バージニア級原子力潜水艦 (Virginia Class submarine)

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2011/05/24(火)
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バージニア級原子力潜水艦(バージニアきゅうげんしりょくせんすいかん Virginia Class submarine)は、アメリカ海軍が現在調達中の攻撃型原子力潜水艦。艦名はアメリカ合衆国の州名がつけられている。2004年10月に1番艦が就役した。

開発の経緯

冷戦末期アメリカ海軍は、主力攻撃型原潜であるロサンゼルス級の後継としてシーウルフ級を開発した。シーウルフ級はソ連海軍のアクラ型などに対抗すべく攻撃能力、静粛性、速力、潜航深度などすべての面において最高レベルの性能をもった潜水艦として開発されたが、その反面高価なものとなってしまった。そのため、冷戦の終結による予算縮小もあって、建造は3隻で打ち切られた。

当初からシーウルフ級は高価であるため量産は不可能と考えられ、シーウルフ級より性能を若干落とし価格を下げた安価な潜水艦でロサンゼルス級を代替することが計画され、計画名もセンチュリオンと名付けられた。これがバージニア級の原点となる。センチュリオンは冷戦時にはそれほど注目されていなかったが、冷戦終結に伴う予算縮小が現実化するにつれ注目されることとなり、1992年には計画名がNSSN (New Attack Submarine) へ変更され本格的な開発が開始された。

NSSNは、静粛性はシーウルフ級並ながらロサンゼルス級より一回り小さい船体で、速力をはじめとした能力も若干低下させた潜水艦が予定されていた。だが、後に沿岸浅海域(littoral area)からの陸上攻撃能力を重視したアメリカ海軍の新戦略である「from the sea」に基づく陸上攻撃能力の向上やSEAL輸送能力の付与などにより、最終的には静粛性はシーウルフ級並、その他の面はロサンゼルス級以上シーウルフ級以下の性能を持つ潜水艦となった。結果として価格も高騰してしまい、調達性が低下してしまったのは皮肉な話である。

コスト削減策

冷戦終結後に登場したバージニア級には、かつてほどの潤沢な予算を振り向けるわけにはいかなくなった。そこで、コスト削減に意が用いられることになった。

その例の1つが民生品転用(COTS: commercial off the shelf)で、純粋に軍用に開発されたのではない、一般に使用されている商用民生品を導入するというものである。民生品の中でもコンピューターのような電気製品では、軍用品に比べ安価で能力も良いが、信頼性や耐久性には欠けるため、兵器の一部として使用する場合は交換を容易にするなどの保守のための配慮が欠かせなくなる。バージニア級では、船体をパーツの交換が容易なモジュール構造とすることで、民生品の信頼性の低さを補っている。また、バージニア級は長期にわたっての建造が予定されており、その途中での装備変更も計画されているが、上記の様にモジュール構造を用いることで能力向上も比較的簡単に行うことができるとされている。光ケーブルを使用した艦内LANにはオープン・アーキテクチャーを採用している。

また、原子炉の核燃料棒の寿命は艦の寿命(33年とされる)と等しいものを採用した。いままでの原子力潜水艦では、おおむね10年ほどで核燃料棒の交換をしなければならず、そのつど艦体を切断しての大がかりな工事が必要であった。この工事自体のコストだけでなく、大規模工事に伴う長期の戦力不在を埋めるために、代艦を確保しなければならず、これらがコスト上昇の大きな要因となっていた。バージニア級においても、ドック入りを伴う整備は不可欠であることは変わらないが、特にコストの大きい核燃料棒交換工事の必要を事実上なくしたことによる、コスト節減が期待されている。

特徴

船体構造

船体内部は前から順にソナー、トマホーク用垂直発射管、発令所、居住区、原子炉区画、機械室と後期型ロサンゼルス級と基本的には変わっていない。船体をモジュラー構造とし、各区画ごとに独立した機能を組み込んだことで船体が長くなった。主要な鋼材にHY80高張力鋼を使用し、シーウルフ級のHY100より安価としたが最大潜航深度も610mから488mに落ちているとされる。

