AV-8B ハリアー II (McDonnell Douglas AV-8B Harrier II)

航空兵器・陸上兵器・海上兵器・銃器・戦争・紛争・歴史・革命・テロ・事件・軍事動画・ニュース(報道)・社会情勢・政治運動・評論・講演など、軍事関連の情報を公開しています。宗教・思想・経済・政治的なものも少しアリ

広告
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2010/10/31(日)
*







マクドネル・ダグラス AV-8B ハリアー II (McDonnell Douglas AV-8B Harrier II) は、マクドネル・ダグラス(現ボーイング)社が短距離離陸垂直着陸機のホーカー・シドレー ハリアーを基にスーパークリティカル翼や揚力強化装置を組み合わせて開発した攻撃機である。軽空母や強襲揚陸艦、小規模な飛行場といった他機の活動が制約される環境下で近接航空支援と戦場航空阻止をこなすことが出来る数少ない攻撃機として現在もアメリカ、イギリスを始め、数ヶ国で運用されている。

開発経緯

アメリカ海兵隊ではハリアー GR.1の改良型であるAV-8A ハリアーを1971年より部隊配備し、ホーカー・シドレー(現BAEシステムズ)社とマクドネル・ダグラス社はハリアー第二世代の開発に向けてパートナー・シップを結んだ。しかし、イギリス軍とアメリカ軍は、打撃・航空阻止の任務においてはF-4、F/A-18やトーネード IDSといった攻撃機が必要であると考えていた。ハリアーは亜音速機の上、航続距離が短く視界外発射 (BVR) ミサイルを搭載していない。そのため、敵戦闘機と渡り合うことが困難で、電子機器が貧弱であり昼間攻撃しか行えず、対地攻撃任務の投入もその危険性を指摘されていた。

イギリス政府の支持を得られなかったホーカー・シドレー社は脱落したが、アメリカ海兵隊の認識は異なっていた。世界中に部隊を展開する上で滑走路や航空機用シェルターなどコンクリートで守りを固められた基地は数が限られており、兵器庫や燃料庫は攻撃目標として選定されやすい反面、攻撃に対して脆弱であった。また、上陸侵攻直後には滑走路の確保自体に問題が生じる可能性があった。垂直離着陸機は、規模が小さく設備の不十分な飛行場でも活動でき、そこが利点となる。

アメリカ海兵隊は、武装搭載量の増大など、より実用的な垂直離着陸攻撃機を求めており、1975年にマクドネル・ダグラス社から提出されたハリアー改良案を了承した。これにより、オリジナルのハリアーに複合材料の導入などの軽量化策を施し、実質的な兵装搭載量を増大させた AV-8B ハリアー II(ハリアー・ツー)を開発することとなった。ハリアー IIは、AV-8A改造の試作機YAV-8Bが1978年11月9日に初飛行を行っている。量産開始は1982年。

この機種をイギリス軍はGR.5として逆輸入し、さらに改良を加えたGR.7を開発・使用しており、GR.9の改修計画が進行している。こうした経緯のため、ハリアー IIの製造者はBAEシステムズ社とボーイング社の英米2社であるが、アメリカとイギリスのハリアーII自体の能力は異なる。現在までに精密爆撃と夜間攻撃能力を備えたハリアー IIは、800機以上生産されている。

機体

ハリアーの発展型であり、基本的な機体形状は同等である。高翼配置の主翼を持ち、機体各所に姿勢制御用のエアノズルを持つ。ロールス・ロイス ペガサスエンジンを装備し、胴体脇に計4ヶ所の排気口を持つ。前部2ヶ所の排気口は形状が変更され、ダクト形状となっている。コックピットも高い位置に移動しキャノピーが大型化されている。

主翼はカーボン製のスーパークリティカル翼となり、翼面積も14%拡大した。主翼のハードポイントも2ヶ所増設され、翼端にあった補助車輪が内側に移動している。胴体下のガンポッドにストレーキが設けられ、VTOL時の揚力向上に寄与している。また、胴体下部左右の機関砲ポッドを使わない時は取り外し、ホバリング時の反射風を効率良く受ける為の胴体揚力増強装置に取り替えることができる。

