スナイパー(Sniper、狙撃手) - その任務

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2011/08/28(日)
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狙撃手(そげきしゅ)とは、標的から長距離を隔てて狙撃銃などの銃で狙撃(精密射撃)を行う為に正規の訓練を受けて専門化された要員である。主に軍事組織に所属する歩兵を指す狙撃兵(Military sniper)と、警察などの法執行機関に所属する狙撃手(Police sniper)の2種類に大別される。日本語では英語平読のスナイパー(Sniper)とも呼ばれ、選抜射手等の精密射撃を行う各種要員を含めて広義に用いられている。

語源

現在確認されている限り、英語で「狙撃手」を意味する"Sniper"という言葉は18世紀後半に駐印英国武官が本国に宛てて送った書簡内に登場するものが最古で、この書簡では単に「狩猟の名人」を指す言葉として用いられている。その語源となったタシギ(英:Snipe)はその性質や逃亡時の飛行パターンから、当時の狩猟用銃器の精度水準では仕留める事が困難だった為、タシギ猟を他の鳥類の狩猟と区別して"Snipe shooting"と呼び、これが略称となって"Sniping"として定着し、そこからタシギを上手く仕留められるほど優れた猟師のことを"Sniper"と呼ぶようになったとされている。

英語圏において弓矢や銃等の投射兵器で精密射撃を行う兵士を指して用いられていた言葉は主に"Sharpshooter"(射撃の名手)であった。現在用いられる「狙撃手」としての"Sniper"という単語は、第一次世界大戦期に新聞等の報道機関が"Sharpshooter"や"Marksman"(選抜射手)をまとめて指す言葉として用い、これが定着したものである。

概説

軍隊や警察による狙撃は、原則として専門の訓練を受けた狙撃手によって行われる。狙撃が行われる状況は様々だが、共通していることは適切な位置まで移動して待ち伏せを行い、相手に悟られずに狙いを付け、少数の弾丸で目標の敵や犯罪者を確実に殺害あるいは無力化することにある。

狙撃手を狙撃に専念させる為に、周囲の状況把握や命令伝達、場合によっては接近する敵の排除などを受け持つ観測手(スポッター)とペアを組んで活動する。この観測手は狙撃手としての技術を持つ人員が担当する。これにより意思疎通がスムーズにでき、互いに役割を交代する事で負担を分散できるようになる。変則的な例として、狙撃手に汎用機関銃手と小銃射手を加えた3人チームで行動していたセルビア紛争の事例がある。これを目撃した傭兵の高部正樹は、注意力の維持や負担の軽減のみならず、装弾数や連射力に乏しい狙撃銃の火力を補い、広範囲に対処できる極めて有効な戦術だったと述べている。

狙撃銃は軍用あるいは民生用ライフル銃の量産品から精度の良い個体を選び出し、スコープ照準器などの追加装備を施した物が使用されていたが、近年では当初から狙撃専用に開発された製品も存在する。精度の問題から、従来は一発必中を求めてボルトアクション方式ライフルが主に用いられたが、近年では、ミュンヘンオリンピック事件の影響などで、射撃精度を犠牲にしても、第2弾を素早く発射できるセミオートマチック方式ライフルの製品も増えている。戦間期から第二次世界大戦にかけては自動小銃を狙撃に用いる構想も一部の国では存在した。継続的に至近弾を送ることによる制圧効果を期待してのものだったが、戦後一般の小銃手にも広く自動火器が配備されたことで廃れた。

軍隊に於ける狙撃手(狙撃兵)

軍事行動での狙撃手は必然的に身を隠すことになり、高度なカモフラージュの技術を求められる。目立ちにくい色の服や迷彩服を着用し、その上からさらにギリースーツと呼ばれる植物を模した覆いを被ったり、植物を身に巻くなどの工夫がある。これは、敵に何処からともなく撃たれるという精神的な効果も狙った処置でもある。警察組織における狙撃手は、このような装備品によるカモフラージュは行わない場合が多い。

基本的に観測手を伴って行動し、単独では困難な、長距離射撃における射弾の観測と修正を担当させる。観測手は経験を積んだ狙撃手が担当し、狙撃手への射撃の指示や射弾の修正量の計算は観測手が行う。また移動の痕跡が少なく敵に発見されにくいことから、斥候(偵察兵)としての任務を兼ねる場合がある。このため軍隊の狙撃手と観測手には、敵情を正確に判断、把握する能力や記憶力なども要求され、目標排除のために必要であれば航空支援、火砲による支援砲火の要請、巡航ミサイルなどの精密誘導兵器の標定、誘導なども任務に含められることがある。
ベトナム戦争時、アメリカ軍の狙撃兵カルロス・ハスコックが敵司令官を追って長時間匍匐で移動し、発見されることなく暗殺に成功したが、この際、ハスコックは糞尿を全てズボンの中に垂れ流しにしていた。生物として回避できない排泄であっても、痕跡を抹消することを優先したこの行為は、狙撃手の任務を表す一例として引用されている。

軍事行動の場合、狙撃手の基本的な任務は脅威度の高い目標の排除となる。敵狙撃手を探知及び排除するカウンタースナイプ任務なら優先目標となるのは敵の狙撃手であり、この他に対戦車兵器の射手、機関銃手等、その場での脅威度が高い物が目標となりうる。

