V-22 オスプレイ (Bell-Boeing V-22 Osprey)

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2012/06/14(木)
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V-22はアメリカのベル社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)が共同で開発したティルトローター機。愛称はオスプレイ(Osprey;ミサゴのこと。オスプリー、オスプレィとも)。初飛行は1989年。

開発の経緯

ヘリコプターは垂直離着陸ができるが速度が遅く、航続距離も短かった。対して通常の固定翼機は垂直離着陸はできなかった。もしヘリコプターの利点である垂直離着陸と固定翼機の利点である長い航続距離や高速などが両立できれば非常に有用であり、アメリカ軍は第二次世界大戦直後から両者の利点を持ち合わせた航空機(大戦中にもF5Uの原型機の試験飛行まで漕ぎ着けている)を欲しがっていた。

そのため1950年代半ばからXV-3やXV-15などのティルトローター機やティルトウィング機の実験が幾度となく行われていた。その中で1980年のイーグルクロー作戦の失敗が契機となり、ティルトローター機の実現に向けて本格的に立ち上げた計画が JVX計画である。

JVX開発計画

V-22は1982年に発表された4軍共同の統合先進垂直航空機(JVX)の名称で開発された。JVXはヘリコプターの特性と固定翼機の性能を持ち合わせる航空機を開発する計画であり、開発する航空機はティルトローター機でなければならないと定められているわけではなかった。

しかし実際のところはティルトローター以外の選択は現実的ではなく実質ティルトローター機の開発計画と言えた。当初は陸軍を中心とした計画であったが、後に4軍の要求を統合し海軍主導で進めることとなった。

1982年12月に初期設計のための提案要求(RFP)が提示され、アエロスパシアル、ベル、ボーイング・バートル、グラマン、ロッキード、ウエストランドが関心を示した。ティルトローターの実験機を以前にも開発していたベルと、CH-47などの大型ヘリを開発していたボーイング・バートルがパートナーシップを結び、1985年ベルXV-15をベースとする設計案を提出、この設計案のみ承認されることとなった。

1985年にはJVXで開発する機体の名称がV-22 オスプレイと決定され、海兵隊向けをMV-22、空軍向けをCV-22とした。航空母艦(CV)との重複を避けたるため、本来の用途とは名称が反対となっている。

開発の遅れ

1986年5月2日には全規模開発(FSD)が認められ6機のMV-22試作機が製造されることとなった。開発は電子機器や胴体部分をボーイング・バートルが、ナセルや駆動系を含む主翼部分と尾翼部分をベルが担当した。1、3、6号機(その後予算削減で6号機は中止された)がベル、2、4、5号機がボーイング・バートルで組み立てられることとなった。

初飛行は1988年、量産型の引渡しは1991年ごろと予定されが、SDI計画や先進戦術戦闘機 (ATF) 計画(後のF/A-22)などに比べ優先度が低く、予算の削減が行われた影響で初飛行は遅れ1989年の3月19 日となった。

1989年12月には国防長官が予算削減の一環として開発の中止を発表するが、その後の審査の結果計画は続行されることとなった。その後何度か計画の中断が予定されたが結局中止となることは無かった。

試作機段階での事故

V-22は何度も墜落事故を起こしている。1回目の墜落は1991年6月11日で試作5号機が初飛行後数分で墜落した。搭乗員二名は脱出したため軽傷ですんだが機体は失われてしまった。この墜落は配線ミスが原因であった。2回目の墜落は1992年7月で試作4号機が飛行試験中エンジンから出火し墜落、乗っていた7名全員が死亡した。この墜落の影響でFSD機が全機飛行停止となった。

この2つの事故はいずれもV-22自体の欠陥であり、残り3機には改良が加えられ1993年夏にテストが再開されたが、この事故によって2機が失われてしまい、計画に影響を与えることとなった。

量産の決定

このような事故もあったが、技術的問題は殆ど解決されたとの結論に至っており、 V-22は1994年に量産が認められた。軽量化や製造の効率化などの製造コストの削減を含む再設計が行われ、1995年量産試作機(EMD)が4機製造された。最初の7号機の初飛行は1997年2月5日に行われた。

1997年4月には低率初期生産(LRIP)が承認され、まず5機の生産が決定し、2000年度までにさらに25機の生産が認められた。1999年 4月には量産初号機が初飛行し、2000年までには艦上運用試験などが実施され、空軍仕様のCV-22BもEMD7号機と9号機を改修して試作テストが開始された。

LRIP(低率初期生産)段階での事故

2000年4月8日兵員輸送の試験中に墜落事故を起こし、試験のために乗り合わせていた海兵隊員15名を含め19名が死亡。その後もテストは続けられ運用評価を8月に完了したものの、同じ年の12 月11日には夜間飛行訓練を行っていたMV-22Bが墜落、乗っていた海兵隊員4名が死亡した。12月の事故を受けV-22は事故調査のため一時飛行停止となり、飛行停止が解除されたのは2002年5月になってからであった。

