イージス艦はどのように作られるのか

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2012/05/10(木)
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イージス艦(イージスかん)とは、イージスシステムを搭載した艦艇の総称。通常、高度なシステム艦として構築されている。

イージス(Aegis)とは、ギリシャ神話の中で最高神ゼウスが娘アテナに与えたという盾(胸当)アイギス(Aigis)の英語読みである。この盾はあらゆる邪悪を払うとされている。

概要

イージス艦の戦闘システム(ベースライン6以前)の概要を表すシェーマ。この総体をイージス戦闘システムと称することもある。

イージス艦」とは、「イージスシステム」を搭載するあらゆる艦艇を指す総称である。したがって、「巡洋艦」「駆逐艦」といった軍艦の艦種を指すものではなく、実際、2011年現在で、巡洋艦、駆逐艦、フリゲートの3つの艦種に搭載されており、小型のコルベットなどに搭載する案もあった。

イージスシステムは、遠くの敵機を正確に探知できる索敵能力、迅速に状況を判断・対応できる情報処理能力、一度に多くの目標と交戦できる対空射撃能力を備える画期的な装置である。このおかげで、イージス艦は、同時に多数の空中目標を捕捉し、これらと交戦できる、極めて優秀な防空艦となった。

またイージスシステム以外にも、イージス艦が搭載する全ての兵器は、イージスシステムのコンピュータを中核として連結され、イージス戦闘システムと呼ばれる統合システムを構築している。

これによって、イージス艦は、対空・対艦・対潜水艦など、戦闘のあらゆる局面において、脅威となる目標の捜索から識別、意思決定から攻撃に至るまでを、迅速に行なうことができるのである。このことから、90隻と多数を保有するアメリカ合衆国においては、艦隊防空のほかにも、トマホーク巡航ミサイルによる対地攻撃から海賊の取り締まりに至るまで、様々な任務に使われている。

その一方で、武装の搭載量や抗堪性などは、従来の艦と比べて特に優れているわけではない。従って、かつての戦艦に相当するような艦と解釈するのは誤解である。また、建造費や運用コストなどが高くつくことも欠点のひとつといえよう。

イージスシステムは極めて高価である上に機密のレベルが高く、開発国であるアメリカの提供認可査定が極めて厳しいことから、その保有は、相応の経済力とアメリカからの信頼を持つ国家に限られている。これらの要件を満たしていたとしても、その国の置かれている環境において過剰性能となる場合、あえて導入しないという選択肢もありうる。

なお、近年、ヨーロッパにおいては、PAAMSやNAAWSなど、イージスシステムに類似、あるいは同等の機能を持つとされる防空システムが開発されており、イギリスやフランス、ドイツなどは、イージス艦を導入せずに、これらを搭載した艦を建造・就役させている。これらの艦艇については、イージス艦と類似した点があることから、ミニ・イージス艦と俗称されることがある。

歴史

開発と実用化・艦隊配備

イージス・システムを搭載した艦艇という点では、1975年以降、イージスシステムの実験に従事した実験艦ノートン・サウンドが、初のイージス艦ということになるだろう。しかし、「搭載されたSPY-1レーダーは1枚だけ」など、ノートン・サウンドに搭載されたイージスシステムはあくまで試作品である。

イージス艦は、単にイージス・システムを搭載しているだけではなく、イージス・システムを艦のシステムの一部として統合している。このように統合システム艦としての建造を可能にしたのが、アメリカ海軍の建艦プロジェクトであるPMS-400である。これは1977年に設立されたもので、イージス武器システム、イージス戦闘システムのプロジェクト・マネージャーを歴任してきたウェイン・E・マイヤー提督が引き続き指揮を執った。

イージスシステムは、従来の艦隊防空システムの枠を超えた高度な能力を有していたことから、マイアー提督は、これを単なる防空システムとしての枠を超えた、防空司令所として用いることが構想しており、そのプラット・フォームとして、打撃巡洋艦が考えられた。これは、空母戦闘群(現 空母打撃群)から独立した作戦行動を前提とした高速・強力な原子力戦闘艦で、満載17,210トン、艦の枢要部には装甲が施されることになっており、スタンダードMk.26発射機2基、ハープーン艦対艦ミサイル16発、Mk 71 8インチ砲を搭載予定だった。

しかし、この計画はあまりに高価であるにもかかわらず効果が疑問であるとして、1970年代末に消滅した。その後、バージニア級原子力ミサイル巡洋艦をベースにした新造案 (CGN-42案) や、既に運用中だった原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチを改修する案などが検討されたが、いずれも断念された。

最終的に実行に移されたのが、当時建造中だったスプルーアンス級駆逐艦をベースにしたDDG-47計画である。当初はミサイル駆逐艦(DDG)として計画は進められたが、期待される任務や性能を考慮して、1番艦の建造途中で種別がミサイル巡洋艦(CG)に変更された。これによって建造されたのがタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦で、1983年より94年にかけて27隻が建造された。

