MIM-72 チャパラル (MIM-72 Chaparral)

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2010/06/18(金)
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MIM-72 チャパラル(英: Chaparral)は、AIM-9 サイドワインダー空対空ミサイル・システムを基礎としたアメリカ陸軍の地対空ミサイル・システムである。発射機は、M113装軌車輌をベースにしている。MIM-72は1969年にアメリカ陸軍で運用が開始され、1990年から1998年に段階的に退役した。より短距離で短時間の交戦をカバーするM163 VADSと併用され、より長距離の目標の攻撃に使われることを目的とした。

開発

アメリカ陸軍のMICOM(Missile Command)の研究は、地対空攻撃用にアメリカ海軍のAIM-9D サイドワインダー・ミサイルを転用する可能性を調査するために、1963年から始められた。研究は1965年に完了し、最初はキャンセルされたMIM-46 モーラーの短期間の代替として、チャパラル計画が開始された。最初のXMIM-72Aミサイルは、1967 年にアメリカ陸軍に届けられた。フォードは、それ自体広く使われているM113の多くのバージョンのうちの1つであるM548から構成された M730装軌車輌を開発した。そして、最初のチャパラル大隊は、1969年5月に配備された。

小型目標捕捉戦域レーダーAN/MPQ-49 FAAR(Forward Area Alerting Radar)は、チャパラル又はバルカン・システムを支援するために1966年に開発されたが、FAARはM561 ガマ・ゴート(6輪駆動の1.5 t非装甲装輪トラック)で輸送されたため、FEBA(Forward Edge of Battle Area、武力衝突の最前線)における使用に適さなかった。

解説

MIM-72Aミサイルは、AIM-9D サイドワインダーを元にしていた。主な違いは空気抵抗を減らすために、 MIM-72Aのフィンのうちの2枚だけがローレロン(rolleron:スリップ気流駆動フライホイール)を持つということである。他の2枚は非可動の薄いフィンと取り替えられた。MIM-72のMK 50固形燃料ロケット・モーターは、AIM-9D サイドワインダーで使われるMK 36 MOD 5と基本的に同様のものであった。MIM-72ミサイルは、M48発射装置(発射可能なミサイルを4基保持することができるM54ミサイル発射機を装備しているM730装軌車輌から成る)から発射される。M48は、さらに8基のミサイルを格納して運搬できる。

MIM-72Aは、FIM-43 レッドアイのような第1世代の赤外線シーカーを使っていたため、フレアと「ホット・ブリック」妨害装置(例えば、Mi-24に取り付けられたL166 IRCMユニット)によって欺瞞することができた。また、シーカーに航空機の排気熱を捉えさせる必要があり、ミサイルを航空機の背後から追尾させることしかできなかった。訓練用のMIM-72Bは、信管が異なることを除いてA型と同様であった。

MIM-72Cは、1974年から、新型のドップラー・レーダー信管と改善された弾頭ばかりでなく、ミサイルに全方位攻撃能力を与える改善された誘導部を持っている。信管と弾頭は、以前のモーラー計画のものを変更して作られた。C型は1976年から1981 年に配備され、1978年に作戦可能状態に達した。MIM-72Dは実験的にA型からシーカーを、C型から弾頭を使ったが、配備はされなかった。

このミサイルの海軍バージョンも、MIM-72Cに基づいて開発された。RIM-92C シーチャパラルである。これはアメリカ海軍には採用されなかったが、台湾に輸出された。なお、型式番号の92はFIM-92 スティンガーに割り当てられたものであるため、正式なものではない。

チャパラル・システムは、目視で目標を追跡し、大まかな方向にミサイル発射機を回転させ、ミサイルのシーカーが目標にロックオンするのを待って、手動で発射される。これはチャパラル・システムを昼間だけの交戦に制限し、その場合でさえ、シーカーがロックオンするのに十分に長い時間目標が見えていることを必要とする。それは、例えば遮蔽物の向こうから突然現れるヘリコプターとの交戦には適さないことを意味する。

1977 年に、フォードとテキサス・インスツルメンツは、FLIR(Forward Looking InfraRed、前方赤外線監視カメラ)を追加することでチャパラルに限定的な全天候能力を与える計画を始めた。1978年の試射では新型の無煙ロケット・モーターを使用し、それは発射後の被可視性を大幅に低下させ、引き続いてミサイルの発射を非常に容易にした。テストは成功したものとされ、FLIRによるアップグレードは1984年9月に行われた。新たに製造された型がMIM-72Fとして知られる一方、既存のミサイルも新型ロケット・モーターで改善され、MIM-72Eとなった。