事故調査では4月の事故の原因はシステム的な問題ではなくパイロットが不適切な操作をしたため、12月の事故は油圧システムの故障と判断され、対策が施された。

全規模量産

2000年の事故以降大きな事故も無くV-22は計画通り順調に試験をこなし、2005年に運用評価を完了。2005年9月19日にはCV-22量産1号機が空軍に引き渡された。2005年10月28日、国防調達会議が全規模量産(FRP)開始を承認。2007年12月からイラク西部の戦闘作戦に初めて参加することになった。

在日米軍の再編で沖縄県普天間飛行場の移設に伴う代替施設(名護市辺野古)への配備が計画されていることが、米軍作成資料から明らかになっているが、日本政府は承知していないとしていた。しかし、2008年4月22日、高村正彦外務大臣は参議院外交防衛委員会で山内徳信議員の質問に対して「配備の可能性がある」との認識を日本政府として初めて示した。

特徴

エンジンについて

V-22は固定翼面積が小さく固定翼から発生する揚力だけでは上昇・前進が出来ず回転翼から発生する揚力のベクトル軸の向きを必要に応じて調整し運用することになる。V-22はその要求通りヘリコプターの利点である垂直離着陸と固定翼機の利点である長い航続距離や速さを持ち合わせている。

V-22は主翼の両端に大型のローターを装着したターボシャフトエンジンを装備し、このエンジンの角度を垂直にかえることによって垂直離着陸を可能としている。エンジンは垂直より少し後方まで向けることが可能で、スピードは出ないが後退飛行をする事もできる。

また、エンジンを前方斜めに傾けることによって短距離離陸(STOL)を行うことも可能である。ただしV-22のローターは大型のため完全に前方に向けてしまうと地面に擦ってしまう。巡航時にはエンジンを完全に水平にすることによって通常の飛行機と同じように飛ぶことが可能である。ただし固定翼の面積が通常の飛行機に比べて小さいので、ローターは幾分斜め上に向けて飛行する場合が多い。

V-22の2つのエンジンは互いに離れた位置(主翼の両端)に配置されているため、垂直離着陸時に片方のエンジンが止まった場合、そのままではバランスが取れずに墜落してしまう。これを防ぐため、V-22では2つのエンジンを連結シャフトでつなぐことによって、片方のエンジンが止まった場合でも、動いているもう一方のエンジンによって両方のローターをまわすことが可能となっている。

回転翼は広い面積を有し十分な揚力をえらるので、水平飛行時は通常の固定翼機に比べゆっくりな回転を示している。

性能

V-22の最高速度は300kt(約555km/h)を超える。これは高速のヘリコプターの最大速度である200kt(約370km/h)程度と比べると1.5倍の速度である。航続距離も空中給油などを併用した場合最大で2,000 nm(約 3,700km)以上と長いものとなっている。

固定翼を併用するために、回転翼のみよりエンジンの単位出力当たり大きな揚力を得られる。また回転翼機より高い高度に上ることが可能である。また、海兵隊が使用する強襲揚陸艦などで使用できるよう、ローターと主翼は折りたたむことが可能となっている。サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦ではヘリコプター甲板に4機・格納庫に1機の積載とヘリコプター甲板から同時に2機の発着が可能とされている。2007 年9月にイラク配備のための輸送では、ワスプ級強襲揚陸艦「ワスプ」に10機が積載された。

派生型

* MV-22B: 海兵隊向けの輸送型。CH-46やCH-53の後継とされる。360機が装備される予定。
* HV-22B: 海軍向けの戦闘捜索救難型(救難機)。48機が装備される予定。
* CV-22B: 空軍向けの特殊作戦型。MH-53Jの後継とされる。50機が装備される予定。

その他に早期警戒機や空中給油機とする計画もあるが今のところ開発されるかどうかは未定。

仕様

* 全長: 17.47 m(ピトー管含まず)
* 全幅: 25.54 m(ローター含む)
* 全高: 6.63 m(VTOL時)
* ローター直径: 11.58 m
* 航続距離: 3,700km
* 空虚重量: 15.032 t
* 最大離陸重量
    o 垂直離陸時: 23.981 t
    o 短距離離陸時: 27.442 t
* エンジン: ロールス・ロイスアリソン社製T406(ロールス・ロイス社内名称 AE 1107C-リバティー) ×2基
* 出力: 6,150 shp
* 最高速度
    o 通常時: 305 kt (565 km/h)
    o ヘリモード時: 100 kt (185 km/h)
* 離着陸距離
    o 貨物を載せず24人が乗り組んだ場合はヘリコプターのように垂直離着陸が可能
    o 最大積載量を積んだ場合は垂直離着陸できない。離着陸には約487m(1,600フィート)が必要
    o 上空でエンジンを停止させて着陸する『オートローテーション』飛行訓練や単発エンジン着陸訓練、編隊離着陸などの習熟訓練には、最短で約792m(2,600フィート)、最大で約1,575m(5,170フィート)が必要。

さらに詳しく → V-22 オスプレイ  輸送機  ティルトローター  垂直離着陸機(VTOL)



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(2006/07)
飯山 幸伸

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