南オセチア紛争から見る各国の思惑

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2010/03/01(月)
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ポスト冷戦時代

米ソ冷戦が終結した当初の1990年代初期においては、フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』で述べたことを受けて、希望と幸福が訪れると見る向きもあった。しかし、冷戦終結直後の1991年12 月に、冷戦の盟主国の一角であるソ連が死滅すると世界の均衡が崩れ、アメリカが唯一の超大国となってアメリカ的システムが絶対化されるアメリカナイゼーションが世界を席巻した。政治のアメリカナイゼーションは「民主化」の名で、経済のアメリカナイゼーションは「グローバリゼーション」の名で推進された。同時に冷戦終結により、それまでクレムリンやホワイトハウスに抑圧されていた世界各地の民族問題が再燃した。

東ヨーロッパを見ると、1992年にチェコスロバキアがチェコとスロバキアに平和裏に分離した反面、1993年に起こったユーゴスラビア紛争は、民族同士の憎しみに火を点けてその後も続いた。カフカス地方ではアゼルバイジャンやアルメニアで内戦となり、チェチェンをはじめ各小民族が独立闘争を起こし、各国で内戦に発展した(第一次チェチェン紛争)。この内戦はロシア軍による圧倒的な火力で制圧されているが、追い込まれた独立派はテロ行為に走り、収拾がつかなくなっている(第二次チェチェン紛争)。又、このテロにはイスラム原理主義過激派の関与が疑われている。

西ヨーロッパの冷戦は終わったが、東アジアではモンゴルの民主化、ベトナムとアメリカの和解の外は、中華民国と中華人民共和国の対立、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の対立が現在も続いており、日本国内では日本共産党と朝鮮総連は現在も公安当局(公安調査庁、公安警察)に監視されているなど、こちらは解決の見通しが立っていない。特に、中華人民共和国は1989年から軍備増強を強力に推し進めており、近年になって周辺国(中華民国や大韓民国や日本)にとって脅威となっていると言われるようになった(中国脅威論、米中冷戦)。中華人民共和国は名実ともに一党独裁国家であり、2000年代に入って暴動が多発するなど、国内が不安定化している。フランシス・フクヤマの論に従えば、一党独裁国家である中華人民共和国は、政府(中国共産党政権)が死ぬ時が必ず訪れるという論になる。

ロシアは、ソ連が死滅すると共和制国家として甦生し、ボリス・エリツィン政権下で経済の再建と資本主義化が推進された。しかし、これが裏目に出てロシアの経済は悪化し、特にアジア通貨危機後の1998年にはロシア財政危機が起きて一層悪化するなど、「冷戦の敗戦国」として欧米の経済援助に甘んじていた。しかし、2003年頃より原油価格高騰の恩恵により経済は好転し、それを背景にウラジーミル・プーチン政権は再び「強いロシア」の復権を謳い、EUやNATOへの旧ソ連加盟国の取り込みを進めていた欧米に対して、牽制の動きを見せるようになった。現在のロシアも独裁体制に近く、フクヤマの論に従えば、政権が死ぬ時が必ずやってくるということになる。

つまり、将来において中華人民共和国やロシアの現政府が倒されて民主化された時、大国同士の冷戦や世界大戦の危険性は消えて、全世界において民主主義体制が半永久的に続き、歴史が終わるとされる。民主主義の枠内であれば、政権交代により社会問題や他国との国際問題を解決できるとされる。しかし、現段階では、アメリカ主導の民主主義体制・資本主義体制が、民衆に必ずしも幸福をもたらしていない実状が、アメリカ発の世界同時不況により立証された。ポスト冷戦時代になると、資本主義・民主主義は、資本家による労働者の使い捨てや、不況の世界規模化といった災難を解決できていない。