最後のアップグレードは1980年に始まり、FIM-92 スティンガーのシーカーを元にMIM-72のために大幅に改良されたシーカーを作った。スティンガーのシーカーは、大部分の一般的な妨害を無視することができるのみならず、照準軸外の目標に対してかなり高い能力がある。改良の結果としてMIM-72Gと呼ばれるミサイルを供給するためにフォードに契約が与えられ、供給は1982年に始まっている。その後、すべての既存のミサイルは1980年代後期までに更新された。新たに製造されたG型は、1990年から1991 年に製造された。この時までに、チャパラル・システムはすでに正規の陸軍の任務からは外されていて、陸軍州兵(ANG)に譲渡されていた。MIM-72の2つの輸出専用バージョンも造られた。MIM-72Fの輸出型であるMIM-72Hと、MIM-72Gの誘導部及び制御部をダウングレードしたMIM-72Jである。

各型

* MIM-72A - 初期生産型
* MIM-72B - 訓練用ミサイル
* MIM-72C - 改善型チャパラル。改善されたAN/DAW-1誘導部、M817指向性ドップラー信管と M250爆風破片効果弾頭を特徴とする。これらの強化は、ミサイルに全方向攻撃能力を与えた。1976年~1981年に生産され、1978 年11月に運用が開始された。射程は、9,000 mにまで延伸されていた。
* RIM-92C - シーチャパラル。海軍バージョン。評価はされたものの、アメリカ海軍には採用されず、台湾に採用された。
* MIM-72D - 生産前にキャンセルされた実験ミサイル。
* MIM-72E - 新型のM121無煙ロケット・モーターで改造されたMIM-72C。
* MIM-72F - 改善されたM121無煙ロケット・モーターを持つ新造ミサイル。
* MIM-72G - FIM-92 スティンガーのシーカーを元にした新型のAN/DAW-2を取り付け、妨害に対する抵抗性を向上させた。1980年代後期に全てのチャパラルミサイルにこの改造が施された。新品のミサイルは1990年~1991年に生産された。
* MIM-72H - MIM-72Fの輸出型。
* MIM-72J - ダウングレードされたMIM-72Gの輸出型。
* M30 - イナート訓練ミサイル

仕様

MIM-72A

* 全長: 2.90 m (9 ft 6 in)
* 翼幅: 0.63 m (2 ft 1 in)
* 直径: 0.127 m (5 in)
* 発射重量: 86 kg (190 lb)
* 速度: M 1.5
* 射程: 500 - 6,000 m (1,600 - 20,000 ft)
* 目標高度: 15 - 3,000 m (50 - 10,000 ft)
* 誘導方式: パッシブ赤外線誘導(後方攻撃能力のみ)
* 機関: MK 50固形燃料ロケット・モーター
    o 推力: 12.2 kN
    o 燃焼時間: 4.7 s
* 弾頭: MK 48コンティニュアス・ロッド 11 kg (25 lb)

MIM-72G

* 全長: 2.90 m (9 ft 6 in)
* 翼幅: 0.63 m (2 ft 1 in)
* 直径: 0.127 m (5 in)
* 発射重量: 86 kg (190 lb)
* 速度: M 1.5
* 射程: 9,000 m (30,000 ft)
* 目標高度: 3,000 m (10,000 ft)
* 誘導方式: パッシブ赤外線誘導(全方向攻撃能力)
* 機関: ハーキュリーズ M121 無煙固形燃料ロケット・モーター
* 弾頭: M250 爆風破片効果弾頭 12.6 kg (27.8 lb)

M730 (M48)

* 乗員: 5
* 全長: 6.06 m
* 全幅: 2.69 m
* 全高: 2.68 m
* 重量: 11 t
* 最大装甲厚: 44 mm
* 兵装: MIM-72地対空ミサイル × 4
* 機関: 水冷6気筒ディーゼルエンジン
* 出力: 215 PS (160 kW)
* 緩衝装置: トーションバー
* 最大速度: 68 km/h
* 出力重量比: 22.27 PS/t
* 航続距離: 483 km

さらに詳しく → MIM-72(M48) チャパラル



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(2005/01)
神浦 元彰

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