川崎 OH-1 ニンジャ (Kawasaki OH-1 Ninja)

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2010/05/16(日)
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OH-1陸上自衛隊観測ヘリコプター(偵察機)。川崎重工業によって製造された純日本製双発ヘリコプターでもある。敵陣に忍び込み情報を得る任務から、『ニンジャ』の愛称がある。

開発経緯

空中より情報収集を行う観測ヘリコプターは、長らくヒューズのOH-6 カイユースであったが、更なる機能向上を目指して新型機導入が急がれた。防衛庁による選定の結果、川崎重工業が主契約会社となり、富士重工業と三菱重工業が協力すると言う形で計画がはじまった。総組み立てや主要部品を川崎、中部胴体を三菱(名航)、エンジンを三菱(名誘)、後部胴体その他を富士が担当している。

以前から川崎では実用ヘリコプターの国産化に意欲を示しており、すでに設計準備の段階を終えていた。また、三菱も先行して国産ターボシャフトエンジンTS1の開発を進めており、計画がはじまったのが1992年(平成4年)、設計開始は翌1993年(平成5年)だが、1996年(平成8年)8月6日に初飛行(数日前に三菱の純国産ヘリMH2000が初飛行)と言う異例の速さでの完成を果たした。4機の試作機XOH-1は川崎での社内飛行実験を経て、翌1997年(平成9年)から陸上自衛隊で正式採用され、OH-1となった。実用試験が行われた後、2000年(平成12年)に量産1号機を納入した。

以後、年間3~4機のペースで生産していたが、2004年(平成16年)発表の『新防衛大綱』以後は1~2機となっており、2008年(平成20年)度末までの納入機数は28機である[1]。1機当たり25億円と高額なことからも、 193機にのぼるOH-6D全てを代替できるかは不明であるが、OH-6Dに比べて大幅な能力向上、遠隔操縦観測システム(FFOS)が合わせて配備されていること、OH-6Dは教育用の機体もあることなどから、相当数の削減は可能とされる。三重県明野駐屯地の飛行実験隊では、現在も信頼性の向上および新装備採用のための飛行試験を継続している。また、初飛行から10年を経たが損失した機体は1機もない。

特徴

機体構造

観測ヘリコプター」は、日本領土に侵攻上陸した敵を低空から偵察し、地上攻撃部隊や戦闘ヘリコプター部隊に最新の情報を提供、戦術を支援する機体である。このため、敵に気づかれないよう極低空を高速で飛行する高性能性、敵に気づかれて攻撃された場合も、情報を完全に伝えるために高い生残性を求められた。

最前線での生存率を高める為、機体はAH-1Sにも類似した縦列複座(タンデム)式のコックピットを採用して胴体を細くした。レーダー反射面積を抑え、目視被発見を避けるとともに、前方から射撃された際の被命中率を下げる為、胴体幅は概ね1m以内に抑えている。搭乗員の生存率を上げるため、座席部分は装甲化され、防弾ガラスを採用した。また、油圧系や操縦系はすべて2重になっている。

メインローターは4枚ブレードであり、川崎式の無関節(ヒンジレス)ハブローターシステムを採用し、操縦応答性の向上を図った。ローターブレードは 12.7ミリのクラスの銃弾にも耐えられるガラス繊維複合材料を用いている。

テールローターは8枚ブレードで、低空飛行時に樹木などと接触する危険を減らすためにダクテッド方式(機内埋め込み式)を取り入れ、ブレードは騒音を抑えるために不等間隔に配列している。この方式は仏アエロスパシアル(現ユーロコプター)の特許(フェネストロン)であることがOH-X構想当初の懸案であったが、実機の製作段階で特許の期限(20年)が過ぎたため、無料で使用できることとなった。

