究極の建造技術 潜水艦

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2009/12/22(火)
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潜水艦(せんすいかん、submarine)とは、耐圧構造の船体を持ち、潜航可能な軍艦である。同様の構造の船でも、民間の海底探査用および水中遊覧用船舶は潜水艇、潜水船などと呼ばれる。潜水艦は巡洋艦や駆逐艦など他の水上艦艇と異なり、潜航可能という大きな特徴を持つ。潜航時は水上航行時に比べて被探知確率が激減するので、高い隠密性が保てる。この隠密行動能力は潜水艦最大の特徴であり、「人類が発明した究極のステルス兵器」といわれる。

特徴

* 敵に気付かれずに監視網を突破できる。
* 敵対国の港湾に接近・侵入し、偵察・情報収集、機雷の敷設を行う。
* 敵の予想進路上に潜み、待ち伏せ攻撃を行う。補給線を断つために通商破壊作戦を実行する。
* 戦略ミサイル搭載原子力潜水艦による核抑止力。
* 隠密性の高い潜水艦を探知し攻撃するのは、やはり潜水艦が有利であると言われている。
* 小型の潜水艇は、外洋航行力には欠けるものの、沿岸など地形の複雑な場所に隠れると極めて探知されにくい。

1955 年に完成した米海軍のノーチラス号(水上排水量3180t)は、原子炉と蒸気タービンを採用した、史上初の原子力潜水艦であった。本艦は水中速力20ノット、潜航可能時間は3ヶ月間前後であった。原子力主機登場により、潜水艦の水中速力と水中航続力は大きく増大した。それにより、潜水艦の戦闘能力は飛躍的な向上を遂げた。

原子力潜水艦が大型水上艦艇を撃沈した例は、1982年のフォークランド紛争時に、イギリス海軍のコンカラーがアルゼンチン海軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラーノを雷撃にて撃沈した事例が最初である。コンカラーはヘネラル・ベルグラーノを24時間以上追跡したが、全く探知されなかった。この戦いにより、それまで水上艦に対し圧倒的に不利と思われていた原潜の有効性が証明された。

構造

船体形状

潜水艦の船体形状は、水上船舶とほぼ同形の船型と、円筒形状の涙滴型・葉巻型・鯨型などがある。 船型船体は水上での抵抗が少なく、水上航行時に高速発揮可能。一方、涙滴型・葉巻型・鯨型などは逆に水中での抵抗が少ない。

第二次大戦時までの潜水艦は、水上航行時間が多かったので、船体形状は船型が多かった。だが第二次大戦以降、推進装置の高性能化により水中行動能力が大幅向上し、潜水艦は航海時の大半を水中航行するようになった。史上初の涙滴型潜水艦はアルバコア(米海軍、1953年進水)であり、それ以後に設計された潜水艦は、涙滴型や葉巻型の船体が主流となって行った。現代の潜水艦は大部分が円筒形状の船体である。

船体構造

潜水艦の船体構造は、単殻式と複殻式に大別される。単殻式は、船体は耐圧構造船殻一層だけで、その内部に居住区画・機関・海水/燃料槽を収容している。一方複殻式は、非耐圧構造の外殻と耐圧構造の内殻の二層からなる二重構造船体であり、丁度魔法瓶の様に出来ている。外殻と内殻の間は海水および燃料を注入し、内殻内部に居住区画その他を収容する。外部の海水から掛かる水圧は外殻には掛からず、外殻と内殻の間にある海水と燃料を媒介して、内殻に伝わる。そのため、外殻は非耐圧でも問題ない。

単殻式船体と比べ、複殻式の特徴は、

* 外殻と内殻の間を、燃料や海水を入れる空間に利用可能である。そのため、航続力や予備浮力を増加できる。
* 外殻と内殻が離れているため、外部に漏れる騒音を減らす事ができる。また、被弾時に外殻や間の海水・燃料が爆圧を吸収するので、内殻への衝撃が少なくなり、被害を減少できる。よって、艦の生存性が高まる。
* 単殻式より船体が大型化し、複雑な構造になりやすい。
* 船体側面部のソナー(コンフォーマル・ソナー/フランク・アレイ・ソナー)を取り付けるのが難しくなる。

などである。他に、単殻式船体の側面に非耐圧構造の張り出しを設けて、そこを海水や燃料を入れるタンクとした半殻式(サドル・タンク式及び部分複殻式)と呼ばれる、両者の中間を取ったものも造られ、第二次大戦時の潜水艦に多く見られる。他に特殊な船体形状として、外殻内部に2本の内殻がある、伊四〇〇型潜水艦やタイフーン級などがある。

