P-3 オライオン (Lockheed P-3 Orion)

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2010/02/22(月)
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ロッキード P-3は、アメリカ合衆国の航空機メーカー、ロッキード社(現・ロッキード・マーティン社)が開発したターボプロップ哨戒機。西側諸国を代表する哨戒機で、アメリカ海軍や日本の海上自衛隊他、多くの国で運用中である。愛称は「Orion」。Orion とはギリシア神話に登場する狩人の名で、星座の一つである「オリオン座」としても名高い。日本ではその英語読みから「オライオン」と呼ばれる。

開発経緯

1957 年8月にアメリカ海軍は、ロッキード P2V ネプチューン(後に命名規則改正で「P-2」となる) 対潜哨戒機の後継機の仕様を各航空機メーカーに提示した。この新対潜哨戒機は、SOSUSにより探知された敵核ミサイル搭載原子力潜水艦と思しき音響信号へ急行してソノブイ、磁気探知機による識別を行い、核魚雷、核爆雷を使用して、潜在海域から殲滅することを主眼としていた。そのため、

* 地上の潜水艦探知/分析システム設備と接続してその情報を利用できる高度な情報通信能力を持つこと
* 充分且つ余裕のある兵装及び捜索・探査装備の搭載能力を持つこと
* 探知した目標の存在する海域に対して即座に急行できる高速飛行能力を持つこと
* 長距離且つ広範囲を探査・捜索するための充分な航続距離と連続飛行時間を持つこと
* 長距離長時間の飛行を無理なく行える高い居住性を持つこと

が求められた。
特に、P2Vは運用の結果居住性能と搭載能力に難があり、長時間の任務飛行には困難が多いとされていたため、余裕を持った機体が要求されていた。

開発

海軍の要求に応じ、ロッキード社は1957年4月に初飛行したばかりのターボプロップエンジン4発搭載の旅客機、L-188 エレクトラの改造型を提案し、1958年4月にP2Vに続く採用が決定した。 L-188を改造した原型機のYP3V-1(命名規則変更によりYP-3Aと改名)は1958年8 月19日に進空したものの、原型機L-188 の構造的欠陥に起因する連続事故で計画は大幅に遅延し、1962年8月より P-3A としてアメリカ海軍への配備がようやく開始された。

P-3Aは対潜水艦戦用の機材は前作のP-2対潜哨戒機とほぼ同様であったものの、機内容積が拡大し、速度・航続距離の向上が著しかったために、実質的な対潜水艦能力は向上している。また、エンジンを強化したP-3Bの配備が1965年より開始された。

続く性能向上型のP-3Cは、1968年に原型機YP-3Cが初飛行し、1969年より部隊配備された。向上点は主に、潜水艦探知用のソノブイ・システム、センサー、レーダー、データ処理用のコンピューターの能力向上型への換装である。これによりP-3は開発の主目的であった地上設備とリンクされた高度な潜水艦捜索/評定能力を持つことになった。この潜水艦探知用システムが順次近代化されており、改修世代によりアップデートI~IVに区別される。最新のアップデートでは、対水上艦艇監視能力の向上が図られ、洋上監視機器の換装のほか、マーベリックミサイルの運用が可能となっている。

1980年代後半には、P-3 の更なる改良型として、アメリカで P-7 が計画されたが、これはキャンセルされた。後継機にはボーイング P-8A が開発中である。

構造

P-3は出自が旅客機のため、良好な居住性、対潜機材や電子機器を無理なく積む事のできる機内容積の余裕、STOL 性、長時間滞空性能を持ち、これらの能力は高く評価されている。開発当時、米軍ではジェット燃料の使用による資材共通化は前線で焦眉の急であり、P-3の原型機であるL-188は主機がターボプロップであることがこれに合致した。

基本的にはL-188より旅客機としての装備を撤去して対潜哨戒機としての各種装備を搭載したものだが、開発に当たっては胴体部は改めて設計されており、尾部に磁気探知装置(MADブーム)が付けられ、機首が少し切詰られて主翼長も短くなっている。また、主翼端に武装搭載用のパイロン、全部胴体下にウエポンベイ(兵装庫)が設置され、胴体後部下面にはソノブイ投下装置が設けられた。

海上自衛隊の P-3C

採用までの経過

日本でも1968年(昭和43年)から、海上自衛隊の P2V-7・P-2J の後継の次期対潜哨戒機 (PX-L) の選定に着手した。当初、P-2J 改造開発に続いて、完全国産化の方針で計画が進み、P-2 のライセンス生産を担当した川崎重工業はいち早くモックアップ製作などを行って国産化への意気込みを見せた。一方、防衛庁内にも国産技術に不安を示す者は多く、新鋭機 P-3 を推す意見も根強かった。1972年(昭和47年)10月、田中角栄の新内閣は突如、国内開発の方針を白紙撤回し、外国機導入を決定、1975年(昭和50年)に外国からの選定を始めた。

選定中の1976年(昭和51年)2月 4日、旅客機ロッキード L-1011「トライスター」の大量受注を目論んだロッキード社が、エージェントの児玉誉士夫を介して政官財界工作を行い、日本の航空会社役員や有力政治家に賄賂を贈った、いわゆる「ロッキード事件」が発覚した。2 月9日には久保卓也防衛事務次官が、1972年10月の PX-L 国産方針の白紙撤回は田中らが決定した事だと発言、これを受けて政府は候補に上がっていた P-3 を白紙に戻し、一から選考し直す方針をとった。そのため海自は PX-L までのつなぎとして、P-2J を増産することとなった。

