"スクランブル" - 東西冷戦期における、航空自衛隊の活動記録

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2012/06/01(金)
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スクランブル(英語: Scrambling,Scramble)は主に軍事、日本においては自衛隊で使われる軍事用語である。その他、英語圏ではQuick Reaction Alert、ドイツ語ではAlarmstartなどの表記が散見される。以下においては主に自衛隊でのスクランブルについて記述する。

概要

現代の航空戦においては航空機の速度が速く、そのため戦闘における初動の対応如何で戦闘、戦争の帰趨を制する面が大きい。そのため、スクランブルは、それぞれの戦闘状況等に応じた待機航空機に対して迅速かつ一元的に指令を出す手段として使われている。

スクランブルは、通常指揮系統等の手続きを極力簡素化し、めまぐるしく移り変わる戦闘の状況等に応じた戦術判断を素早く実行させるために用いられている。

スクランブルとして戦闘機の緊急発進はよく知られているが、他の機種でも緊急発進に備えて随時待機している。最前線でのスクランブルとしては、海上自衛隊の哨戒ヘリコプターや哨戒機にもアラート任務がある。

後方支援部隊にも緊急発進待機があり、海上自衛隊の救難飛行艇、航空自衛隊小牧基地のC-130輸送機などがアラート任務を持っている。

南西諸島などでは、離島の急病人搬送などに陸上自衛隊の連絡偵察機やヘリコプターが待機している。その他陸海空の救難ヘリ、陸上自衛隊の一部の部隊、軍事組織ではないが警察、消防、海上保安庁の航空機、電力会社の電線点検ヘリ、マスコミ等の取材用航空機など、多くの航空機等が24時間態勢で即時発進に備えて待機している。

航空自衛隊におけるスクランブル

航空自衛隊におけるスクランブルとは、緊急発進指令のことを指す。この緊急発進指令(以下「スクランブル」という)のために、航空自衛隊では、要撃機(F-15、F-2、F-4EJ改)を24時間の警戒待機(アラート)任務に就けている。操縦士・航空士の担当は当番制で、要員不足の場合は非番の者に“外出中なら戻れ”と呼び出しがかかることもある。

また、スクランブルは、全国4つの担任防衛区域ごとにある防空指令所の指令により発出される。航空自衛隊は、現行の態勢として、各要撃機とも受令から5分以内に離陸できる態勢(5分待機)を維持している。

スクランブルに対して実行される手順は、

1.国籍不明機(以下「不明機」という)が防空識別圏に侵入する様子を見せた時点でパイロットが“発進待機”任務(操縦席に着座、シートベルトを締めたり、外部電源のコードは繋いだ状態でエンジンをかけたり、いつでも発進出来るように態勢を整える任務)につき、

2.不明機が防空識別圏に侵入した時点で当該要撃機が“発進”する


というものである。

なお、一般に「スクランブル発進=領空侵犯」と考えられがちではあるが、むしろ、領空侵犯に至らないスクランブル発進が圧倒的に多い。というのも、防空識別圏は領空から余裕を持って設定されているため、不明機が領空に到達しない段階でスクランブル発進が行われるからである。また、不明機の側にとっても、領空侵犯は外交問題に発展するリスクがある以上、積極的に領空を侵犯すること自体が極めて稀なためでもある。

もっとも、不明機の正体は必ずしも仮想敵国の航空機などとは限らず、フライト・プラン(飛行計画)未提出の民間機やアメリカ軍機であったりすることもある。

スクランブルの実績をみると、防衛省・統合幕僚監部発表の資料によれば、昭和42年度から平成21年度までに発生した領空侵犯事例は34件となっており、平均しても年間一件に満たない。これに対してスクランブルの回数は年間数百回あり、冷戦真っ只中の昭和59年度には944回を数えた。計算上、昭和59年度には一日平均約2.6回スクランブルが発令されたことになる。

スクランブルの目的は、平時においては主に日本の領空に接近する不明機に対して自衛隊法84条に基づく対領空侵犯措置を行うためである。それ以外にも、緊急状態や遭難状態にある航空機に対するエスコート(緊急受け入れ態勢を取っている飛行場への誘導)、地震や災害時の航空偵察などの際もスクランブル指令によって発進した要撃機が行う場合もある。

実例では、1985年8月12日に発生した日本航空123便墜落事故の際には、茨城県百里基地から2機のF-4EJがスクランブル発進して遭難機の捜索を実施した。

また別の例では、1989年12月16日に発生した中国民航機ハイジャック事件の時には、福岡県築城基地からF-1支援戦闘機が発進してハイジャック機を福岡空港までエスコートした。

ちなみに百里基地には、航空偵察を専門とした偵察航空隊が配備されており、同隊は、災害地の航空写真を迅速に撮影するといった情報収集を行なっている。

スクランブル発進のために警戒待機している機体にはあらかじめ武装が施されており、固定武装の20ミリ機関砲のほか、短射程空対空ミサイルが2発搭載されている。これは対領空侵犯措置を行った際に、そのまま交戦に発展する可能性を考慮したものである。

なお、中射程空対空ミサイルを搭載しない理由は対領空侵犯措置は基本的に視認(相手の機体が自分に見える)距離で行うことを前提としているためである。ただし近年では基地司令などの指令により中射程空対空ミサイルを搭載する場合もある。

過去には実際にスクランブルに際し武器を使用したことがある。1987年12月9日、ソ連のTu-16爆撃機1機が沖縄本島上空を通過するという領空侵犯事件が発生。那覇基地から2機のF-4EJがスクランブル発進し、再三に渡り警告を実施したがTu-16はこれを無視。そのためF-4EJは20ミリ機関砲による警告射撃(命中させず、相手機の前方へ向けて曳光弾を発射)を実施した。現在までのところ武器の実際の使用事例はこの一件のみである。

アラート任務に就いている戦闘機の待機場所は、一般的には基地内でも誘導路あるいは滑走路に移動しやすいアラートハンガーである。アラートハンガーは滑走路端の直近に配置されており、スクランブルが発令された場合にスクランブル機が眼前の滑走路から直ちに離陸することが可能である。この際、たとえ追い風であっても強引に離陸が行われ、向かい風となるように離陸滑走方向を切り替えたりはされない。

戦闘機以外にも航空救難団所属のUH-60J救難ヘリコプターとU-125A捜索機が、全国各基地で24時間体制の救難待機状態を維持している。

さらに詳しく → スクランブル




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タグ : スクランブル 緊急発進 航空自衛隊 冷戦期 冷戦時 F-4

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