U-2 ドラゴンレディ (Lockheed U-2 Dragon Lady)

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2010/03/16(火)
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U-2ロッキード社の開発チーム・スカンクワークスが同社のF-104をベースに開発し、アメリカ空軍とCIAに採用された高高度偵察機。初飛行は1955年。公式ではないが、ドラゴンレディ(Dragon Lady)という愛称がある。また、その塗装から「黒いジェット機」の異名もある。

概要

オリジナルのU-2はCIA資金により、ロッキードが開発した高高度スパイ偵察機である。1955年8月4日、1号機が進空したのに続いて計55機生産され、冷戦時代から現代に至るまで、アメリカの国防施策にとって貴重な情報源となった。

当初、空軍は高高度偵察機を各メーカに競争発注する予定だったが、これを察知したロッキード社のスカンクワークス主任、クラレンス・ケリー・ジョンソンが秘密裏に空軍にF-104を改造した偵察機型を提案し、結果として空軍はこの提案に合致するような要求を各メーカに提示した。当然ながらこうした状況ではロッキード社の案が採用となり、これがU-2となった。当時は、ベル社などがX-16などを作成していたが、こうした他社の案は全て不採用となった。

U-2は細長い直線翼を備え、高度25,000m(約82,000ft)もの高高度を飛行し、偵察用の特殊なカメラを積み、冷戦時代はソ連など共産圏の弾道ミサイル配備状況をはじめとする機密情報を撮影した。その長大な主翼と機首形状の違いから受ける印象が強烈で、原型がF-104であるとは想像し辛いが、胴体形状はほぼ同一である。これは両機の線図を比較してみれば一目瞭然であろう。その並外れた高高度性能は、要撃戦闘機による撃墜を避けるため、敵機が上昇し得ない高高度を飛行するためのものだが、後に対空ミサイルの発達により撃墜が可能となってしまった(後述)。そのため高高度を高速で飛行し、敵機およびミサイルの迎撃をかわす偵察機が模索され、ロッキード社のスカンクワークスによりSR-71が造られるようになる。

当初、U-2はCIAとアメリカ空軍で使用されていたが、1970年代にCIAはU-2の運用を取りやめたため現在ではアメリカ空軍のみで運用されている。戦闘機や地対空ミサイルの能力が向上した現在、撃墜される危険のある地域を強行偵察することは困難であるが、電子/光学センサー(搭載量約1.36トン)の進歩は著しいものがあり、直接敵国上空を飛行しなくとも、かなりの情報収集が可能になっている(敵国の付近を飛ぶだけでも、通常高度500~600kmの低軌道に位置する偵察衛星に比べれば遥かに近い距離からの偵察であり、より精度の高い情報収集が可能である)。そのため後継機であるSR-71が退役した現在も、湾岸地域やボスニアでは有力な情報収集手段となっており、現役で活躍中である。アメリカ空軍はコクピット等のアビオニクスの機能を向上させ、エンジンをF118-GE-101(推力8390kg)に換装した性能向上型U-2Sへの改修計画を進めている。またNASAではその特殊性から研究機ER-2として、大気の測定などに使用されている。

特徴

U-2は高度25000m(約82000ft)以上と成層圏を飛行することができる。旅客機は通常10000m(約33000ft)程度なので、その2倍以上ということになる。外観は誘導抵抗を減らすためのグライダーのような縦横比の大きな主翼形状が特徴で、揚抗比(揚力と抗力の比率)は20以上であり、軽量化と非常に小さな空気抵抗により目的の性能を生み出している。

U-2は軽量化を徹底した末、車輪が胴体前部と後部の2箇所にしかなく、離陸時には翼の両端に地上から離れるときに外れる補助輪をつけ滑走し、着陸時には車がU-2と並走し翼が地面につかないよう指示を出し十分に低速になったところで翼端を地面にすりつけ着陸し、その後補助輪を装着され滑走路から移動を行う。また高高度を飛行中の最大速度と当該高度における失速速度の差はわずか時速18km(約10kt)であり、もっとも操縦の難しい軍用機とされている。