船体構造材

船体構造材(船殻材)には、深深度での水圧に耐え得る高強度の素材が必要とされる。現代の潜水艦では、船殻には主に高張力鋼が用いられている。ソ連のアルファ級などでは、チタン合金も見られる。チタンは高張力鋼より磁性が低く、磁気探知機による被捕捉率が低い。また、同じ重量の高張力鋼より強度も高い。しかし加工が困難であることや音波の反射性が高いこと、高張力鋼より加工費が高い、などの理由から一般化していない。

潜水機構

潜水艦は浮上時は、船体排水量が浮力より小さいので、水上に浮いている。潜りたい時は、艦内の海水槽に海水を注入し、船体排水量を浮力より大きくする事で沈降する。海水槽にはメインバラストタンク(メインタンク、バラストタンクなどと略)、ネガティブタンク、トリムタンクがある。メインタンクは海水または空気を注入する船体浮力調整用タンクで、ネガティブタンクはメインタンクの補助用の浮力微調整用小型タンクである。トリムタンクはトリム(艦の前後の傾き)調整用であり、船体前後に二箇所設置されており、船体前後の重量比を操作する。

潜水艦は潜航する場合、先ずベント弁(メインタンク内部空気排出弁)を開く。すると、フラッドホール(メインタンク下部の海水注入用の穴)から海水が入り、船体重量が増加して艦は沈下を開始する。その後、トリムタンクや舵を操作して艦首を下げ、目標深度へ到達する。目標深度到達後は、トリムを調節して水平状態を保てるようにする。浮上時には、艦内の圧縮空気タンクからメインタンクへの空気を注入する。と、同時にタンク内から海水が排出されて船体が軽くなり、艦は浮き始める。この操作はメインタンク・ブローと呼ばれる。

なお潜水艦の最大潜航深度は重要な軍事機密であり、観艦式などでは、外部の人間に深度計を見られないように、貼り紙などで隠してしまう。よって公表潜航深度は参考程度の価値しかないが、それらによると、攻撃型潜水艦の潜航深度は300~600m程度、戦略ミサイル原潜が100~500m程度である。 武装した潜水艦の潜航深度記録は、1985年にチタン合金船殻のソ連原潜K-278が記録した1027mで、K-278はこの深度で魚雷発射が可能であったと言われている。当時この深度の潜水艦を探知・攻撃する能力はどの国にも無かった。なお、軍事以外の潜水艇の深度世界記録は、1960年に深海調査艇トリエステ2号が出した深度10,916mである。

操舵系統

潜水艦は水上艦と違い、トリムバランス以外にも水中での三次元立体運動を行う必要があるため、縦舵の他に横舵と潜舵を装備している。 潜舵は従来、艦首部に配置されていたが、艦首部はソナーなどの音響装置の空間になったために、騒音軽減のため艦橋側面に装着するのが主流となった。この方式はセイル・プレーン式と呼ばれる。一方、ソ連・ロシア海軍は、艦首部に装着していた(バウ・プレーン式)。その理由は、バウ・プレーン式の方が潜舵の反応性が良好で水中運動性に有利、という理由の他に、同国潜水艦は北極海での行動が多いという事情もある。北極海において浮上する場合、海氷を艦橋上部で破砕する必要があり、その際に艦橋に潜舵があると損壊する危険が有るためである。

また、艦尾の操舵部分は『十字型』が多かったが、近年は「事故による損傷からのフェイルセーフ」と「水上航行時の操舵性能の向上」のため『X型』の操舵翼が増えてきている。

推進装置

潜水艦の推進装置には、特殊加工されたスクリュー・プロペラ推進、またはスキュード・プロペラの周囲に円形シェラウド(覆い)を付けて推進効率と低音響探知性を目指した、(一般紙などの軍事情報で良く誤用される)『ポンプジェット推進』などが使用される。総じて推進効率ではプロペラ推進、静粛性ではポンプジェット推進が勝るとされる。スクリュープロペラ推進では、キャビテーション現象の発生と、それによる騒音に難がある。キャビテーションとは、高速力発揮のためプロペラを高速回転させると、プロペラ外周付近の海水圧が低下し真空域を生じ、それによって海水が気化、水蒸気の気泡が無数に発生する現象である。キャビテーションで発生した気泡は生成直後すぐ破裂し、その衝撃でプロペラを腐食させてしまう。また、気泡炸裂音で敵ソナーに捕捉される可能性が高まる。そのため、プロペラ形状には水上艦以上の設計加工技術が必要であり、形状から性能も推し量れるため、各国とも最新鋭潜水艦の進水式では「プロペラ部」を隠して進水させている。また『東芝COCOM違反事件』のような日米外交問題もかつては発生した。