しかし、時間は長期になるが民主主義体制の枠内なら問題は解決可能という見方もある。又、フクヤマの論は、アメリカによる「民主化」(時には武力を伴う)を容認する内容だという誤った解釈がなされ(フクヤマ自身もイラク戦争は誤りであったと述べている)、「自由」があることをいわば「売り」とするアメリカナイゼーションが世界中で急速に進んでいる。ただ、実状がアメリカの多国籍企業の為の利益の追求であるにせよ、結果的に第二次世界大戦以後、アメリカの同盟国・友好国・アメリカにより民主化された国(イラクなど)の民が自由を手に入れたのは事実である。冷戦中は反共主義という理由でアメリカの支援を受けていた独裁国家も、冷戦が終わるとサウジアラビアなどを除いて次々と民主化されている。

アメリカは「冷戦の勝戦国」という自信から、1991年の湾岸戦争に引き続いて中東への介入を深め、ビル・クリントン政権はパレスチナ問題に積極的に関わり、初めて和平合意をもたらした。しかし、イスラエルの凶変から和平は暗礁に乗り上げ、パレスチナ過激派によるテロとイスラエル軍による虐殺によって、パレスチナは泥沼の様相を呈した。又、アフガニスタンやスーダンには1998年にミサイル攻撃を強行し、特にアフガニスタンには4回に亘る経済制裁を与えた。

アフリカに対しては、スーダンの外にはソマリアにも国際連合の力で内戦に介入したが失敗し、これによって、クリントン政権は地上軍の派遣を恐れるようになった。イラクに対しては湾岸戦争以来敵対しており、イラク武装解除問題に関しても、武器査察が滞る度に空爆を加えた。これらのアメリカによる中東への介入やグローバリゼーションに反感を抱くイスラム原理主義過激派は、2001年にアメリカ同時多発テロ事件を惹き起こし、対テロ戦争と呼ばれるアメリカのアフガニスタン侵攻やイラク戦争となった。

核開発競争によって生産された高性能核弾頭を、現在もアメリカとロシアが数千発保有している。冷戦初期に核のアメリカ一極集中を恐れた一部の科学者は、核の抑止力で世界の均衡を保とうと、ソ連とイギリスとフランスに開発法を伝授し、ソ連から中華人民共和国にも継承されて、現在の核五大国が形成された。この外にも、中華人民共和国やソ連から流出した開発法によって(中蘇対立なども要因となっているが)インドやパキスタンの核保有や、アメリカから供与された技術によってイスラエルの核保有に及んでいる。

2008 年8月には南オセチア紛争が起こり、米露間に軍事的緊張が生じ、「冷戦の再来」「新冷戦」などと呼ばれる状況となっており、緊張状態が続いている。

経済と雇用は冷戦時代とは比べ物にならない程に悪化し、実際に訪れた現象は希望と幸福ではなく、絶望と災難であった。1989年~1991年に起こった社会主義政権の死滅により、「無規制」「解雇自由」「大資本家のみの繁盛」を特徴とするアメリカ型経済システム(新自由主義)が「グローバリゼーション」の名で世界中に広まり、多国籍企業は地球規模でパイを奪い合う「大競争時代」を作り上げた。この結果、日本を始め世界中が「日銭の世界」と化して、世界中で不安定雇用労働者(プレカリアート)が爆発的に増大した。冷戦時代末期(1980年代)のアメリカでは「ダウンサイジング」という名の整理解雇ブームが民衆を襲っていたが、これが世界規模に拡大したのである。又、冷戦時代には、アウグスト・ピノチェト政権のチリがアメリカ型経済システムを敷いていた事から、冷戦終結後には、世界各国がピノチェト政権のチリと同じ状態になったとも言える。

冷戦時代末期のIMF不況と1990年代のグローバリゼーションに遭遇したラテンアメリカでは、2000年代になると反米・左派の政権が続々と生まれ、社会主義が復活する動きを見せている。又、反米や社会主義を掲げるラテンアメリカの政権は、アメリカを牽制する動きを見せている。

さらに詳しく → 冷戦  南オセチア紛争 (2008年)  オセット人  グルジア  バラ革命


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「新冷戦」の序曲か―メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略「新冷戦」の序曲か―メドベージェフ・プーチン双頭政権の軍事戦略
(2008/12/10)
木村 汎名越 健郎

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