軍用機の歴史 - 発明から現代まで

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2010/03/23(火)
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戦闘機(せんとうき)とは、敵航空機への攻撃を主任務とする軍用機である。ただし、一般には攻撃機や爆撃機も含めた軍用機全般を戦闘機と呼称する場合もある。

概要

戦闘機は敵航空機との空戦を想定して、高い機動性能と対空攻撃力を保有する。一般的に攻撃機や爆撃機と比較すると小型軽量であり、機体の大きさの割に強力なエンジンを搭載する。運動性・操縦性などの機動性能に優れ、俊敏軽快に飛行できる。乗員数は、大半の機は1-2名程度である。 以下に、戦闘機の性能を計る際、注目すべき点を挙げる。

速力
敵機の追撃や、戦闘空域への迅速な往復など、あらゆる場面で高速力が要求される。戦闘機の重要な性能の一つである。ただしいわゆる"最高速度"が重視されたのは1950年代にマッハ2以上に到達するまでであり、これ以降はそれ以上の速度は必要無いとして重視されない。

加速力
必要な速度に短時間で到達できる能力。上記の速力と異なり、現在に至るも重視される能力のひとつである。

上昇力
高高度へ迅速に到達できる能力。味方基地から緊急発進して、敵機を迎撃する際などに重要となる。

高高度能力
より高高度まで上昇できる能力、および高高度で飛行を維持できる能力。敵機が高高度を飛行している時には、その敵機と同じ高度まで到達する能力が必要である。レシプロ機時代には高高度を飛行するには高い技術を要求されたため、特に重視された。戦闘機にミサイルを搭載している場合には、搭載ミサイルがその高度まで到達できればよいため、現在ではあまり重視されない。なお戦闘機搭載ミサイルは、人工衛星軌道まで到達できるものも存在する。

航続力
遠距離にある敵地への侵攻時や、哨戒任務などで長時間滞空する場合に重要となる。航続力を延伸するには、投下式或いは密着式の増槽(機体外部に取り付ける増設燃料タンク)や、空中給油などの方法がある。

運動性・安定性・操縦性
空戦時に優位に立つためには、高い運動性・操縦性が重要である。一時期、ミサイルが万能視され軽視された事もあるが、ミサイルの回避などで重要な事が判明し、現在の戦闘機では再び重視されている。なお、航空機全般においては安定性も重要な要素であるが、安定性と運動性は相反する性格のものであり、安定性を最優先すると運動性が悪化する事になる。戦闘機の場合はその性格上、他の航空機に比べてバランスより運動性重視に取る傾向がある。近年ではCCV技術の採用により、機体そのものの安定性は切り捨てて運動性を最優先する(低下した安定性はコンピューター制御で補う)傾向にある。

推力重量比
エンジン推力を機体重量で割った値。大きい程、加速性能・運動性能・上昇性能などが高くなり、戦闘時に有利である(ジェット機)。

パワーウェイトレシオ
機体重量をエンジン出力(仕事率)で割った値(プロペラ機)。上記と逆に計算しているため、小さいほど加速性能・運動性能・上昇性能が高くなる。

翼面荷重
機体重量を翼の面積で割った値。離着陸性能や上記の運動性にかかわる値である。

翼幅荷重
機体重量を主翼の幅で割った値。主に亜音速での航続性能にかかわる。

火力
機関砲・搭載ミサイルなどの性能や、照準装置・火器管制装置など射撃系統の性能でも左右される。

探知能力
操縦席の視界や、レーダーなどの探知装置の性能で決定される。

隠密性
被発見率の減少のため、機体の小型化や、迷彩塗装、ステルス性能が重要となる。

少ない乗員
機体の小型化のためには、乗員数は少ないほうが望ましく、多くが単座である。だがレーダーや対地攻撃用兵装の取り扱いなどの担当要員として、もう 1人乗る場合もある。

防弾能力
敵機や対空砲の銃弾・砲弾が命中した場合に、それに耐えられる能力。戦闘機の構造が全金属製になった頃から重視されるようになったが、重量増加を招くため現在ではあまり重視されない。