1977 年(昭和52年)には再度 P-3C の採用を決定し、翌1978年(昭和53年)より調達を開始した。最初の3機は米国の有償援助により、1981年(昭和56年)に米国で引き渡された。次いで1982年(昭和57)に川崎重工業でノックダウン生産された機体が納入され、以後はライセンス生産に移り、1997 年(平成9年)9月までに通算101機が海上自衛隊へ配備された(途中で事故損耗あり)。本家のアメリカ海軍では約200機を世界の主要海域に展開しているが、四方を海に囲まれた海運国とはいえ、海上自衛隊が日本周辺海域だけを対象に約100機も配備している事は、冷戦時の対ソ・対中戦略の最前線として海自が機能していた事を示している。

現在の海上自衛隊の P-3C 保有数は97機で、作戦実働は80機となっている。冷戦終結による哨戒作戦の減少に伴い、20機程度が実働任務から削減されることになり、そのうち5機が画像情報収集機 OP-3C に独自改造された。また、1991年(平成3年)から1998 年(平成10年)にかけて、P-3C をベースにした電子戦機 EP-3 が5機、1994年(平成6年)に装備試験機 UP-3C が1機、1998年から2000年(平成12年)にかけて電子戦訓練支援機 UP-3D が3機、それぞれ製造され、川崎での P-3 生産が終了した。これら派生型を含め、海上自衛隊の P-3 保有総数は110機である。

導入時と現在

海上自衛隊の P-3C は昭和50年代から従来の主力機 P-2J を代替して行った。導入時の演習では、ローファーブイ/ダイファーブイ(受信専用のソノブイ)による広域哨戒で、次々と潜水艦の探知に成功し、同じ海上自衛隊の潜水艦部隊に「P-3Cショック」と呼ばれるほどの脅威を与えた。しかしその後は海自潜水艦の静粛性が格段に向上し、ローファーブイでの対応が困難になってきたため、ダイキャスブイ(探信音付きソノブイ)を使用したアクティブ戦を交える戦術を採るようになった。現在では赤外線暗視装置と逆合成開口レーダーによってシュノーケル航走中の潜水艦探知で成果をあげているが、潜水艦の AIP 推進化が進んでおり、技術的優勢の継続は難しいものと思われる。

海上自衛隊では平成10年頃からP-3Cの機種呼称を「対潜哨戒機」から「哨戒機」へと変更しており、対潜水艦一辺倒だった体制を改善し、不審船対策や東シナ海ガス田に対する監視強化も主要任務に挙げられている。また、平成12年からはそれまでの白と灰色の二色塗り分けの塗装を改め、明灰色単色の低視認性塗装が適用された。また、余剰機を改修して転用し、老朽化の進むYS-11の各種任務型を置き換える計画も進められている。

能力向上

海上自衛隊の装備する P-3C には数種類のバージョンがあり、衛星通信装置、合成開口レーダー、画像伝送装置、ミサイル警報装置などの追加装備によって、年々能力向上を図っている。 次期哨戒機の開発も進行しているが、さらに追加装備として、GPS 対応電子海図表示装置、AIS:自動船舶識別装置、次世代データリンクの追加も検討されている。

後継機

P-3 も初飛行から40年以上が経過し、装備の近代化改修を繰り返しているものの、既存機の疲労は免れず、海自の P-3C も2009年(平成21年)度より退役が始まった。このため、後継機の導入計画が各国で進められ、アメリカはボーイング737改造の P-8 を予定しているが、日本は純国産機 P-X を独自開発中である。初飛行は2007年(平成19年)9月28日。

性能・主要諸元(P-3C)

* 乗員: 11名
* 全長: 35.6 m
* 全幅: 30.4 m
* 全高: 10.3 m
* 翼面積: 120.8 m2
* 離陸重量: 56,000 kg
* 発動機: アリソン T56A-14 ターボプロップ ×4
* 出力: 4,910 馬力
* 最大速度: 395 ノット(約730㎞)
* 巡航速度: 335 ノット(約620Km)
* 航続距離: 9,000 km
* 実用上昇限度: 8,600 m

主な装備品

* UHF/VHF 無線機(国際マリンバンドも含む)
* HF 無線機 伝搬距離約1,200海里
* 暗号通信装置
* データリンク LINK11
* 衛星通信装置
* 捜索用レーダー AN/APS-115 最大捜索距離約200km
* ESM 逆探知装置
* IRDS 赤外線暗視装置
* ISAR 逆合成開口レーダー AN/APS-137
* ソノブイ投射機 ソノブイ探知距離CZ捜索時約30nm 直接伝搬域探知時約3000m
* ソノブイ解析システム AN/UYS-1
* MAD 磁気探知機 AQS-81 探知範囲約500~1000m
* ミサイル防御装置
* AGM-84対艦ミサイル
    o ASM-1C対艦ミサイル(海上自衛隊機のみ)
* Mk-46魚雷
    o 97式短魚雷(海上自衛隊機のみ)
* 150kg対潜爆弾
* 水中発音弾(音響警告用)

さらに詳しく → P-3 オライオン  対潜哨戒機



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