観測に重要な空中静止装置は大変優れており、パイロットは空中で手を放していても自動でバランスを取ってホバリングしていられる。エンジンも強力で、無関節ローターハブのもたらす運動性と合わせて、機首を上に向けての垂直上昇、80度での急降下、宙返り、後ろ向き宙返りなどのアクロバット飛行も可能である。OH-1の開発チームは、独自のローターハブ構造が評価され、優秀なヘリコプター開発者に贈られるアメリカの権威的な「ハワード・ヒューズ賞」を、アメリカ以外のプロジェクトではじめて受賞した。

アビオニクス

観測機として最重要能力である偵察機構は、後部座席上部に設置された索敵サイトである。AH-1やAH-64が機体先端に設置されているのに対し、 OH-1はコックピット上部にあるため、敵から見えない木陰などに身を隠して偵察できる。サイトは赤外線センサー、可視光線カラーテレビ、レーザー距離測定装置が一体化したもので、敵上陸地点を昼夜問わずに監視できる。また、コックピットにも任務適合性の高いアビオニクス統合システムを採用した。

エンジン

搭載エンジンは三菱重工業が開発・製造したTS1-10ターボシャフトエンジンである。1段圧縮機と1段出力タービンで構成され、出力は884軸馬力(shp)である。OH-1ではTS1を2基搭載している。前述のように、垂直上昇、80度での急降下、宙返り、後ろ向き宙返りなどのアクロバット飛行が可能な力を持つが、馬力自体は大きくないので、重量増につながる重武装はできない。三菱と技本により、定期修理(オーバーホール)間隔を延長するフォローアップ研究が行われ、耐久性、燃料消費率が向上し、出力も990軸馬力(shp)になったTS1-10Aが開発されている。

防衛省技術研究本部では、2006年(平成18年)よりTS1の出力を増強する「ヘリコプター用エンジンの研究」を、三菱を主契約企業として行っている。TS1の燃費を向上させると共に、圧縮機と出力タービンを2段化することにより、1300馬力に増強できるとしている。完了は2011年(平成23年)を予定。

武装

固定武装はないが、胴体両側の安定翼下のハードポイントを介して、91式携帯地対空誘導弾(SAM-2)を転用した自衛用の短射程空対空ミサイルを、箱型の2連装ランチャーに搭載して4基(左右2基ずつ)装備することが可能で、ヘリコプターや軽航空機に発見された場合は、ミサイルで自衛攻撃できる。また翼下には増槽2基を標準装備する。

将来計画

ライフサイクルコスト低減のための改修

OH-1のライフサイクルコスト低減のため、2001年(平成13年)から2007年(平成19年)の間、「観測ヘリコプター(OH-1)のフォローアップ」という事業名で、耐エロージョン向上ブレードと運用コスト低減化エンジンについての研究が行われた。耐エロージョン性向上ブレードについては、平成19年度以降に納入されたOH-1に適用済。また、2008 年(平成20年)以降に補用分として調達を予定。運用コスト低減化エンジン(TS1-M-10A)については、2009年(平成21年)以降の新造エンジン契約及び2010年(平成22年)以降のオーバーホール契約時に改修したエンジンを逐次OH-1に搭載することが予定されている。

戦術能力向上

2005 年(平成17年)には、翌年導入のAH-64Dと連携をとることを目的とした「観測ヘリコプター用戦術支援システム」搭載のOH-1試作機(試験用32601号機を改修)が登場した(仮称"OH-1改")。このシステムは、AH-64Dが持つ僚機とのデータリンク能力を活用するもので、機上でのC4I(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報)能力の向上を図り、地上指揮所やAH-64Dとの情報共有と、陸上戦闘の戦術支援判断を可能となる。

システムは2002年(平成14年)より防衛庁(現防衛省)技術研究本部が開発しており、このOH-1改は、機上での情報分析・作戦計画の作成・状況の把握などができ、またヘルメットバイザーには各種情報を統合表示することで、偵察ポイント・飛行経路・敵味方の識別などが可能、山がちな日本の地形を考慮し、電波障害を受けないデータリンク能力も持ち合わせている。これにより、OH-6とAH-1Sの組み合わせでは実現できなかった、非常に高度な作戦が可能となっている。