生存性(サバイバビリティー)
被弾や故障の場合、被害を極限して飛行を継続する能力。エンジンの多発化、電源系統の2元化、ディスプレイの統合/複合表示などがある。

離着陸能力
より短距離で離着陸できるほうが、規模の小さい飛行場(短い滑走路)でも戦闘機を運用でき、戦闘機の運用条件が広くなる。特に艦上戦闘機には必須の能力である。また安全に離着陸できれば、操縦者の負担も小さくなる。単に滑走路の距離が短いだけでなく、整備状況の悪い滑走路や、自動車用道路でも離着陸できる能力が要求される場合もある。

拡張性
年々進化する電子機器や武装のバージョンアップに対応して、各種機器の大型化や電力の分配への余裕を指す能力。乾燥した冷却空気の流路確保も必要である。

種類

制空戦闘機

制空権(航空優勢)の確保を主任務とし、空戦において敵戦闘機を撃墜する事を第一に設計される 。古くは「征空戦闘機」とも呼称された。現在の制空戦闘機の多くは、制空のみならず、要撃や対地攻撃なども一通り遂行可能である。代表的なものは、F-15、Su-27など。米空軍のF-22は、空中のみならず陸上も制圧可能な存在という意味で、航空支配戦闘機 (Air dominance fighter) と呼ばれている。

要撃戦闘機

邀撃戦闘機、迎撃戦闘機、局地戦闘機、防空戦闘機などとも呼ばれる。友軍地上施設などの防空を主任務とし、味方の基地・艦隊へ来襲する敵攻撃機、都市等へ戦略爆撃を行う敵爆撃機、及び偵察機などを撃墜する事を第一に設計される。第二次大戦期の物は、戦闘機に比べ大型で耐久力のある爆撃機を攻撃する為に強力な武装(機銃・ロケットなど)を搭載していた。

敵機の存在の探知と同時に、直ちに基地から急発進する必要があるため、高い速力・上昇力が求められる。このため、機体の大きさに比べて強力なエンジンを搭載する。反面、敵戦闘機との交戦や長距離侵攻、対地攻撃などは必要性が低く、対地攻撃任務を想定していない機体も多い。レシプロ機時代では、戦略爆撃機の飛行高度で行動するために、高高度性能も重視された(空気の薄い高空ではレシプロエンジンの能力が低下するため、過給機などの装備が必要になった)。代表的なものは、F-106、MiG-25、MiG-31、トーネード ADVなど。

護衛戦闘機

爆撃機の護衛などを主任務とする。ただし、味方爆撃機の安全のために制空権を確保するという意味では、前述の制空戦闘機と任務的・分類的には重なるものであり、それに含める場合が多い。言葉の用法としても、戦闘機の種類名というより、戦闘機をその目的に用いる任務名と解釈したほうがよいケースが多い。現在は戦闘機の任務の多用途化により、戦闘機を含め軍用機全般の区別が曖昧になり、護衛戦闘機という分類は特にされなくなった。

戦略爆撃機の登場により、長距離侵攻型爆撃作戦が登場すると、長距離を飛行して戦略爆撃機を護衛可能な能力を持つ戦闘機が必要になった。しかし、航続力延伸のため燃料搭載量を増加させるには、機体の大型化が不可避となる。初期に登場した護衛戦闘機には、P-38ライトニング、メッサーシュミットBf110、月光などが挙げられるが、これらはいずれも大型の双発機であった。しかし実際に運用してみると、鈍重で格闘性に欠ける大型双発護衛戦闘機は敵の単発迎撃戦闘機に対抗不可能であり、これらの機体は大半が夜間戦闘機や戦闘爆撃機に改造された。

双発護衛戦闘機の失敗により、以降は単発で大航続力を有する護衛戦闘機が開発された。零式艦上戦闘機やP-51ムスタングなどは、単発機でありながら長大な航続力を有しており、有力な護衛戦闘機として活躍した。護衛戦闘機の一種に、味方爆撃機に搭載・曳航されて敵領空まで飛行する事で航続能力の向上を計った、パラサイト・ファイター(寄生戦闘機)と呼ばれるものも存在した。代表的なものに、XF-85がある。実用化されたものとしてはズヴェノーがあるが、これは爆撃機として用いられた。

戦闘攻撃機/戦闘爆撃機

戦闘機本来の役割である制空任務の他に、対地・対艦攻撃なども主任務とする。レシプロ機時代は専用に開発された機体は無く、通常の戦闘機にそのまま、或いは小改良を施して爆装し、対地・対艦任務を行った。

