M3サブマシンガン/グリースガン (M3 Submachine Gun、Grease Gun)

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2010/10/02(土)
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M3サブマシンガン(英: M3 Submachine Gun)は、第二次世界大戦中にジョージ・ハイドとフレデリック・シンプソンによって設計され、アメリカ軍に採用された短機関銃である。独特の外観からグリースガン(Grease Gun 潤滑油=グリースを機械に注入する工具に似ていたため)、ケーキデコレーター(ケーキの上にクリームをしぼり出して飾りつける道具に似ていたため)、また生産地からデトロイト・サブマシンガンとも呼ばれている。

開発

アメリカ軍は第二次大戦初期当時、制式短機関銃としてトンプソン・サブマシンガンを元にしたトンプソンM1短機関銃を採用していた。だがトンプソンは原設計が古い上に、トンプソンから工程を簡略化したM1でも木製のグリップやストックを装備しレシーバーを削り出しで製造するなど性能重視の設計だったため、MP40やステンガンなどの外国製の同種火器に比べて、コストが高く生産効率が悪かった。撃針の固定化や機関部のプレス成形などで生産効率を上げたM1A1も開発されたが、木製部品を多用するトンプソンでは、急増する戦場からの補給要請を満たすには程遠い状況であった。

アメリカ軍では、性能を多少落としても更なる生産性を有する新型サブマシンガンが計画され、鋼板のプレス加工と溶接のみで製造できる本銃が開発された。試作銃の試験結果は良好で、1942年12月24日に、試作銃T20が制式名称 は"U.S. Submachine Gun, Cal. .45, M3 / M3A1"、略称M3の名で採用された。

設計

開発にあたっては自動車量産のために鋼板プレス加工と溶接技術に長けていた大手自動車メーカー・ゼネラルモータースの技術が利用された。メカニズムはMP40などが参考にされたが、より簡易かつ安価な作りで、プレスで作ったレシーバーを左右から接合し、溶接で貼り合わせ組み上げている。銃身は2本の鉄棒で保持されたものが組み込まれている。弾丸はトンプソンと同様、アメリカ軍制式の.45ACP弾が引き続いて採用されており、個人用装備であったM1911A1拳銃との銃弾の互換性が維持されていた。

この銃は非常に単純化されたメカニズムを備えていた。特に、安全装置として排夾口の蓋を利用した(発射する時だけ蓋を開く)単純明快なアイデアは、傑出した合理化策と言える。また、グリップには整備用の機械油の容器が内蔵されており、針金製の伸縮式ストックは、分解・装填用ツールを兼ねていた。

運用

「グリース・ガン」を思わせる工具風外見は、最初に支給された兵士たちからは奇異に受け止められたが、実戦において取り回しが良く信頼性の高い銃であることが実証されると、多くの兵士たちから愛用されるようになった。M3は故障が大変少なく、携帯性にも優れていたので(トンプソンの全長は813mmであり、本銃の全長は 579mm)、歩兵以外にも戦車兵の自衛用火器などとして使用された。生産コストもトンプソンの1/3の22ドル(当時)と安価であった。弾丸の発射速度はM1より遅かったが、その分射撃中のコントロールが容易というメリットがあり、フルオート射撃専用の銃であるにもかかわらず、瞬間だけ引き金を引き、擬似的なセミオート射撃を行う扱いに熟練した兵士もいたという。伸縮式ストックの「工具」的な仕様も好評だった。

しかし、M3には大きな欠点があった。外付けのコッキングレバーを手荒く扱うと外れてしまうという問題である。そこで1944年には、コッキングレバーを省略し、ボルトに凹みを付けて初弾装填時に直接指で動かすようにするなど簡易化したM3A1が開発された。ボルトは撃発により熱くなるが、手袋を填めた兵士ならこれでも問題なく使え、部品点数を減らしつつ信頼性が高まったため、M3シリーズの完成形となった。

M3とM3A1は、アメリカ軍に広く配備されたほか、ソビエト連邦や中華民国にも供与され、第二次世界大戦のほぼ全ての戦線で運用された。大戦中のM3とM3A1の総生産数は約646,000挺以上であった。戦後も、西側諸国やアメリカ寄りの新興国に広く供与され、朝鮮戦争勃発に合わせて更にM3A1が33,200挺が再生産されている。後にベトナム戦争の初期にも使用されたが、湿度の高いベトナムでは薄い鉄板製のレシーバーが錆びやすく、評判は良くなかった。

日本の陸上自衛隊でも11.4mm短機関銃M3A1の名で制式採用された。1960年代には後継としてニューナンブM65/M66短機関銃が開発されたが、サブマシンガンの価値が薄れつつあったため採用されず、1990年代になって9mm機関けん銃が採用されたが、全てのM3A1が更新されたわけではなく、戦車搭乗員の他普通科部隊の対戦車小隊所属60式自走無反動砲乗務員や高射特科部隊隊員などで使用されている。なお、『自衛隊装備年鑑』にはM3A1との記載しかないが、M3とM3A1が混在している。海上自衛隊でも少数であるが使用されている。

バリエーション

M3
最初期型モデル。

M3A1
1944年に開発されたM3の改良型モデル。破損しやすかったコッキングレバーを省略するなどした。

M3S
第二次世界大戦中に、ベル研究所にて製造されたサイレンサー付きのモデル。OSS向けに約1000丁が製造された。

コピー生産

36式11公厘衝鋒槍
中国国民党兵工署が第九十廠(第二次世界大戦後に接収した奉天造兵廠)でコピー生産したもの。M3A1が元になっており、「36」は中華民国暦による(民国36年 = 1947年)。国共内戦の後、中国共産党軍に接収されたものが朝鮮戦争において中国人民志願軍や朝鮮人民軍に供与されたり、ベトナム戦争時に南ベトナム解放民族戦線に対して供与された。9mmパラベラム弾を使用するモデルもある。

PAM1
アルゼンチンのFMAP(Fabrica Militar de Armas Portatiles,軍用小火器工廠)でコピー生産されたもの。M3A1が元になっているが、9mmパラベラム弾を使用する。グリップセーフティを備えたPAM2というモデルも存在する。

仕様

種別 短機関銃
口径 11.43mm
    9mm
銃身長 203mm
使用弾薬 .45ACP弾
    9mmパラベラム弾
装弾数 30発(箱型弾倉)
作動方式 ストレートブローバック
全長 570mm
    745mm(銃床延長時)
重量 3700g
発射速度 400~450発/分
銃口初速 280m/秒

さらに詳しく → M3サブマシンガン



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(2010/07)
小林 宏明

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タグ : M3 M3サブマシンガン 短機関銃 グリースガン ゼネラルモーターズ GM デトロイトサブマシンガン

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