インヴィンシブル級航空母艦 (Invincible class aircraft carrier)

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2010/05/13(木)
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インヴィンシブル級航空母艦 (Invincible class aircraft carrier) は、イギリス海軍の建造した、世界初の現代的な意味での軽空母イギリス海軍における分類は、CVS(支援空母)。

概要

第二次世界大戦で、ナチス・ドイツのUボートに苦しめられたイギリスは、戦後も対潜航空戦力を重視した。戦時中の空母の老朽化に伴い、1960年代アメリカ海軍のフォレスタル級、キティホーク級航空母艦並みの排水量54,000トンの空母(CVA-01級航空母艦)が計画されたが資金面から頓挫した。次に対潜能力さえ高ければいいと対潜指揮艦(タイガー級指揮巡洋艦の後継)として排水量12,500トン程度のヘリ空母が計画されたが、ヘリだけでは防空性能に不安があるとこれも頓挫した。

さらに70年代より空母不要論が議会で持ち上がったため当初は指揮巡洋艦(ヘリコプター搭載巡洋艦)として計画された。しかし、陸上STOVL機ホーカー・シドレー ハリアーの開発に成功し小型でも航空機の運用可能な目途が付き、1973 年6月、一番艦「インヴィンシブル」が起工された。1978年、ハリアーの艦載機化(シーハリアー)に成功。

1980年6月インヴィンシブル竣工。竣工当初は退役したコマンド母艦「ブルワーク」と「アルビオン」の代替も兼ねていた為、ヘリコプター揚陸艦「オーシャン」の就役までは、海兵隊1個大隊と装備をヘリコプターで揚陸する任務も与えられていた。一時期、「インヴィンシブル」をオーストラリアへ売却する予定だったが、1982年のフォークランド紛争では小型空母とシーハリアーの組合せが戦闘で有効であることが判明し、売却は中止された。

フォークランド紛争で本級の有効性を世界に印象づけたが、対空防御能力の不足や搭載機数が少ないことが問題となった。戦後の数度の近代化改装によって、7度のスキージャンプを12度(「イラストリアス」は13度)に変更し、対艦ミサイル防御用にCIWSを装備、艦首のシーダート艦対空ミサイルを撤去し飛行甲板と格納庫を拡大した。シーダートの弾庫があったスペースは、イギリス空軍所属のハリアーの整備スペースに改装されている。のちにCIWSをオランダ シグナール (Signaal) 社製ゴールキーパー7銃身30mmガトリング砲に換装した。

航空機はシーハリアー16機、ヘリコプターもシーキング6機を搭載可能。1989年から1991年までの近代化改装で、最終的にはシーハリアー 10機、AEW用シーキング3機、ASW用シーキング9機を搭載可能となった。2009年現在では、シーハリアーの退役に伴いハリアー GR.7/9、早期警戒型のシーキング ASaC.7、マーリン HC.1等を搭載している。

構造

機関

主機関は当時としては珍しくディーゼル式ではなく、単純構造で信頼性が高く保守を簡略化できることから、オリンパス TM3Bガスタービン4基をCOGAG方式で採用し、機関科員が半減できた。エンジン出力は94,000hp。4つのエンジンで2軸の固定ピッチプロペラを回す。ガスタービンエンジンの採用により逆転時のクラッチなどのギヤ操作が複雑となり減速機が重く大きなものとなった。前部機関室で右舷推進軸を、後部機関室で左舷側推進軸を駆動することで、機関室を離して配置して被弾・事故による影響を最小限にするよう配慮した。前部・後部のそれぞれの機関室から排気が別々に出されるために排気管がアイランドの半分近くも占めており、その排気管が艦内で大きな容積を占めている。

飛行甲板

飛行甲板上に長さ168m幅12.2mの発艦用滑走路が設けられ、「インヴィンシブル」の艤装開始後の設計変更で艦首にスキージャンプ勾配が作られ、シーハリアーのSTOL(短距離離陸)での発艦を助けることとなった。勾配角はもともと「インヴィンシブル」と「イラストリアス」は7度、「アーク・ロイヤル」が12度であったが、「インヴィンシブル」を12度に、「イラストリアス」を13度に改修した。

エレベーターと格納庫

艦載機用エレベーターは長さ15m幅9mのものが中央前部と中央後部に合わせて2つある。アメリカ海軍空母と違い構造が単純でY字型の大きなアームを油圧で動かすことでエレベーターを昇降させており、重量軽減に寄与している。舷側に配置していないため、実質的な格納庫の容積は少なくなっている。小型の船体では舷側にエレベーターを設置すると、荒れた外洋では格納庫まで波をかぶってしまう為に中心部に設置された。全機を格納庫に収容する事は出来ず、一部を飛行甲板に露天繋止している。

後の改装ではシーダート艦対空ミサイルを撤去し、空軍所属のハリアーを搭載・整備するスペースを追加している。就役当初はシーハリアー5機と各種ヘリコプター9機が定数となっていたが、ハリアー16機とヘリコプター6機の22機が定数(任務により定数内で変動)になっている。シーハリアーの退役によって空軍のハリアーが唯一の固定翼機となった。

その他

小型の空母なので艦の動揺軽減のために船底に固定式のフィン・スタビライザーを2組備えることで、艦載機の離着艦の安全をはかり、シーステート7という荒れた海でも33km/hで航走して70%の時間で動揺を5度以内に収める設計となっている。建造費と維持費を抑えるため、商船型の設計方法を取り入れた。舷側はダブル・ハルである。滞空時間の短い早期警戒型のシーキング ASaC.7がホバリングしたまま給油する事が出来る。

今後

1番艦のインヴィンシブルは2005年7月に退役、モスボール化され2010年まで有事には現役復帰することになっている。インヴィンシブル級の後継としてクイーン・エリザベス級が計画されていて、それらの就役により、「イラストリアス」はクイーン・エリザベス級1番艦「クイーン・エリザベス」が配備される年である2014年、「アーク・ロイヤル」はクイーン・エリザベス級2番艦の「プリンス・オブ・ウェールズ」が配備される年である2016年に退役する予定。

同型艦

* R05 インヴィンシブル(予備役)
* R06 イラストリアス
* R07 アーク・ロイヤル
* L12 オーシャン(本級をベースとしたヘリコプター揚陸艦)

性能諸元

排水量 基準:16,000 t
     満載:20,500 t
全長 210 m
全幅 36 m
吃水 8 m
機関 COGAG方式,2軸推進
    オリンパス TM3Bガスタービンエンジン(97,000hps) 4基
最大速力 28 ノット
乗員 1,110名(航空要員384名)
兵装 ファランクスCIWS
    ※後にゴールキーパーに換装 3基
    20mm機銃 2基
レーダー タイプ922捜索レーダー 1基
      タイプ1006航法レーダー 2基
      タイプ1022長射程対空レーダー 1基
      タイプ909火器管制レーダー 2基
ソナー バウソナー
搭載機 シーハリアー、ハリアー GR.7/9、HAS.シーキング、マーリン HC.1

さらに詳しく → インヴィンシブル級航空母艦



世界の空母―海の王者、航空母艦のすべて (ミリタリー選書)世界の空母―海の王者、航空母艦のすべて (ミリタリー選書)
(2005/12)
柿谷 哲也

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