ジェット機時代になり、対地・対艦攻撃の能力を重視し、当初よりその目的で開発された戦闘爆撃機が増えてきた。そういった戦闘爆撃機は、爆弾倉、地形マッピング用の合成開口レーダー、爆撃用火器管制装置などの本格的な攻撃機・爆撃機としての装備を搭載する。対地攻撃の際は乗員が一人だけでは負担が大きいので、操縦手の他に兵装操作官も搭乗させて、複座にしている場合もある。そういった機体は、純粋な戦闘機としての能力を妥協したケースもあった。代表例はF-105やSu-24など。ただし現在の戦闘爆撃機は、戦闘機・爆撃機としての能力を高い次元で両立させており、そういった機体は後述するマルチロール機にカテゴライズされる場合が多い。

マルチロールファイター

時代が経つにつれて戦闘機の開発・製造コストが上昇していったため、任務に応じて個別の機体を開発するのは経済的負担が厳しくなっていた。しかし同時に、技術の進化に伴い、一機種で多数の任務をこなせる万能機の開発が可能になった。そのため、上記のような区分を統合し、一機種で制空・防空・対地攻撃・偵察などあらゆる任務を遂行可能な万能機、Multirole fighter,MRF(汎任務戦闘機) が誕生した。

もっとも、現代の戦闘機の大半は、搭載兵装の交換により複数の任務に対応できるので、MRFに分類されない戦闘機であっても、ある程度の汎任務遂行能力を有している。だが、特に開発段階から明確にMRFとしての運用を前提に設計された機体は、JAS39 グリペン、F-35などである。F-15E ストライクイーグルなどもMRFとして扱われる場合もあるが、こちらは本来は制空戦闘機として設計された機体(の改造型)であり、純粋なMRFとは言いがたい。

戦術戦闘機

主に前線での制空任務、敵基地・艦船などへの攻撃・爆撃任務を行う戦闘機。旧ソ連においては前線戦闘機と称した。いわゆる敵国都市や工場への爆撃といった「戦略任務」には用いられない戦闘機という事である。戦略爆撃に用いるには航続距離や搭載量が不足する戦闘爆撃機、戦略爆撃を行う爆撃機に随伴したり、敵国上空の制空権確保には航続距離が不足している制空戦闘機が、戦術戦闘機と称される(逆に戦略任務に用いる戦闘機であっても、戦術任務に用いる事は不可能ではないので、特に「戦略戦闘機」とは呼ばないのが普通である)。代表的なものは、F-104、MiG-21など。

昼間戦闘機

文字通り昼間のみ戦闘する戦闘機。戦闘機というものが登場して以来、空中戦闘は昼間のみで行われていたのであり、つまり全ての戦闘機が昼間戦闘機であった。後に夜間戦闘機が登場するに至って、従来の戦闘機を区別して昼間戦闘機と呼ぶようになった。戦闘機にレーダー搭載が当たり前になると、あえてレーダーを搭載しない廉価な戦闘機を昼間戦闘機と呼ぶ事になるが、現代では廉価な戦闘機でもレーダーを搭載しており、昼間戦闘機は消滅した。つまり旧式戦闘機のみが昼間戦闘機となる。また、レーダーは搭載してもレーダー誘導のミサイル装備能力が無く、赤外線誘導ミサイルのみしか搭載できない戦闘機は、ミサイル戦闘に限っては昼間戦闘しか行えないため、これも昼間戦闘機と呼ばれたが、現代では赤外線誘導ミサイルの能力も向上しており、この意味での昼間戦闘機も消滅している。

夜間戦闘機

夜間戦闘を行う戦闘機の事である。従来昼間のみ行動した爆撃機が夜間爆撃を行うようになった時に、対抗上生まれた。よって当初は夜間の要撃機が夜間戦闘機であったが、対抗上夜間爆撃を行う爆撃機を護衛する戦闘機も登場する事となった。出現当初は操縦士以外に射手など1~2名の搭乗員を載せる事で夜間戦闘を行ったが、やがてレーダーを搭載する事で夜間戦闘を行うようになった。理論上は夜間戦闘を行える戦闘機なら昼間戦闘も行えるはずであるが、レーダーや操縦士以外の搭乗員を載せる夜間戦闘機は昼間戦闘機に比べて鈍重であり、昼間戦闘機を相手に戦闘を行う事は困難であるため事実上夜間戦闘専門となる(というより鈍重で使い物にならなかった双発・多座戦闘機が、夜間戦闘には向いているとしてその目的で使われるようになったのが、夜間戦闘機の発祥である)。後述する全天候戦闘機へと発展する事によって消滅した。

