機により生産ラインを維持した上で追加購入を取り付けたいとの思惑があった。F-4EJ改の後継として次期主力戦闘機を選定中の航空自衛隊がF-22を採用する場合は、50機から100機前後の需要が見込まれたために、ロッキード社からも輸出解禁を求める声も挙がっていた。

ただし、日本側は三菱重工業のF-2の製造ラインが2011年に閉鎖するのを受け、製造部署維持のためにライセンス生産が望ましいとの見解を示していたため、双方の思惑は一致しなかった。輸出許可の可能性もゼロではなかったため、ある程度の説明活動は行われていたものの、F-22に関する日米間のSA(保全合意)は交わされていなかったため、その内容は詳しいものではなかった。

その後、バラク・オバマ大統領が2011会計年度以降でのアメリカ空軍向けの調達を行わない事を決定し、その結果輸出の必要性もなくなりF-Xには提案されないこととなった。結局、日本の第4次次期主力戦闘機選定に関しては「F/A-18E/F」、「F-35」、「タイフーン」の3機種が候補となり、2011年12月にF-35Aが選定された。

ただ、F-22はF-X選定作業開始前から、そのステルス技術や電子機器類といった高度技術流出が懸念されていたことから、F-Xに提案されたとしても日本国内での生産は不可能であることが日本側に伝えられていた。

イスラエルはライセンス生産の意向はないために導入が決定すれば輸入となるが、こちらも輸出禁止処置の為に協議は難航している。なお、イスラエルは日本と同じくF-35の導入を予定している。

F-22と同様にステルス性を有し、より安価で大量採用により更なる価格低下も見込まれているF-35の開発もあって、F-22の購入を検討している国は少ないが、2006年にオーストラリア空軍がF-22の導入を検討しているとされた。2008年2月には国防長官のロバート・ゲーツがオーストラリアへのF-22を輸出を容認する発言をしているが、やはり輸出禁止措置により現実とはならず、最終的にオーストラリアはJSFへの参加を決定した。

運用コスト

F-22を当初の750機導入する計画の時点では、全体の計画コストは約650億ドルと見込まれていたが、2010年会計年度において既に599億ドルを消化している。また、技術製造開発(EMD)試験機9機の生産時には189億ドルもの費用を要し、先述したATF選定作業時のコストを合わせると、227億ドル(日本円で2兆円以上)となる。

一飛行時間あたりの列線整備は、0.3~0.7人/時とされる。整備の際は携帯型整備支援装置(PMA)の端末を機体に接続し、自己診断が行われる。通常の様な技術指令書を参照しながらの整備ではなく、整備員はPMAの指示に従い異常のあるモジュールの交換のみを行うだけで、整備は完了となる。

また、B-2の様な機体表面のコーティングの塗り直し作業は必要としない。 一方で、軍の整備員だけではメンテナンスが十分に出来ないことによるメーカーへの保守費用の支払いと、機密部分が多い点による守秘費用の高騰も固定費の増加をもたらしている。また、一部のパーツの腐食や、機体構造の問題を補修する費用についても高騰傾向にある。

レーダー波吸収皮膜は雨や擦り傷に弱く、最近の試験結果によると1飛行時間当たり30時間以上と44,000ドル以上の経費を掛けた整備を必要としていた。

仕様




YF-22

諸元

乗員: 1
全長: 19.56 m (64 ft 2 in)
全高: 5.41 m (17 ft 8.9 in)
翼幅: 13.11 m(43 ft 0 in)
翼面積: 78.04 m² (840 ft²)
空虚重量: 14,062 kg (31,000 lb)
最大離陸重量: 26,309 kg (58,000 lb)
動力: P&W製 YF119-PW-100(2号機)、GE製 YF120-GE-100(1号機) A/B付きターボファンエンジン
    ドライ推力: × 2
    アフターバーナー使用時推力: 156kN (35,000 lb) × 2

性能

最大速度: M2.0
実用上昇限度: 15,240 m (50,000 ft)




F-22

諸元

乗員: 1
全長: 18.92 m (62 ft 1 in)
全高: 5.08 m (16 ft 8 in)
翼幅: 13.56 m(44 ft 6 in)
翼面積: 78.04 m² (840 ft²)
空虚重量: 19,700 kg (43,340 lb)
最大離陸重量: 38,000 kg (83,500 lb)
動力: P&W製 F119-PW-100 A/B付きターボファンエンジン、156 kN (35,000 lb) × 2

性能

最大速度: M 2.42, 2,575 km/h (1,390 kt) (高々度において)
巡航速度: M 1.72, 1,825 km/h (985 kt) (高々度において)
フェリー飛行時航続距離: 2,960 km with 2 external fuel tanks (1,850 Mile)
航続距離: 2,775 km (1,724 Mile)
実用上昇限度: 15,240 m (50,000 ft)
上昇率: 機密 (非公表)
翼面荷重: 348.92 kg/m²
最大推力重量比: 1.268
翼幅荷重: 148.01 kg/m²

アビオニクス

AN/APG-77 レーダー

武装

    固定武装
        M61A2 20mm機関砲(弾数480発)
    空対空戦闘時
        中距離空対空ミサイル(胴体下ウェポンベイ)
            AIM-120C AMRAAM × 6 (AIM-120Aの場合4発)
        短距離空対空ミサイル(空気取り入れ口側面ウェポンベイ)
            AIM-9L/M サイドワインダー × 2
            AIM-9X サイドワインダー2000 (JHMCS対応機の場合)×2

    空対地戦闘時
        対地誘導爆弾(以下の二つから選択、胴体下ウェポンベイ)
            GBU-32 JDAM(1,000ポンドGPS/INS誘導爆弾)× 2
            GBU-39 SDB(285ポンドGPS/INS誘導爆弾)× 8
    ※AIM-120C AMRAAM × 2 を同時携行可。

さらに詳しく → F-22  マルチロール機



世界の名機シリーズ F-22ラプター (イカロス・ムック 世界の名機シリーズ)世界の名機シリーズ F-22ラプター (イカロス・ムック 世界の名機シリーズ)
(2008/06/26)
不明

商品詳細を見る
関連記事

タグ : F-22 F22 マルチロール機 ラプター Raptor 航空支配戦闘機 ロッキード・マーティン ボーイング

この記事へのコメント
URL:
Comment:
Pass:   
この記事のトラックバックURL
http://gunjimania.blog108.fc2.com/tb.php/481-4904c5c8
 この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | Copyright © 軍事マニアクス - Military Maniacs All rights reserved. | 

 / Template by 家族 ペット 自分史 ブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。