また、指揮系統や部隊運用能力の麻痺を狙って、代替の困難な高級将校や通信兵、衛生兵を狙う狙撃がある。これを避ける為、兵士と将校が同じスタイルの軍服を着用するようになり、将校に対する敬礼が省略されて、階級の上下を問わず先に敬礼された方が答礼を返す方式となった。また所持品や装備の面でも、双眼鏡や拳銃、マップケースなど、一目で将校と分かる特徴は出さないように工夫され、ベトナム戦争以降のアメリカ軍では、階級章の材質を高級将校も兵士も同じにするなど違いを目立たせない工夫が図られるようになった。

敵兵士に強いプレッシャーを与えて敵の進行を遅らせる遅滞戦闘を目的とする狙撃はカウンタースナイパーと呼ばれ、たった1組の狙撃兵によって敵部隊を1つ足止めするといった大きな効果を現すことがある。この場合、負傷者を出して手当てに人手を割かせるため、あえて止めを刺さないなど長期的な影響を狙った選択が行われる事がある。
狙撃による攻撃を受けた場合、狙撃手はカモフラージュによって位置を隠蔽しているため、大まかな位置を割り出した後は火砲や迫撃砲による砲撃か、航空隊による空爆を用いて、目標一帯を面制圧するような大規模な手段を用いる場合が多い。市街地など砲爆撃が行い難い場所に於いては、多数の兵士を投入して数で制圧する対処法がある。
多数の兵士が交錯する集団戦では誰の攻撃が味方を殺害したのか判別が難しいのに対して、狙撃手は単独もしくは少数で行動しているため、殺害者を特定した上での報復として、捕虜となった狙撃兵が虐待、殺害されることもあった。また、第二次世界大戦において連合軍上陸後のフランスでは、居残ったドイツ軍狙撃兵が手持ちの弾丸を使い切るまで連合軍兵を射殺し続けた後に投降してくることがあり、「投降する前に殺せ」という命令を下した指揮官もおり、一般部隊の兵士には狙撃を卑怯とする風潮もあった。味方からも畏怖まじりの賞賛を受ける一方で、精神的嫌悪感や、敵の強烈な報復攻撃などの厄介事を招き込みかねないため、疫病神扱いされる事もある。
イラク戦争では、米軍及び多国籍軍の狙撃手に賞金が懸けられ、現地武装勢力に手配された。その為、現地住民の監視等で行動に制約を受け、常に危険にさらされる状況が生じ、一般兵との見分けが付かないよう行動することが求められたという。

狙撃師団

帝政ロシア軍やソ連軍、第二次世界大戦前後の時期のポーランド軍には、狙撃師団あるいは狙撃兵師団と呼ばれる部隊が存在していた。これは原語の стрелковая дивизия (ロシア語)及び dywizja strzelcow (ポーランド語)を、旧陸軍がこのような日本語に訳したものである。原語に忠実に約せば「射撃師団」のようになる。実像としては歩兵師団と変わるところはない。同様の理由から、ソ連軍やロシア連邦軍の機械化歩兵も日本語では「自動車化狙撃兵」と呼ばれる。

警察に於ける狙撃手

警察行動での狙撃ではほとんどの場合、絶えずその発砲に違法性がないかを入念に検証される。犯人の間近に人質が存在する場合、その保護のため目標の確実な無力化が求められる。狙撃は確実を期するために可能な限り目標に接近して行われ、複数の射手が同時に行動する場合もある。射界を広く取ることで、全体の状況を監視する役目を負うこともあるため通常高台や周囲を見渡せる場所などへ配置される。軍狙撃兵のようなギリースーツや迷彩服などによる擬装は殆ど行われないが、狙撃手の存在が犯人を刺激すると判断されれば、やはり発見されづらい位置へ配置される。ヘリコプターや飛行機に乗り、空中から狙撃を行う例もある。

犯罪・テロとしての狙撃

狙撃が要人暗殺や連続殺人などの手段に用いられ、重大な事件や、テロリズムに発展した事例が存在する。詳細は狙撃手#実行や解決に狙撃が用いられた事件を参照。

日本に於ける狙撃手

旧日本軍でも帝国陸軍が大正時代から狙撃銃の研究を始め、のちに九七式狙撃銃(三八式改狙撃銃)・九九式狙撃銃として開発採用された。これらの狙撃銃(総生産数約32,500挺)は一般歩兵の選抜射手に支給されこれを狙撃手とし、第二次世界大戦の各戦線で運用された。

現代では自衛隊の普通科部隊及び特殊部隊(特殊作戦群、特別警備隊)、警察の銃器犯罪に対応する部隊(銃器対策部隊、特殊急襲部隊など)、海上保安庁の特殊警備隊に狙撃手が配備されている。自衛隊ではM24 SWSを「対人狙撃銃」の名称で採用している。警察や海上保安庁では、主に銃器を使用したテロや武装しての立て篭もり事件などに使用される。

「瀬戸内シージャック事件」のように、状況によっては射殺せざるを得なくなる場合もあるが、警察活動の場合は犯人逮捕に重点を置くため、最初から射殺を考えて配置されることはあまり無い。反撃を警戒し、狙撃後にすぐに移動を行って自己の存在を悟られる事のないようにしなければならない軍の狙撃手に対して、警察の狙撃手は、狙撃後にその存在が暴露されても、射手自身に危険が及ぶことは少ない。

さらに詳しく → 狙撃手




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