全天候戦闘機

第二次大戦終結後、急速にレーダーが普及した。ドップラー・レーダーの開発などレーダーの性能も向上するにつれ、夜間戦闘機はドップラー・気象レーダーを主体としたシステムを搭載することで夜間のみならず雨天・雲中・荒天下においても戦闘が可能になった。また昼間戦闘機との比較において特に鈍重でも無くなり、昼間戦闘も問題無くこなせるようになった。このような戦闘機を、全天候戦闘機と呼ぶ。視覚外で目標捕捉および目標の追跡などは搭乗する人間ではなく、システムの性能に依存するようになったため、戦闘機にとってエレクトロニクスがより重要な技術になった。これは同時に高性能なエレクトロニクスの搭載が機体価格の高騰の一因にもなっている。しかし、各国空軍の第一線で活躍する戦闘機のほぼ全てがレーダーを装備し、全天候戦闘能力を持つにいたった現在では、あえて「全天候」ということを強調する必要も意味もないため、「全天候戦闘機」は、過去の戦闘機を語る歴史上の用語となりつつある。

艦上戦闘機

空母に搭載する戦闘機が艦上戦闘機である。 狭い空母からの離着艦という制約があるため、艦上戦闘機に要求される性能は、極めて多岐にわたる。まず短距離離着陸能力は必須である(ただしカタパルトやスキージャンプ甲板の助けを借りても構わない)。そのほか着艦時の低速飛行における安定性、離着艦時の衝撃に耐える頑丈な構造、空母に搭載する上でのサイズと重量の制限などである。そのため、陸上戦闘機に比べてかなりのハンディ・キャップを持つ。それがために同時代の陸上戦闘機と同等以上の性能を持つ事は、極めて困難である。ただしそのハンディを乗り越えて高い性能を持つに至った艦上戦闘機は、陸上戦闘機としても広く使われる事になった。

陸上戦闘機

陸上基地で運用する戦闘機が陸上戦闘機である。大抵の戦闘機はこれに当たるが、前述の艦上戦闘機と水上戦闘機に対して、あえて区別する際に用いる言葉である。

水上戦闘機

水上を離着陸する戦闘機の事。水上機の戦闘機版である。厳密には陸上機と同等の機体をフロートによってその重量を支持するフロート水上機と艇体(機体)そのもので重量を支持する飛行艇(戦闘飛行艇)に分かれる。第一次世界大戦時は高揚力装置が未発達だったため、滑走距離に制限がある陸上機と比較して滑走距離に制限のない水上機のメリットがあり、戦闘飛行艇が活躍した。しかし技術の発達によりむしろ水上を離着陸するためのフロートの重量と空気抵抗による性能劣化が著しく目立つようになり衰退した。第二次世界大戦時においては日本海軍の二式水上戦闘機が、実戦で本格的に使用された数少ない例である。ジェット戦闘機としては、アメリカ海軍のXF2Y-1、イギリスのサンダース・ロー SR.A/1が試作されたが実用化はされなかった。

構造

素材

一般的な飛行機と同様に、黎明期の木製布張り構造から、1930年代頃から金属製モノコック構造に進化していった。過渡期には木製モノコックや鋼管布張り、あるいはそれら材料の混合も見られた。たとえば、ジェット戦闘機のデ・ハビランド バンパイアでは木製合板を一部使用している。しかしながら、1950年代には全てが全金属製構造になった(例外としてF-117はレーダー探知を避けるための素材として、一部木を採用)。

金属材料としては、軽量で強度に優れるアルミニウム合金(ジュラルミン系など)が多用された。ただし耐熱性に劣るのが欠点であり、そのため超音速戦闘機では空力加熱対策として、一部あるいは全体にスチールを採用した例も存在する。ただし1950年代頃から同じく耐熱性に優れたチタニウム合金(チタンの合金)が実用化された。スチールより軽量だが同時に高価で工作が難しく、高速飛行時の空力加熱によって特に高温になる機体部位などに使用されていた。

