2010/12/16(木)

P-63 キングコブラは 、第二次世界大戦時にアメリカ合衆国のベル・エアクラフトが開発した戦闘機。アメリカ陸軍航空軍をはじめ、連合国側で運用された。
概要
ベル・エアクラフト社によって開発されたP-39は、胴体中央(操縦席の後)に液冷式のレシプロエンジンを置き、プロペラ軸を通った大口径機関砲を機首に装備するという野心的な設計だった。しかし、高高度性能が貧弱だったため戦闘機としては苦戦を強いられた。この後継機として、同じレイアウトで高度による性能低下問題を解決した発展型が本機である。
XP-63は1941年6月27日に試作機の発注を受けた。初飛行は1942年12月7日。高々度性能を改善するため2段過給器を備えたアリソン V-1710エンジンを搭載し翼の形を変更した。また、機体全体を若干P-39よりもスケールアップさせており、全長は0.75m伸びている。基本的なスタイルはP-39を踏襲しているが、パーツは全て新規設計となっている。なお、量産決定は初飛行前の1942年9月に下されている。
性能的にはかなり向上したものの、P-47,P-51と比較すると低速で上昇力も劣っていた。更に著しく短い航続距離が決定打となり、陸軍では P-63一部を国内の練習部隊に配備した以外は、約 2400 機を、ソ連へのレンドリース機として輸出した。ソ連では 迎撃戦闘機として利用された。また、戦後フランスにも供与され、インドシナ紛争時には対地攻撃で使用された。総生産機数は3,305機。
派生型
派生型の内最も有名なのは有人標的機RP-63「ピンボール」である。これは爆撃機旋回銃手の実射演習用に開発されたもので、全面オレンジに塗装された機体の武装・装甲を撤去した代わり外板全面をジュラルミン厚板で貼り直し、風防には防弾ガラスをはめ込んでいた。そして命中するとスピナ先端の赤ランプが点滅するという面白い仕組みを持っていて、300機以上生産された。
要目
* 乗員:1 名
* 全幅:11.68m
* 全長:9.96m
* 全高:3.84m
* 重量:2892Kg
* 全備重量:3992Kg
* 発動機:アリソン V-1710-93 液冷12気筒 1325hp
* 最高速度:660Km/h (高度 7620m)
* 実用上昇限度:13106m
* 航続距離:724Km
* 武装
o 37mm 機関砲×1
o 12.7mm 機銃×2(機首)
o 12.7mm 機銃×2(主翼下面)
o 爆弾 500LBs(227Kg)
各型
* XP-63:試作機。
* P-63A:初期量産型。
* P-63B:パッカード・マーリン V-1650-5エンジン搭載型。計画のみ。
* P-63C:V-1710-117エンジン搭載。
* P-63D:キャノピーを涙滴型に変更、主翼を拡大。V-1710-109エンジン搭載。1機のみ製造。
* P-63E:自動車型キャノピー搭載、主翼を拡大。V-1710-109エンジン搭載。2,930機発注、13機製造。
* P-63F:エンジン換装。尾翼を改修。
外部リンク → P-63 (航空機)
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