中国による東トルキスタン(ウイグル)弾圧-【ラビア・カーディル】

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2010/03/04(木)
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ラビア・カーディルウイグル語:رابىيه قادىر (Rabiye Qadir)、中国語:热比娅 卡尔、ピンイン:Rèbǐyǎ Kǎdé'ěr、1947年1 月27日 - )は、ウイグル人の人権運動家、実業家。(中国のウイグル人には姓は存在せず、「ラビア」は名、「カーディル」は父親の名)

新疆ウイグル自治区で実業家として成功し、中国人民政治協商会議委員を務めるなど、ウイグル人を代表する著名人として知られたが、民族問題に関する政権批判で失脚し、1999年に国家機密漏洩罪で逮捕、投獄された。2005年に米国へ亡命した後は、世界ウイグル会議の議長として、中国におけるウイグル人の人権擁護を訴える活動を行っており、「ウイグルの母」とも呼ばれている。

実業家としての活動

ラビア・カーディルは、新疆北部のアルタイ市の自営業者の家に生まれた。1962年に生家が「資本家」であるとして糾弾され、アクスへの移住を余儀なくされた。文化大革命中には、「不法に商売を行った」として批判され、これが原因で共産党員であった前夫と離婚するよう迫られたとされる。

1976 年から洗濯業などで貯めた資金を元に、小売業を展開し成功を収め、ウルムチ市の二道橋街区に大規模な商業テナントビルを建てるなど不動産業でも活躍した。ソ連崩壊後は、中央アジア諸国での不動産取引や、貿易で巨額の利益を上げ、中国十大富豪の1人に数えられるまでになった。

改革開放の波に乗り、企業家として成功したラビアは、共産党への入党を認められ、1993年には中国人民政治協商会議全国委員に選出されたほか、1995年に北京で開かれた国連の第5回世界女性会議に中国代表として出席。新疆ウイグル自治区商工会議所副主席、新疆女性企業家協会副会長などの役職を務めた。また、ウイグル人女性の行う小規模事業に投資を行う「千の母親運動」を企画し、ウイグル人女性の経済的自立の促進に貢献した。

逮捕から亡命へ

ラビアは、中国における最も著名なウイグル人として活躍すると同時に、新疆におけるウイグル人の人権状況改善を党・政府に対して積極的に訴えた。1996年の政治協商会議では、漢族によるウイグル人抑圧を非難する演説を行い、注目を集めた。

同年には、ラビアの夫で作家のシディク・ハジ・ロウジが行った書籍の翻訳や、政協会議でのラビアの演説が公安当局の間で問題となり、ラビアは1997年に全ての公的役職から解任された(シディク・ハジ・ロウジは1996年に米国に亡命)。1999年8 月13日、公安当局は、ウルムチ市内に滞在していた米国議会関係者に接触しようとしたラビアを逮捕し、米国に亡命した夫に対して「不法に機密情報を漏洩した」として懲役8年の実刑判決を下した。

ラビアの逮捕は、中国内外のウイグル人社会に大きな衝撃を与え、国外のウイグル人を中心に、中国政府にラビアの釈放と、ウイグル人への人権侵害の停止を要求する運動が展開された。こうした運動は、欧米社会の関心を集め、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権団体による支援も行われた。ライス米国国務長官の訪中を控えた2005年に、米国から人権問題での批判を受けることを恐れた中国政府は、2005年3 月14日に、「外国での病気療養」を理由にラビアを釈放した。ラビアは米国に亡命することとなった。

米国では、国際ウイグル人権民主基金を設立し、2006年5 月29日には、米国ウイグル人協会会長に就任した。チベット独立運動におけるダライ・ラマのようなカリスマ的指導者を欠いた在外ウイグル人運動にとって、ラビアの存在は重要であり、世界ウイグル会議の指導者エルキン・アルプテキンの要請を受けて、11月26日にドイツのミュンヘンで開かれた大会で、ラビアは世界ウイグル会議の議長に選出された。

ウイグル人の人権状況を訴えるラビアの活動は、国際社会から大きな注目を集め、投獄中の2004年にラフト人権基金の人権賞を受賞したほか、2006年にはノーベル平和賞の受賞候補の1人にも選ばれている。一方で中国政府は、ラビアを「東トルキスタン・テロリスト勢力(东突恐怖势力)」の一員であるとして批判を続けており、国際社会における、こうした動きを牽制している。

2007 年11月にはアムネスティ・インターナショナル日本の招請で訪日し、中国政府による東トルキスタンでの人権抑圧を激しく批判した。滞日中の同月28日には、自民党の中川昭一元経産相が主宰する勉強会に出席した。また、民主党の牧野聖修前衆議院議員らもラビアを招いた勉強会を予定していたが、直前に中止となった。これは中国当局が訪中を控える民主党の幹部に中止を要請したことが理由という説がある。

2009 年7月下旬にも来日し、講演や自民党議員らとの会談が予定されているが、ウイグル自治区で同月に起きた騒乱の直後の来日となったこともあり、中国政府は不満を表明している。ラビアは来日が実現したことに対し、「ウイグルの主張を世界に伝える道が開けた。対応が冷たい欧米へのメッセージにもなり、日本の政治決断に感謝したい。中国が各国に外交圧力をかけるなか、日本は独立主権国家としての意思を国際社会に示した」と日本の対応を評価した。 2009年10月にも来日し、鹿児島大学などで講演をした。

家族

前夫との間の子供を含め、11人の子供がいる。息子のアリム・アブドゥレイム、アブリキム・アブドゥレイムは貿易会社を経営し、実業家として知られていたが、ラビアの逮捕後に、脱税容疑で拘束・収監されている。また、娘のルシャングル・アブドゥレイムも、公安当局の監視下での生活を余儀なくされているといわれる。

こうした状況を、中国の人権状況に関心をもつ米国政府は注視しており、2007年6 月5日にプラハにてブッシュ大統領がラビアと会見し、収監されているラビアの家族と、中国におけるウイグル人の人権状況について懸念を表明したほか、同年9月17日には、米国議会下院が、ラビアの家族および、カナダ国籍のウイグル人フセイン・ジェリルの釈放を中国政府に求める決議を行っている。

さらに詳しく → ラビア・カーディル  新疆ウイグル自治区  東トルキスタン  ウイグル人  同化政策



中国の狙いは民族絶滅―チベット・ウイグル・モンゴル・台湾、自由への戦い中国の狙いは民族絶滅―チベット・ウイグル・モンゴル・台湾、自由への戦い
(2009/03)
林 建良テンジン

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