1970年代頃からは繊維強化プラスチック (FRP) に代表される複合材料に代替されつつある。FRPは軽量で強度が大きくステルス性などに優れ、たとえば空力弾性特性に方向性を持たせた前進翼のような、金属材料では不可能な特殊な構造を作り出すこともできる。

エンジン

レシプロエンジン
レシプロエンジンの時代では、特に戦闘機専用とされた特殊な構造のエンジンは無かった。敢えて言えば小型軽量で大きさの割に大出力のものが戦闘機向けであった。だが大出力化につれ、必然的に大型化も避けられない傾向にあった。
この時代は武装・航続力を重視する要撃戦闘機や護衛戦闘機は、止むを得ず双発となる事が多かったが、必然的により小型軽量な単発機よりも鈍重化は避けられず、格闘戦突入時などでは圧倒的に不利であった。

ジェットエンジン
出現当初は軸流圧縮式と遠心圧縮式のターボジェットエンジンが存在したが、軸流式が主流になっていく。ジェットエンジンはレシプロエンジンよりスロットルの反応が悪く、戦闘機用エンジンとしては大きな欠点となった。そのため、それを補うためにアフターバーナーを付加するのが、戦闘機用エンジンとしては必須となった。初期のジェットエンジンは低速特性が悪く、そのためにターボプロップエンジンが試作されているが、戦闘機用エンジンとして実用化された例は第二次世界大戦後のジェットエンジン黎明期に開発されたイギリスの艦上戦闘機ウェストランド ワイバーンや、一部の試作機(アメリカのXP-81 等)を除き、ほとんど無い。

やがてターボファンエンジンが実用化され、亜音速旅客機や爆撃機などで採用されていくが、超音速戦闘機用のものの実用化は更に後の事となる。現代ではターボファンが主流だが、旅客機など亜音速機のターボファンエンジンは、殆どの推力をファンで稼ぐプロペラ機に近い物なのに対し、超音速性能が必要とされる戦闘機用エンジンは、バイパス比が低くターボジェットエンジンに近い。

だが、ターボジェットに比べより低速向きの特性のジェットエンジンであり、音速突破にはアフターバーナーの使用が必須になった。ただし最近の戦闘機用エンジンは、超音速巡航を可能にするためにさらにバイパス比が下げられ、また、機動性の向上を狙って推力可変ノズルを装備するものが現れている。

レシプロエンジン時代と異なり、運動性が重視される制空戦闘機などにも双発機が多く見られる。ジェットエンジンは、小型の方が出力効率が良く、逆に小型エンジン複数の方が大型エンジン単発よりも小型にまとまる為である(F-5戦闘機等はそうした成功例である)。また安全性に優れるのは多発機の方である(当然だが、一部のエンジンが破損しても他のエンジンで飛行が継続できる方が安全性が高い)。だが、エンジンは機体の部品の中でも高額な部位であり、及び小型エンジン多数使用より大型エンジン少数使用の方が燃費効率も良いので、コスト面や整備性では単発機が有利である。

戦闘機でも大型機と小型機が存在する場合は、小型機を単発に、大型機を双発にしてエンジンの種類を統一すれば、量産効果でコストも下げられる(ちなみに前述F-5戦闘機の場合は、ミサイルや無人標的機と同じエンジンを使い、コストを下げている)。洋上での作戦が多いアメリカ海軍や航空自衛隊などの機体は、安全のため双発機が好まれる傾向にある。

ロケットエンジン
第二次大戦末期や戦後にはMe163などのロケットエンジンを搭載した戦闘機も存在した。強力な推力が得やすいため強力な加速が得やすい、他のエンジンのように外気を取り込まないために空気抵抗の要因となるエアインテークを機体に設ける必要がな無い上、空気が薄い・存在しない所(宇宙空間など)でも運用可能(理論上)という利点があるが、安全性や航続距離が極端に短いなどの欠点があるため実用機とは言い難く、現在では廃れている。
またロケットはエンジン出力が弱かった時代のジェット戦闘機の加速用に使用される場合もあった。また、戦闘機の武装の一つであるミサイルの推進機関はロケットエンジンが主流である。