調達変更と攻撃機化

防衛庁(現 防衛省)ではOH-1を250機程度調達することを予定していたが、予算削減などを受けた2004年(平成16年)度発表の『新防衛大綱』によって、戦車、戦闘機、護衛艦を大幅に削減する方針を示し、ヘリコプターも調達方針の転換を示唆している。

2004 年(平成16年)時点で、陸自ではOH-1を含めて6種類の戦術ヘリ(OH-6D、UH-1J、UH-60JA、AH-1S、CH-47J/JA)を運用し、翌年度からは高額なAH-64Dが新たに導入されることが決定していた。生産を終了したOH-6DとAH-1S以外の全て(5機種)の購入を続ける場合、削減された予算上、それぞれの機体が年間2~3機の導入しかできなくなった。そこで防衛庁としては、中期計画によって用途が似たヘリの運用を統一し、機種の削減を図ることにしている。

この機種削減を鑑みて、川崎は偵察・軽武装のOH-1を重武装できるよう改修することを、米ボーイング社と富士重工業はAH-64Dを攻撃・偵察両用に改修する案を提示していた(AH-64Dは元々偵察能力を持つ)。

OH-1の攻撃ヘリコプター(AH)化は、AH-1S後継機(AH-X)選定の際に構想が練られたものだが、AH-X導入までに時間が足りないことから、AH-64DとAH-1Z バイパーの競争によりAH-64Dの採用が決定、構想は具体化せずに終わった。しかし、AH-64Dは非常に高額であり、年間導入数に限りがあることから、安価な他機種との混合運用(ハイ・ロー・ミックス)の案も検討されており、かつ2009年(平成21年)度での調達停止が決定したことから、再度AH-Xが計画されることとなったため、国産化方針となれば攻撃型OH-1の実現もあり得る。

多用途化

攻撃機とは別に、陸上自衛隊によって多用途化の計画が進められている。英「フライト・インターナショナル」誌2006年(平成18年)4月11日号では、陸自は現用UH-1Jの将来後継機(UH-X)として、OH-1の改造を検討中であり、TS1-10のパワーアップの研究に取りかかった模様と掲載された。それによれば、陸自は新多用途機を120機ほど必要としており、2年以内(2008年(平成20年)まで)に機種を選定する。2007年(平成19年)3 月13日号でも同様の記事が掲載されている。

川崎の提案によると、現在のタンデム複座の機体を大型化してキャビンを設置することで、同規模の競合機に相当する機能を持たせる。三菱TS1-10 エンジンは現出力885軸馬力(shp)を1,300shpへ強化、ローターハブやトランスミッションの改良、ローターブレードの防錆処理の強化、アビオニクスも転換して操縦系統を改善する。また、装備品や補用品を共通化でき、操縦士と整備士のスキルアップの効率化が期待できるとしている。

防衛省技術研究本部(技本)では、2006年(平成18年)度よりTS1の軸出力の1,300shpへの増大などを目的とした「ヘリコプター用エンジンの研究」を開始しており、この成果はUH-Xに反映される。

候補はOH-1改造機のほか、ベル 412(UH-1をエンジン強化・4ローター化したもの)とアグスタウェストランドのAW139とされ、富士はOH-1多用途ヘリが採用されなかった場合に、ベル 412をライセンス生産するとしている。また、富士は独自に「UH-1J改」とした新型機の研究も行っている。機種の削減を図る中で欧州製AW139の採用は難しく、実質は富士と川崎の争いとなるが、OH-1はUH-1より高価である事が大きな課題である。

性能・主要諸元

* 乗員 - 2名
* 全長 - 12.0m
* 全高 - 3.8m
* 主回転翼直径 - 11.5m
* 自重 - 2,500kg
* 全備重量 - 3,500kg
* 発動機 - 三菱 TS1-M-10 ターボシャフトエンジン ×2
* 出力 - 884shp ×2
* 超過禁止速度 - 290km/h
* 航続距離 - 550km
* 機体内燃料積載量 - 953L

さらに詳しく → OH-1



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