またその徹底した軽量化は、同時にU-2の弱点も生み出している。後述のU-2撃墜事件では、ソ連軍の放ったS-75 地対空ミサイルが付近で爆発した際の爆風で機体が破壊され、墜落した。これは地対空ミサイルの威力が強かったのではなく機体外壁がとても薄く作られていたため、衝撃波に耐えられなかったためである。それを証明するように、高高度から墜落したにも関わらず、機体は、大破と言うよりは潰されたような形で発見された。軽量で大柄な機体のために空気抵抗が大きくなり、落下速度があまり速くならなかったためである。

もうひとつの特徴として、パイロットは高高度を飛行するため、特殊な与圧スーツを着用する。それはまた高高度で脱出する際になくてはならない装備でもある(このスーツのヘルメットには数個の穴がありそこからチューブ状の食料をヘルメットを脱がずに食事をすることができる)。報道によればこのスーツは宇宙服であり、違いは色と生命維持装置が直接付いているかいないか及び宇宙空間での推進機が無いだけである(週刊『ワールドエアクラフト』より)。

任務

キューバ危機

冷戦下においてU-2偵察機はソ連や中華人民共和国、キューバなどのいわゆる東側諸国への偵察飛行を行った。1962年10月14日にはキューバに偵察飛行を行いソ連軍のミサイル発射基地の建設を発見した(キューバ危機)。

黒いジェット機事件

また、中華民国や日本国内の基地から、中華人民共和国や北朝鮮への偵察飛行を行ったが、数回にわたり撃墜された。1959年(昭和34年)9月24日には、日本国内に配備されていたU-2が藤沢飛行場へ不時着し、「黒いジェット機事件」として問題化した。

U-2撃墜事件

U-2を語る上でよく出てくる話として、冷戦下の1960年に発生したいわゆる「U-2撃墜事件」が挙げられる。

1956 年6月からソ連領空を飛んで偵察を行うようになった。U-2はソ連防空軍のMiG-19Pなどの迎撃戦闘機による迎撃をたびたび受けていたが、1950年代末にSu-9迎撃戦闘機が配備されるまでは、ソ連にはU-2に有効な攻撃を与え得る高度に達することのできる戦闘機は存在しなかった。その一方、ソ連ではU-2を撃墜するために新型の地対空ミサイルも開発していた。

1960 年5月1日にはソ連領空内にCIA所属のU-2偵察機が領空侵犯をし偵察飛行をしていたところ、S-75地対空ミサイルによる迎撃を受け、U-2はついに撃墜された。パイロットのゲーリー・パワーズは脱出し無事であったがソ連に捕虜として捕らえられ公開裁判にかけられた。パワーズはスパイ飛行を認め有罪となるが、その後アメリカで逮捕されたKGBのルドルフ・アベル大佐との身柄交換により釈放された。

各型

* U-2A:初期型、単座機。J57-P-37Aジェットエンジン搭載。48機製造。
* U-2B:複座練習機型。J57-P-31エンジン搭載、5機製造。
* U-2C:J57-P-13エンジン搭載。
* U-2D:複座練習機型。
* U-2CT:U-2Dの再改良型、6機改修。
* U-2E:U-2Bの空中給油対応型。
* U-2F:U-2Cの空中給油対応型。
* U-2G:空母発着用にアレスティングフックの追加、降着装置が強化された型。3機改修。
* U-2R:再改良型、燃料容量などが増大。12機製造。
* U-2RT:U-2Rの複座練習機型。1機製造。
* U-2EPX:U-2Rの海洋哨戒型。2機製造。
* WU-2:大気・気象観測機型。
* TR-1A:側方監視レーダーなどを搭載した戦場監視機。アビオニクスなども更新。33機製造。
* TR-1B:TR-1Aの複座練習機型。2機製造。
* ER-2:アメリカ航空宇宙局の地球環境調査機。単座。
* U-2S:TR-1Aの改良型。エンジン、センサー、航法システムなどを更新。31機改修。
* TU-2S:TR-1Bの改良型。

仕様(U- 2S)

* 全長:19.13m
* 全幅:31.39m
* 全高:4.88m
* 最高速度:M0.8
* エンジン:GE F118-GE-101×1基
* 推力:8600kg
* 空虚重量:7250kg
* 最大離陸重量:18598kg
* 航続距離:7400km
* 最高高度:27000m (約89000ft)
* 定員:1人

さらに詳しく → U-2 ドラゴンレディ



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