主翼

戦闘機の主翼の形状は、直線翼・後退翼・デルタ翼・クリップトデルタ翼・可変翼・前進翼・菱形翼などがある。

直線翼
レシプロ機時代は、戦闘機を含めて航空機全般の大半は直線翼であった。直線翼は揚抗比が高く機動性の確保には有利であるが、空気抵抗が大きく、また遷音速域では音の壁にぶつかるなど超音速飛行には向かない形状である。初期のジェット戦闘機にはレシプロ機時代からの継続として当然のように採用されているが、次第に後述する後退翼やデルタ翼など、超音速飛行向きの主翼形状に取って代わられる事になる。ただしF-104のように翼の幅を縮め、厚さを非常に薄くする事によって、超音速向きの特性にした直線翼も存在する。

後退翼
レシプロ機時代は重心をより後方に持っていくための手法であった。最初の実用ジェット戦闘機であるMe262もその目的で後退翼を採用したのであるが、音速付近での翼の衝撃波の発生を遅らせる事が出来る利点が発見され、その後の亜音速・超音速戦闘機に広く採用された。直線翼よりも安定性に優れるのが長所であるが、運動性を重視する戦闘機ではかえって弱点ともなるため、主翼に下反角をつけて安定性を下げる設計が行われる場合も多い。F-86やMiG-15など、初期の亜音速ジェット戦闘機の多くがこの形式である。

デルタ翼(三角翼)
主翼の前後幅が大きいので主翼自体で安定を保つ設計に適しており、無尾翼形式と併用される事が多い。その場合空気抵抗がその分小さくなり、後退翼よりもさらに高速飛行に適するが、低速域では揚抗比が悪く、機動性の面では不利。また、離陸時の滑走距離が長くなり、着陸時には揚力確保のため大迎え角を取らなくてはならない(そのため、視界が悪くなる)などの欠点がある。初期では尾翼つき形式にする事、最近ではカナード翼を装備する事でこれらの欠点の改善を図っている(これをクロースカップルドデルタ(複合デルタ)或いはコウ・デルタと呼ぶ。ダブルデルタではない)が、当然ながら空気抵抗に関するメリットは失われる。ただし同じ幅・後退角度の後退翼に比べれは、同等の空気抵抗でより翼面積を大きくできる。また構造上翼をより頑丈にでき、同等の強度であれば翼をより軽量化できるという利点はある。無尾翼形式としてはF-102やミラージュ IIIなど、尾翼つき形式としてはMiG-21など、カナードつきはグリペン、タイフーン、ラファールなどに見られる。

ダブルデルタ翼(二重三角翼)
デルタ翼の欠点であった離着陸時の性能などの改善を図るため、翼の後退角に差を付けたもの。戦闘機としてはサーブ 35 ドラケンが唯一の採用例であるが、決して廃れた訳ではなく、後述するLEX (Leading edge extension) へと発展したと解釈される(ダブルデルタ翼の場合はデルタ翼の一種であるが、LEXは直線翼や後退翼とも組み合わせもでき、より範囲が広い用語と解釈できる)。

クリップトデルタ翼(切り落とし三角翼)
デルタ翼の翼端を切り落とした形状。後退角を浅くしながら翼面積を大きくとれるので、低速域での揚抗比が高く、亜音速域での機動性が高い。その代わり普通のデルタ翼ほど前後幅が取れないので無尾翼形式は無く、ほぼ尾翼つき形式が採用されている(ただし戦闘機でなく爆撃機であれば、アブロ バルカンという無尾翼クリップドデルタ翼採用の例がある)。F-15やF-16など。

可変翼
低空での機動に有利な直線翼から、超音速飛行に有利な後退翼まで、翼の角度を自由に変える事が出来る。反面、システムが高価かつ複雑になる。MiG-23やトーネード、F-14等がこの形式。

前進翼
後退翼と同じく、衝撃波の発生時差を付ける事が出来るが、後退翼と違って翼端失速になりにくい。反面翼がねじれやすく、また後退翼とは逆の効果により安定性も悪くなる。しかし、前者は軽くて強度のある新素材の開発により、後者は機体制御コンピュータの発達などによって解決されてきている。また、安定性が悪いという事は急激な機体機動が可能という事を意味するので、機動性を重視する戦闘機にとっては利点とも言える(この観点から生まれたのが運動能力向上機である)。ただし、ステルス性に難があるという新たな問題が生じたため、この形式の戦闘機は実戦配備されていない。X-29やSu-47などがこの形式。