実戦経験と評価

湾岸戦争で参戦した7機のうち5機が撃墜され、2名が戦死。これは同戦争に参加したA-10攻撃機の3倍、F-16多用途戦闘機の7倍の損耗率である。アフガニスタン侵攻やイラク戦争では湾岸戦争での経験を生かし、高高度からのレーザー誘導爆弾による爆撃に戦術を切り替えたため損失が格段に少なくなっている。

初期に開発されたハリアーはレーダーを装備しておらず、空対空ミサイルは赤外線誘導の短射程ミサイルのみだったが、イギリス海軍が使用するシーハリアー FA.2やアメリカ海兵隊が使用するAV-8B+ ハリアー II プラス (Harrier II Plus) は、アクティブホーミングのAIM-120 AMRAAM中距離空対空ミサイルの使用が可能である。

垂直離着陸機の実用性を示したという点で、ハリアーは一時代を画した航空機だが、コンセプト上大重量のエンジンを積まなければならない一方で、高翼面荷重で余剰推力に乏しく搭載量が限定されるため、離陸時のみスキージャンプ台のような発射台に向けて滑走するSTO方式が併用されるようになった。

また、通常のターボファン機とは異なり、熱排気が低温のバイパス流と混和冷却されずに純ジェット同様に直接排出されることから、赤外線誘導ミサイルの追尾を受け易く脆弱性が高いことが戦訓で明らかになったため、ハリアーを運用する諸国もこれ以上の改良は断念している。

ただ、垂直離着陸機ないし短距離離着陸機のもつ運用上の利点は十分に認識されているため、ハリアーの占めてきたポジションの後継には統合打撃戦闘機 (Joint Strike Fighter) であるF-35 ライトニング IIが占める予定であり、アメリカを中心とした国際共同による開発が行われた。

スペック(AV-8B+ ハリアー II プラス)

諸元

* 乗員: 1名
* 全長: 14.12 m (46 ft 4 in)
* 全高: 3.55 m (11 ft 8 in)
* 翼幅: 9.25 m(30 ft 4 in)
* 翼面積: 22.61 m2 (243.4 ft2)
* 空虚重量: 6,745 kg (14,865 lb)
* 運用時重量: 10,410 kg (22,950 lb)
* 有効搭載量: kg (lb)
* 最大離陸重量:
    o 滑走離陸時: 14,000 kg (31,000 lb)
    o 垂直離陸時: 9,415 kg (20,755 lb) (9,415 kg)
* 動力: ロールス・ロイス製 ペガサス 105 ターボファンエンジン、96.75 kN (21,750 lbf) × 1

性能

* 最大速度: マッハ 0.89 (1,085 km/h, 675 mph)
* フェリー飛行時航続距離: 3,300 km (1,800 nm)
* 航続距離: 2,200 km (1,400 mi, 1,200 nm)
* 上昇率: 4,485 m/min (14,700 ft/min)
* 翼面荷重: 460.4 kg/m2 (94.29 lb/ft2)
* 推力重量比: 0.9477

武装

* 固定武装:GAU-12U イコライザー 25 mm 機関砲ポッド(300発)
* ハードポイント:7箇所
* ハードポイント搭載量:5,986kg (13,200 lb)
    o AIM-9 サイドワインダー
    o AIM-120 AMRAAM
    o AGM-65 マーベリック
    o レーザー誘導爆弾
    o 自由落下型爆弾

さらに詳しく → マクドネル・ダグラス AV-8B ハリアー II



自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか? 主力戦闘機の秘められた実力を科学的な視点から徹底検証!! (サイエンス・アイ新書)自衛隊戦闘機はどれだけ強いのか? 主力戦闘機の秘められた実力を科学的な視点から徹底検証!! (サイエンス・アイ新書)
(2010/09/18)
青木 謙知

商品詳細を見る
関連記事

タグ : 攻撃機 ハリアーII ハリアー2 AV-8B VTOL 垂直離着陸機

この記事へのコメント
URL:
Comment:
Pass:   
この記事のトラックバックURL
http://gunjimania.blog108.fc2.com/tb.php/1790-c536c37e
 この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

 | Copyright © 軍事マニアクス - Military Maniacs All rights reserved. | 

 / Template by 家族 ペット 自分史 ブログ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。