45型駆逐艦 D32 デアリング (Type 45 Destroyer HMS Daring D32)

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2010/04/15(木)
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45型駆逐艦(45がたくちくかん、英: Type 45 Destroyer)は、イギリス海軍のミサイル駆逐艦デアリング駆逐艦(英: Daring class destroyer)、D 級防空駆逐艦(英: D class Air defence destroyer)とも。

来歴

1980年代後半、NATO加盟8カ国の海軍は、 NFR-90(NATO Frigate Replacement for 1990s)構想を開始した。これは、各国海軍が保有する1960年代型水上戦闘艦の老朽化が進んでいたことから、これらの代替艦として、NATOで共通のフリゲートを設計・採用し、50隻以上におよぶ大量建造を行なうことによって、相互運用性を向上させ、またコストを削減しようというものであった。イギリス海軍も、42型駆逐艦の更新を狙ってこの計画に加わっており、10隻程度の建造を予定していた。しかし、NFR-90計画は事前調整から難航しており、また、他国との運用要求の差異から、イギリス海軍はNFR-90計画艦では42型駆逐艦の代替には不適であると判断、 1989年に計画より脱退した。その後もNFR-90計画は多くの困難に直面し、90年代初頭には空中分解している。

1989年にNFR-90計画から脱退した後、イギリスは独自に次期防空艦の開発を進めていた。NFR-90計画の崩壊後、フランスもやはりシュフラン級駆逐艦の後継となる防空艦を模索していたことから、90年には、英仏将来フリゲート(A3F: Anglo-French Future Frigate)計画が開始された。A3F計画は数度の危機に曝されたものの、92年にはイタリアも加わったホライズン計画として具体的な作業が開始された。ホライズン計画では、独自の艦対空ミサイルを採用した対空武器システムとしてのPAAMSを共同開発し、これを共通設計の船体に搭載することとしていたが、細部の武装については各国が独自のものを搭載する計画であった。しかし、艦隊防空と個艦防空のバランスについてフランス・イタリアとイギリスの意見が対立し、また航続距離の要求の差異から船体設計でも意見統一に失敗したことなどによって計画は遅延し、ホライズン計画艦が42型駆逐艦の更新に間に合わなくなる危険が生じたことから、1999年、イギリスはホライズン計画より脱退した。

その一方、PAAMSの開発には続けて参加しており、イギリスは、PAAMSを中核とした独自の防空艦の開発を決定した。これによって開発されたのが本型である。当初は12隻が計画され、初期型として6隻の建造が決定されていたが、2004年、計画は8隻に縮小され、建造費の高騰と予算削減により、 2008年にはさらに6隻に削減された。

設計と装備

船体と機関

本型の最大の特徴は、推進機関として統合電気推進(IEP: Integrated Electric Propulsion)方式を採用したことにある。これは、ガスタービンエンジンを発電機として電動機を駆動するものであり、静粛性と良好な加速性を両立することに成功したほか、システム艦の膨大な電力所要にも応え得るものとなっている。また、ここで使用されるガスタービンエンジンはノースロップ・グラマン/ロールス・ロイス WR-21であるが、これは、中間冷却器や廃熱再生器(ICR)を備えた最初の航空転用型ガスタービンであり、これによって海外領土警備に必要な長大な航続距離を実現している。

また、第二次世界大戦後に起工されたイギリス海軍戦闘艦としては、インヴィンシブル級航空母艦を除き最大でもある。この大きさは、艦の武器システムの中核的センサーであるサンプスン多機能レーダーの装備高を基準として決定されたが、これを補うため、ステルス性への配慮が全面的に導入された。なお、本型は、艦艇設計に関する新しいガイドラインであるロイド艦船規則の初適用例でもあるが、これは、建造を複数の造船所で分担することをより容易とした。本型は、分割されたモジュールとしてBAEシステムズとVT グループにより建造され、BAEシステムズによって組み立てられている。

なお、本型は多様な作戦環境に対応する必要があり、長期の海外展開も考慮していることから、乗員の居住性への配慮がなされている。士官は訓練中の候補生以外は全員が個室、下士官も個室または2人部屋が与えられており、iPodドック付き駆逐艦として話題になったこともある。定員は190人であるが235人までの増員を見込んで設計され、また海兵隊員60人の乗艦を考慮しており、海兵隊員の練度維持のためにフィットネス・ルームも設置されている。

武器システム

本型の戦闘システムの中核となるのが、イギリス版PAAMS、通称シー・バイパー(Sea Viper)である。これは艦隊防空を主眼とした統合武器システムであり、優れた即応性、同時交戦能力と耐妨害性を備えている。またPAAMS以外にも、近接防空武器システムや艦砲、また対潜戦闘システムが搭載されており、これらは戦術情報処理装置を中核として連接され、システム艦として一個の統合システムとして構築されている。

C4ISRシステム

本型の備える戦術情報処理装置は、42型駆逐艦のADAWS、また23型フリゲートのSSCSをもとにして、PAAMSとの連接に対応して新規に開発されたものであり、CMS (Combat Management System)と称されている。なお、CMSは高度に商用オフザシェルフ化されており、オペレーティングシステムとしてMicrosoft Windows 2000を採用している。

主たるセンサー・システムとしては、S1850M長距離捜索レーダーとUMS 4110 CLソナーが装備されている。S1850MはLバンドを使用する広域捜索3次元レーダーで、PAAMSのサブシステムであるサンプソン多機能レーダーが近距離での目標精密追尾・ミサイル射撃指揮に専念できるよう、遠距離での早期警戒を担当する。また、UMS 4110 CLソナーはホライズン計画艦の共通装備で、機雷や戦闘泳者の探知も可能なものである。ただし、本型は防空艦であるので、対潜艦である23型フリゲートのように、長距離探知に対応した曳航ソナーは装備しない。

防空システム

PAAMS武器システムは、防空艦としての本型の最重要の装備であり、またその戦闘システムの中核的なサブシステムである。本型の備えるPAAMS はイギリス海軍独自の運用要求を導入したもので、PAAMS(S)の形式名で種別されており、イギリス海軍ではシー・バイパー(Sea Viper)と通称されている。

PAAMS(S)の要諦は、高耐妨害性を有する多機能レーダーを中核的センサーとして、高度にシステム統合された防空武器システムである。

PAAMS(S)の中核的センサーとなるのは、イギリスが独自に開発したサンプソン多機能レーダーである。これは250 kmの最大探知距離を有して500~1000の目標を同時に追尾でき、12の目標と同時に交戦可能であるほか、特に敵の電子攻撃に対する耐性が優れていることが特長である。

また、PAAMSの火力として用いられるのがアスター艦対空ミサイルである。これはPAAMS用として開発されたもので、中途航程では慣性誘導、終末航程ではアクティブ・レーダー・ホーミングを採用しており、長射程型のアスター30と中射程用のアスター15がある。これらは、48セルのシルヴァーA50 VLSに収容されて搭載される。また対地攻撃用に巡航ミサイルの搭載が考慮されており、VLSに充当するスペースが確保されているが、計画は構想段階である。

さらに詳しく → 45型駆逐艦



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