菱形翼
翼の前縁に後退角が、後縁に前進角がついているもの。空力特性よりも、ステルス性を優先した結果生まれた、新しい形式である。F-22やYF-23、F-35などがこの形式。

明確に分類できない形式
以上、主翼の分類を述べてきたが、上記の分類に当て嵌めるのが難しい場合もある。F-4、Su-27の主翼のように、後退翼とクリップトデルタ翼の中間と言える形式のものは数多く存在する。ライトニングの主翼は、後退翼とも言えるし、翼端のみならず後縁内側をも三角形に切りぬいたクリップトデルタ翼とも解釈できる。どの程度以上後退させた場合後退翼であるという明確な定義は存在しないため、F-5、F/A-18の主翼は、後退翼とも直線翼とも言いきれない。

ストレーキ

デルタ翼は、低速域での揚抗比が低い、離着陸時に失速し易い、などの欠点があった。これを改善するため、翼の後退角に差を付けたダブルデルタ翼が開発された。ストレーキは、このダブルデルタ翼の内翼を発展させた物である。別名:LEX(leading edge extension/主翼前縁延長)。ストレーキは空気の渦流を発生させ、それが主翼や水平尾翼へ流れる気流にエネルギーを与える事で、失速や舵の利きの低下を防ぎ、機体の機動性を大きく向上させている。ストレーキを装備した機体は、F-16、F/A-18、Su-27など。

カナード

主翼の前部に取り付けられた小型の翼で、水平尾翼と同様に機体のピッチ制御を行う。水平尾翼と違って主翼と共に揚力を発生させる事により、主翼面積をその分節約する事ができる(水平尾翼の場合はマイナスの揚力を発生させるので、主翼はより揚力を発生させる事が求められる)。そもそも世界最初に飛行した機体であるライトフライヤー号がこの形式であったが、水平尾翼と比べて舵が過敏に反応するため安定性が悪いという事で、その後廃れてしまった。近年、デルタ翼との組み合わせにより、主翼前部の気流を制御する事で機体の機動性が向上するという利点が発見され(前述の LEX:主翼前縁延長と同等の効果である)、また機体制御の難しさはフライ・バイ・ワイヤによって補う事が可能となり、広く用いられる事となった。なおデルタ翼は無尾翼形式によって主翼のみで安定を保つ設計が可能なため、カナードは揚力を発生しない設計にする場合も多い。しかしごく近年では、ステルス性に難があるという欠点が発見されている。

ブレンデッドウィングボディ

主翼が滑らかに胴体と繋がっており、何処までが主翼で何処からが胴体なのか区別が付きにくい形状の事。特に大迎角を取った際に胴体も主翼の役割を果たし、実質上翼面荷重が小さくなる効果がある。又、ステルス性が向上する利点もある。他に胴体内容積が大きくなり、燃料等をより多く搭載できる利点もある。戦闘機ではF-16が代表的な例である。

これより更に発展した物として、リフティング・ボディ(主翼が存在せず、胴体そのものが揚力を発生し主翼の代わりをする)、全翼機(胴体が存在せず、主翼のみで構成された航空機)といった形式があるが、実用化された戦闘機での採用例は今の所存在しない。

兵装

戦闘機誕生以来、対空戦闘のための兵装は機関銃・機関砲と相場が決まっていた。第一次世界大戦時には、対気球・飛行船用としてロケット弾を装備した例もある。第二次世界大戦時に再びロケット弾装備が復活し、1960年代頃まで使われたが、誘導装置のついたロケット弾・すなわちミサイルに取って代わられる事になる。

現代戦闘機の空対空戦闘用兵装は、空対空ミサイル及び機関砲などである。遠距離戦闘時はアクティブ・レーダー・ホーミング (ARH) 及びセミ・アクティブ・レーダー・ホーミング (SARH) 式の長距離用ミサイルが、接近戦では赤外線誘導 (IRH) ミサイル及び機関砲が使われる。