キャビテーション現象による騒音を抑えるため、近年の潜水艦ではハイスキュード・プロペラと呼ばれる「鎌状で捻りの入った」特殊形状のものが使用される。このプロペラは通常の型より推進効率は低下するが、静粛性は向上できるとされている。キャビテーションを大幅に低減させるには、ポンプジェット(水流噴射推進)を用いるべきだが、これは深海域では海水圧に噴流能力が勝てず、推進効率も著しく低下する(一般プロペラの推進効率65%に対して僅か45%程度)ので、出力に余裕がある原子力潜水艦といえど通常推進には使い辛い。

究極的には、良導体である海水に磁界を掛けて推進する『電磁推進』方式に勝る物はないが、潜水艦の利点である「遍在性」をその強力な発生磁界が損なうのと、核動力AIP以外では超電導磁石への供給電力を賄えないため、今後も実戦配備される可能性は乏しいと思われる。

機関

潜水艦は、登場以来長らくディーゼル機関と電動機を併用していた。この方式には直結式とディーゼル・エレクトリック方式がある。直結式はディーゼル機関、電動機(発電機兼用)、スクリューを直結したもので、水上航行時にはディーゼル機関を、水中航行時は電動機で航行する。ディーゼル・エレクトリック方式は、水上航行時はディーゼル機関で発電機を回してその電力で電動機を動かし、水中航行時は蓄電池の電力で電動機を動かす。前者は水上航行時に高速が出せるが充電効率が低かった。そのため、潜水艦の水中航行が主流となった第二次大戦以後は、充電効率に優れる後者が主流となった。

第二次大戦後は、原子力機関の登場により潜水艦の水中速力は大きく上がり、可潜時間は数ヶ月近くにまで増えた。原子力機関は有り余る出力を生かして海水を電気分解し、艦内へ常時新鮮な酸素を提供する。このため、原子力潜水艦は「世界一空気がきれい」と言われるほど艦内は快適である。しかし、超微量の放射線漏れは絶えずあり(特に艦外)、米軍の乗員は放射線被曝線量測定バッジをつける。

常に蓄電池の残量を気にしながら、定期的な浮上を必要とする通常動力型潜水艦と、「無限」の航続力を持ち氷の下の北極海すら航行可能な原子力潜水艦との間には、可潜艦と潜水艦ほどの差がある。特に、抑止力としての弾道ミサイル潜水艦は原子力無くして成立しない(ただし、通常動力型の弾道ミサイル潜水艦が無かったわけではない)。こうして見ると、原子力潜水艦は圧倒的に優位と思われるが、構造上解決できない欠点もある。

原子力推進は、原子炉冷却水循環ポンプや蒸気タービン駆動であればブレードや減速ギアの騒音が発生するので、潜行中の動力を蓄電池と電動機にてまかなう通常動力艦よりも静粛性に劣る上に、原子炉の冷却を停止することができないため、たとえ低出力下で自然循環冷却可能であっても、通常動力艦のように一切の作動音を停止し無音状態にすることは不可能である。そのため、攻撃型潜水艦の戦闘局面に限れば、原子力艦も通常動力艦も優劣付けがたいとされる。また、技術的水準や建造費、維持費が高く、保有できる国は限られる。日本等は技術上の問題の他、原子力に対して否定的な世論の存在により保有していない。他に近年、燃料電池やスターリングエンジンなど、通常動力潜水艦の水中行動力向上を狙った非大気依存推進(Air Independent Propulsion,AIP)が登場している。

航法装置

潜航中の潜水艦の航法には、慣性航法装置(INS)、全地球測位システム(GPS)、海底追随航法などがある。海底追随航法は、通常は海図で自艦の位置を把握して、時折り音波の反射を利用して位置を確認する方法である。秘匿性を求められる潜水艦は、(有事に限らず)アクティブソナーを発して海中航行する事は自殺行為であるため、『目隠しをして飛行機を操縦する』かの如く、パッシブによる「周囲の音響変化」などをたよりに手探りで航行しなければならない。そのため、一大潜水艦隊を運用している米露海軍は、独自の『海洋調査船』を複数運用する事などによって絶えず『想定戦場』となる海域の海底地図を作成しているといわれる。勿論、潜水艦部隊の通常哨戒によって地図の精度を上げるなどの努力は行われていると見られる。

日本のみならず中国や韓国も独自に海底地図などを作成していると見られるが、『北方領土問題』だけでなく『尖閣諸島』や海底資源に対する外交問題、『竹島領有権問題』などにより、その行為は度々日本近海で問題を生じている。

さらに詳しく → 潜水艦



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(2008/06/12)
小滝 國雄野木 恵一

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