その後、チャールズ・F・アダムズ級ミサイル駆逐艦の後継となるミサイル駆逐艦にもイージスシステムを搭載することが決定された。これによって建造されたのが、1991年より就役を開始したアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦で、最終的には62隻が建造されることになっているが、これは、アメリカ海軍が戦後に建造した水上戦闘艦としては最多の建造数である。

タイコンデロガ級では、スプルーアンス級をベースとしなければならないという制約があり、機関配置などが既に決まっていたために、必ずしも効率的な設計が行なえなかった。これに対し、アーレイバーク級は一から設計されたため、イージス・システムの搭載に最適な設計になっている。イージス・システムそのものが合理化されたこともあり、タイコンデロガ級のトップヘヴィー状態が改善されている。初期建造艦のフライトI、電子装備を強化したフライトII、ヘリコプターを搭載したフライトIIAに分けられる。

アメリカ国外への広がり

このアーレイ・バーク級の初期建造艦(フライトI)をベースとして、日本独自の運用要求を加えて建造されたのが、1993年から1998年にかけて4隻が就役した日本のこんごう型護衛艦である。アメリカ以外では初のイージス艦で、主砲がオート・メラーラ社製の速射砲に変更されたほか、指揮統制能力が強化されており、タイコンデロガ級に迫る規模になった。

こんごう型に続く、海外のイージス艦の2例目が、2003年より就役を開始したスペインのアルバロ・デ・バサン級フリゲートである。アーレイ・バーク級をベースとしたこんごう型とは異なり、かなり独自色の強い設計で、満載排水量5,853トンとさらに小さくまとめることに成功した。ミサイル搭載数が削られているものの、アーレイバーク級フライトIIと同じイージスシステムを搭載している。

このアルバロ・デ・バサン級をベースとして設計されたのが、ノルウェーのフリチョフ・ナンセン級フリゲートである。さらに小型化されており、より軽量のSPY-1Fレーダーを組み込んだ簡易型のイージスシステムを搭載している。本級は、イージスシステム一式を搭載しているが、運用上、通常はスタンダード対空ミサイルを搭載しないとされている。2007年1月にネームシップが就役し、2009年までに同型5隻を整備する計画である。  オーストラリアでも計画が進行しておりホバート級駆逐艦を建造する予定。

こんごう型護衛艦の運用実績を踏まえて、日本はたちかぜ型護衛艦の更新用として、さらに2隻のイージス艦の導入を決定した。これによって建造されたのがあたご型護衛艦である。こんごう型をベースとして、アーレイ・バーク級のフライトIIAと同様の改良を施した。こんごう型と比べての変更点は、主砲を米艦と同じMk 45に変更したほか、ヘリコプターの搭載・運用能力が追加されたことがある。ヘリの機数の問題から常時搭載機はないが、海上自衛隊のミサイル護衛艦としてはじめて着艦拘束装置およびヘリ格納庫を設置している。

あたご型と同様に、アーレイ・バーク級フライトIIAを下敷きに設計されたのが、韓国の世宗大王級駆逐艦(計画名KDX-3)である。2009年から2012年にかけて3隻が就役する予定で、船体設計などはアーレイ・バーク級フライトIIAとほぼ同じだが、アーレイ・バーク級で抑えられたミサイル搭載数をタイコンデロガ級並みに差し戻すと共に、近接防御火器の機種増加がおこなわれている。

イージスシステム

イージスシステムは、イージス艦のイージス艦たる所以であって、その戦闘システムの中核である。イージス艦が搭載する全ての兵器はイージスシステムに接続され、組み込まれる。このため、イージス艦が搭載する戦闘システム全体を指してイージスシステム(イージス戦闘システム; Aegis Combat System)と総称することもある。

イージスシステムは、SPY-1レーダー、情報処理システム、スタンダード対空ミサイル・システムによって構成されている。

SPY-1レーダーはイージスシステムの中核であり、八角形のフェーズドアレイ・レーダーが4枚、四方に向けて艦の上部構造物に固定されている外見は、イージス艦の特徴ともなっている。最大探知距離450キロ以上、最大探知目標は200以上である。

イージス艦のスタンダード対空ミサイル・システムは、改良型のスタンダード・ミサイル2型を使用し、また新型の射撃指揮装置が組み込まれているため、同時に多数(10個以上)の目標と交戦することができる。現在就役している艦では、ミサイル・ランチャーとしてMk 41垂直発射装置が採用されており、即応性や速射能力などが向上している。

さらに近年、イージスシステムはミサイル防衛任務にも対応できるように改修されつつある。ミサイル防衛は極めて困難な任務であるため、スパイラル開発のコンセプトに基づいて、漸進的に開発が進められており、2009年3月現在、イージスBMD3.6と呼ばれるバージョンが配備されている。イージスBMD3.6搭載艦は、弾道ミサイル迎撃専用に開発されたスタンダード・ミサイル3型 (SM-3)を搭載し、高度150kmの目標と交戦できると言われている。

さらに詳しく → イージス艦




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(2009/08/19)
柿谷 哲也

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