2010/09/06(月)

ブローニングM1917重機関銃( - じゅうきかんじゅう)は、1901年にアメリカで開発された重機関銃である。
開発経緯
設計はアメリカの銃器デザイナーであるジョン・M・ブローニングにより設計され、開発自体は1900年から始まったとされる。開発にはそれまでブローニング自身が試作した反動利用式機関銃であるコルト・ブローニングM1895重機関銃をさらに発展・改良させることで進められ、1901年に試作銃が完成する。その後アメリカ陸軍で早速この試作銃の射撃テストが行われたが、アメリカ陸兵器局では当初、軍では既にマキシム製の水冷機関銃が配備されていたことから、この試作機関銃に対しあまり興味を持たれる事は無かったとされる。しかし数回の射撃テストやマキシムやビッカーズ機関銃との比較性能試験も行った結果、両機関銃よりも優秀である事を認め、1917年にブローニングM1917重機関銃としてアメリカ陸軍で正式採用を決めた。
特徴としては、銃身の冷却機構にコルト・ブローニングM1895の失敗から、マキシム重機関銃と同じ水冷式を採用。さらに口径は30-06口径スプリングフィールド弾(7.62mm×63)が採用、機関部の発射方式にはショート・リコイル式(反動利用式)を採用している。弾薬の給弾方式にはそれまでブローニングが開発してきた機関銃と同じくベルト給弾式を採用、水冷機構部分は外見上マキシム機関銃の物と似ているが内部の冷却構造は全く違ったものを採用しており、マキシム機関銃に比べはるかに軽量であったとされる。
M1917重機関銃のバリエーション
* ブローニングM1917…M1917初期生産型タイプ。銃身冷却に水冷式を採用
* ブローニングM1917A1…M1917の耐久力を上げ、機関部を改良したタイプ
* ブローニングM1918…M1917の航空機関銃タイプ。銃身の冷却機構を水冷から空冷に変更
* ブローニングM1918A1…M1918をさらに改良しバレルなどを軽量化させたタイプ
* Ksp m/36…M1917のスウェーデン輸出型タイプ。使用弾薬を7.62x51mmのNATO弾を使用
* Ckm wz.30…M1917のポーランド輸出型タイプ。使用弾薬を8mm(7.92×57mm)マウザー弾を使用
* M/29…M1917のノルウェー軍での呼称。1929年~1940年まで重機関銃や対空機銃として使用された
* コルトM1917/1928…コルト社製ブローニングM1917。主に南米アルゼンチンなどに輸出され、改良型のコルトM1928ではM1917に比べ照準装置やフラッシュハイダー、マウント部分などが改良されている。
その後
アメリカ陸軍では第一次世界大戦に備えてM1917を大量に発注しているが、生産の遅れから第一次世界大戦終結の3ヶ月前から主にアメリカ軍や同盟国のフランス軍にも供給され、フランス軍では使用した重機関銃の3分の1がM1917だったとされる。その後1930年に陸軍内の造兵廠はM1917に改良を加えたM1917A1が開発されている。M1917A1は主に戦車やジープなどの車載機関銃として活躍し、さらに航空機用の機銃としても使用、射撃速度も450~600発/分と当時としては高い威力を見せた。
しかし陸軍内で使用されていたM1917及びM1917A1は水冷式のため、戦場では常に水の確保が必須とされ、さらに機関銃自身も非常に重かったため、戦場ではたびたび歩兵の機動力不足を招いたとされる。他の水冷式機関銃にも共通するこの欠点を解決するため、ブローニングは後にM1917A1の銃身に放熱ジャケットを装着させ軽量化、銃身部分も簡単に交換出来るように改良した空冷式機関銃「ブローニングM1919重機関銃」を開発、アメリカ軍ではM1917A1に代わり配備されるようになった。それでもM1917A1は第二次世界大戦から朝鮮戦争まで陸軍で使用された。その後も、韓国陸軍や警察予備隊など親米諸国の軍隊へ供与され、ベトナム戦争では南ベトナムに供与されたM1917A1が多数用いられている。
性能
口径 7.62mm
銃身長 610mm
使用弾薬 .30-06スプリングフィールド(7.62mm×63)
装弾数 250発ベルトリンク
作動方式 ショートリコイル・オープンボルト
全長 965mm
重量 47kg
発射速度 600発/分
銃口初速 850m/s
有効射程 5,500m(M1 Ball)3,500m(M2 Ball)4,500m(M2 AP)
さらに詳しく → ブローニングM1917重機関銃
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