アンザック級フリゲート(Anzac class frigate)

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2010/08/05(木)
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アンザック級フリゲート(Anzac class frigate)は、オーストラリア海軍ニュージーランド海軍が使用する汎用フリゲート。ドイツのMEKO型フリゲートの設計を採用しており、オーストラリア海軍向けに8隻、ニュージーランド海軍向けに2隻が建造された。

来歴

アンザック級フリゲートは、1980年代中盤にオーストラリア海軍がリバー級護衛駆逐艦およびパース級駆逐艦の更新を狙って進めていたNSC (New Surface Combatant) 計画に由来する。艦の大きさとしては、リバー級護衛駆逐艦より小さい1,200トンから、パース級駆逐艦よりも大きい5,000トンまでが考慮されていた。しかし、オーストラリア海軍はフォークランド紛争での戦訓から、対艦ミサイル防御能力とダメージコントロール能力を重視したため、排水量は3,600トンと決定された。また、オーストラリアにはこの大きさの戦闘艦を一から設計する能力はないものと信じられていたことから、船体の設計は海外のものを採用し、これにオーストラリア海軍の運用要求に基づいて自国で開発した戦闘システムを導入することも決定された。主任務は排他的経済水域 (EEZ) の警備とされ、1986年末には各社に対して開発要求が告知され、これに対して19の提案がなされた。

また、この時期、ニュージーランドも、自国海軍のリアンダー級フリゲートの代替として、オーストラリア海軍のNSC計画艦と同様の艦の調達を計画していた。第一次世界大戦のオーストラリア・ニュージーランド軍団以来、オーストラリアとニュージーランドはANZACと呼ばれる緊密な防衛協力体制を構築しており、この関係のもとで両者の新戦闘艦導入計画は合流することとなり、1987年3月には覚書を交わし、ANZAC軍団にちなんで「ANZAC計画」と命名された。

1987年8月には、ANZAC計画のコストは35億豪ドルに上昇しており、また、候補としては、ドイツが提案したMEKO 200型フリゲート、オランダが提案したカレル・ドールマン級フリゲート、イギリスが提案した23型フリゲートの小型化版の3つに絞られていた。このうち、23型改については1987年11月に脱落した。残る2つは、性能的にはほぼ同等であったが、コスト面のメリットが評価されてMEKO 200型が選定されることとなり、1989年8月14日、オーストラリアの社が建造するMEKO 200型フリゲートがアンザック級フリゲートとして建造されることが発表された。原設計はドイツのブローム・ウント・フォス(B+V)社、主契約社はオーストラリアのテニックス社であり、73%のワークシェアをオーストラリアとニュージーランドで分け合っている。建造数は、オーストラリア向けが8隻、ニュージーランド向けが2隻から4隻ほどとされたが、結局、ニュージーランドは2隻のみを建造するにとどまった。

船体

船型・外形

本型の船体設計は、先行して設計された他のMEKO 200型とおおむね同一であり、中央船楼型の船型とV字型の煙突が外見上の特徴である。また、船楼の後端にはヘリコプター 1機を収容できる格納庫が設置されている。

機関

EEZ警備という主任務から、速力は要求されておらず、このため、機関出力も抑えられている。アンザック級以外のMEKO 200型は、ヤウズ級がV型20気筒ディーゼルエンジン×4基によるCODAD構成を採用している以外は、いずれもゼネラル・エレクトリック LM2500型のガスタービンエンジン×2基とMTU製のV型20気筒ディーゼルエンジン×2基によるCODOG構成により、60,000馬力級の最大出力を得ていた。これに対し、本級では、LM2500 ガスタービンエンジンが1基減らされた構成になっており、機関の最大出力は30,172馬力に低下している。

兵器システム

武装・艦載機

本級は、EEZ警備という想定任務から、これまでに建造されたMEKO 200型フリゲートのなかではもっとも軽武装のものとなっている。建造時に搭載されていた武装は、オーストラリア向けの艦で、

* Mk.45 5インチ単装砲×1基
* ブローニングM2 12.7mm機関銃×数丁
* Mk.41 mod.5 VLS ×1基 (8セル; シースパロー 個艦防空ミサイル用)
* Mk.32 mod.5 3連装短魚雷発射管 ×2基
* 艦載機としてヘリコプター×1機

であり、ニュージーランド向けの艦でこれにファランクス 20mm CIWSが加わるのみで、基本的に自衛用に限定されており、対水上火力はまったく装備していなかった。

ただし、MEKO型フリゲートは、多様な顧客の要求に柔軟に対応するために装備品のモジュール化設計を採用しており、これは、就役後でも比較的容易に武装の交換・増設が可能であることを意味する。このことから、就役後には本級を防空艦として改装することも検討されたほか、オーストラリア艦に対しては、ハープーン艦対艦ミサイルの搭載も開始された。

レーダー

オーストラリア海軍では、本級の防空能力の近代化改修計画「ASMD」(Anti-Ship Missile Defence、対艦ミサイル防衛)が進められている。これは、現有のシースパロー PDMSをESSMに変更し、従来の2種のレーダーに代わって国産の3次元レーダーであるCEAFAR 多機能アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーおよびCEA-MOUNTイルミネーターを装備することによって、本艦に限定的な艦隊防空能力(僚艦防空)を付与するもので、イージス艦として計画されているホバート級駆逐艦 (Hobart class destroyer)導入までの間にアデレード級フリゲートとともに艦隊防空を支え、またホバート級を補完することが期待されている。なお、パース級駆逐艦の退役後、防空艦としてオーストラリア海軍が導入しているアデレード級フリゲートには3次元レーダーがないため、本級に対するASMD改修が実行に移されるまで、オーストラリア艦隊は、遠距離で目標の高度を知る手段を失なうことになる。

豪海軍では最初に8番艦「パース」("Perth" FFH 157) から改造する予定であり、シージラフ (Sea Giraffe) とセロス200 (Ceros 200) という対空レーダーと射撃指揮レーダーが撤去され、代わりに CEAFAR 多目的レーダーが取り付けられる予定である。改造工事は2010年早々から始められ、2011年の完了が予定されている。残り7艦すべての改造工事完了は 2017年が予定されている。

さらに詳しく → アンザック級フリゲート



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竹田 いさみ

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