セイルは後期型ロサンゼルス級やシーウルフ級と同じように潜望鏡や対水上レーダー、シュノーケルなどが装備されており、基部は整流用に整形されている。氷海での行動も考慮して、潜舵はセイルではなく船体前部に装備されている。潜望鏡は非船殻貫通型と呼ばれる新しい仕組みが採用されている。従来の光学的な潜望鏡と異なり船殻に穴を開けて潜望鏡を設置する必要がなくなるため、耐圧船殻の開口部を減らし、強度を増すことが出来る。

スクリューは静粛性に効果のあるシュラウドリング(一種のカバー)を取り付けており、スクリュー形状も変わったとも言われるが、形状が確認できる確かな情報源はない。シーウルフ級と比べて39ノットから34ノットに最大水中速力が落ちているとされる。船体はアクティブソナー対策としてソナー部分など一部をのぞき吸音タイルで覆われているが、これはロサンゼルス級以来行われているのと同様である。

兵装

バージニア級の兵装は533mm魚雷発射管×4門にトマホーク用VLS×12基で、後期型ロス級と同様である。デコイ発射筒は再装填不可の14基と再装填可能な1基の合計15基がある。

魚雷
533mm魚雷発射管×4門のための発射管室はセイル部がある発令所の下の階に位置する。シーウルフ級の660mm魚雷発射管8門と比べると戦闘能力は下がったかのような印象を受けるかも知れないが、魚雷発射管室内の弾庫の搭載数(魚雷・対艦ミサイル38発)とトマホーク用VLSを合わせればシーウルフ級と同数である。なお、魚雷発射管は、従来と同様に機雷の使用も可能である。

VLS
トマホーク用の12基のVLSはセイル部と艦首ソナーの間に設置されている。これは改良型のタクティカル・トマホークが軽量化とコストダウンによって強度が低下し、魚雷発射管からの発射が出来なくなったためである。

センサー

非船殻貫通型潜望鏡
従来型の光学式潜望鏡に代わって採用された新たな非船殻貫通型潜望鏡は、3種のテレビカメラで外部を撮影し、その信号を発令所のディスプレイに送信するというものである。テレビカメラは可視光線域の高解像度カメラと光量増感式カメラ、赤外線カメラが2本のマスト先端に取付けられ、360度の視界が得られる。従来の光学式潜望鏡では、潜望鏡を覗ける1-2名だけが画像情報を得られたが、新型の電子光学式潜望鏡では昼夜を問わず大型ディスプレイによって艦内の必要な人員が同時に見る事が出来、録画や艦外への情報提供も可能となる。

マスト
セイル上部には合計8本のマストがあり、内2本は非船殻貫通型潜望鏡である。6本は航海用レーダー、電波逆探知用(ESM)、電波傍受用に使用されている。

ソナー

艦首ドーム内に球形ソナー(中周波のアクティブ/パッシブ)と艦首下部のチン・ソナー(高周波のアクティブ)
船体両側面の各3箇所に軽量広開口ソナー(中周波のパッシブ)
ケーブル曳航式ソナー
セイル前面上部のソナー(高周波のアクティブ)

チン・ソナーとセイル・ソナーは主に前方の機雷の探知を行ない、他のソナーは船舶や潜水艦の探知に使用される。

SEAL支援装備

バージニア級は開発当初からSEALの活動を想定して設計された最初の艦である。魚雷室の搭載魚雷を減らすことで、空いた空間にSEAL潜水隊員用の居住コンパートメントを設置して最大40人程度のSEAL隊員を輸送することができる。

船体上部には、アクアラングを装備した最大9名のSEALが水中で同時に出入りすることができるエアロック・チャンバーも備えている。セイル前方側面には艦外収納庫があり特殊部隊用の装備を格納できる。SEAL輸送用の小型潜水艇ASDS (Advanced SEAL Delivery System) の開発は中止されている。

性能諸元

排水量 水中:7,800トン
全長 114.8m
全幅 10.4m
吃水 9.3m
機関 原子力ギアード・タービン推進(40,000 shp)1軸推進
    GE S9G型加圧水型原子炉 1基
    蒸気タービン 2基
速力 公表値:水中25ノット
    推定値:水中34ノット
乗員 134名
兵装 533mm水圧式魚雷発射管
    Mk 48 魚雷
    ハープーン USM
    各種機雷
    弾庫容量: 38基分
    無人潜水艇の使用も可能
    トマホーク SLCM用VLS 12基

さらに詳しく → バージニア級原子力潜水艦



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