機関砲は、空対空ミサイルの登場により、特に敵戦闘機と交戦する機会の少ない要撃機などには不要とされ装備されない機体も登場したが、ベトナム戦争などの教訓からミサイルの命中率がそれほど高くない事が判明したため、再び装備されるようになった。現代ではミサイルの命中率はかなり向上しているものの、それでも万が一近接格闘戦に突入した場合の保険として必須とされ、装備から外される趨勢にはない。 航空機関砲にはM61 バルカンなどに代表されるガトリング砲方式と、マウザー BK-27などのリヴォルヴァーカノン方式、GSh-301などのガスト式などが代表的である。それぞれ一長一短があり、どれが戦闘機に適しているかは一概には言えない。

電子機器

戦闘機の電子機器は、通常の航法装置の他にレーダー、レーダー警戒装置、ECM装置、火器管制装置、戦術データ・リンク・システムなどが戦闘時には重要となる。レーダーが敵より高性能で長探知距離・高分解能であれば、敵を先に発見・捕捉して先制攻撃をかける事ができる。また、ミサイルや機関砲の命中率を高めるためには、高性能な火器管制装置が必要である。

敵機のレーダーに探知された時は、レーダー警戒装置などESM装置でいち早く敵のレーダー電波を探知・分析し、同時にECM装置でそれを妨害する必要がある。これらの戦闘は電子戦 (EW) と呼ばれる。ECM装置には、チャフ・フレア・デコイなど敵レーダーを欺瞞するものや、敵レーダー能力を低下させるジャミング(電波妨害)装置などがある。

データリンク・システム

味方の支援を受けるためには、友軍機や早期警戒管制機 (AWACS) 、地上要撃管制 (GCI) 等との情報共有が不可欠である。このために、戦術データ・リンク・システムなどの情報共有系統が必要である。AWACSなどとのデータリンクが重視される理由は、

* 戦闘機のレーダーは基本的に前方しか探知しないため、後方から近付く敵を発見することができない。AWACSなどは全方位を監視できるのみならず、情報収集任務に特化しているため戦闘機よりもはるかに高性能な機器を搭載しており、データリンクを使用すれば地上の状況も含めてより高精細な情報を受信でき、後方からの不意打ちも防げる。
* AWACSが早期に発見した敵に対して、後方など自機に有利な位置から攻撃を加えることが可能となる。
* レーダーは使用すると、ESM装置による逆探知による自機の被発見率が高まる。そのため戦闘機、特にステルス機はその性質上レーダーを極力使用しないことが望ましい。データリンクを使用すれば、自機のレーダーを使用せずに敵を発見できる。

などである。これらの理由から、AWACSなどからの支援の有無は戦闘において非常に重要であり、仮にAWACSの支援無しの最新鋭機と支援有りの旧型機が戦った場合、最新鋭機が撃墜される可能性も十分にある。現在ではAWACSとのリンクによる敵の早期発見と、性能の高いミサイルの使用により、ドッグファイトはあまり起こらず戦闘機は再びミサイルキャリアに近い存在になってきている。

列線交換ユニット (LRU)

戦闘機を始め軍用機は、整備の簡易化の為に部品を幾つかのモジュール式ユニットにまとめている。故障時には、自己診断装置で要修理部位を直ちに発見し、それを新しいユニットと取り替えてしまうもので、整備に必要な手間を大幅に短縮させている。また、故障したユニットはそのまま修理工場へ送ってしまえば良いので、整備員の知識・技術もさほど必要とされないと言う利点がある。

将来の戦闘機

アメリカのアフガニスタン侵攻時に、安価な無人航空機が使用され、たとえ撃ち落とされても人命は失われず費用対効果的にも有効性が認められた。当初の偵察任務のみならず、空対地ミサイルを搭載し、限定的な攻撃任務が可能な機種も登場した。しかしながら、遠隔操縦には常に妨害や通信途絶の可能性があり、また空対空戦闘の自律化、自動化にはまだ多大な困難がある。空対地戦闘はともかく、空対空戦闘の無人化を近い将来に実現することは難しいであろう。仮に無人戦闘機が実戦配備されれば、有人機と共に運用されることとなる。

さらに詳しく → 戦闘機  軍用機  ライト兄弟



図解 戦闘機 (F-Files No.023) (F‐Files)図解 戦闘機 (F-Files No.023) (F‐Files)
(2009/08/31)
河野 嘉之

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