E-767 (Boeing E-767)

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2010/01/26(火)
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E-767は、アメリカ合衆国の航空機メーカー、ボーイング社が開発した早期警戒管制機AWACS)。

概要

日本に対してボーイング社が提案して開発された機体であり、本機を運用しているのは日本の航空自衛隊のみとなっている。ボーイング767を開発母機とした初の軍用機で、同機にE-3 セントリーのシステムを移植する形で開発された。1機辺りのコストは約550億円で、現在までに4機が製造されている。愛称等は無い。

1998 年から航空自衛隊への引き渡しが行われ、2000年より運用を開始した。航空自衛隊が初めて導入した早期警戒管制機AWACS)でもあり、E-767と主力のF-15J/DJ戦闘機を組み合わせて運用することで、これまでに無い強力な防空体制を得ることができるようになった。

開発当初、日本のみならず、韓国、台湾、オーストラリアの各国空軍もE-767に大きな関心を寄せ、同機導入を前向きに検討していたが、1997年に発生したアジア通貨危機の影響で導入は見送られた。その後オーストラリア空軍と韓国空軍はより小型のE-737を採用することにしたため、2009年現在でE-767を保有しているのは日本のみである。ボーイングではほかにアメリカ空軍の採用を見込んでおり、20機ほどの需要があるとしている。

導入経緯

早期警戒管制機の導入

航空自衛隊では1976年(昭和51 年)9月6日のミグ25亡命事件によって、防空体制の欠陥が発覚して以来、地上の防空網を補うために上空からの警戒態勢の導入が検討され、早期警戒機の調達が計画された。

このとき、すでに航空自衛隊は早期警戒管制機AWACS)の導入を検討していた。当時、早期警戒管制機と呼べるものはE-3以外になく、自衛隊内部でも早期警戒管制機と言えばE-3のことと解釈されていた。しかし、E-3は1976年、すなわちヴィクトル・ベレンコ中尉の亡命事件があった年に開発が終了したばかりであり、アメリカが開発したばかりの最新鋭機を日本に輸出するとは到底考えられなかった。仮に、輸出そのものは承認されたとしても、アメリカ空軍への調達が最優先され、日本の自衛隊のために生産ラインを割く余裕がないことも想像に難くない。

このように、E-3を入手できるのが何年後になるかわからない状態にあって、一刻も早く早期警戒機を導入したい日本は、すぐにある程度の数を揃えることができるE-2を調達することにしたのである。結果として、やむを得ない事情はあったものの、防衛庁(現在の防衛省)は一度、早期警戒管制機は日本の防空に不適との判断を下していたのである。このとき、防衛庁は、『早期警戒機の導入について』という文書の中でE-3の導入を不適とする理由を次のとおりとしている。

1. (E-3は)本来、戦術統合作戦の指揮統制用のものであり作戦司令部戦闘指揮所等への代替機能を含むものであるため、低空侵入への対処という限定された運用要求を遙かに上回るものである。
2. 重量約150トンという大型ジェット機であるため、飛行場の施設等に大幅な改修を必要とする。
3. E-2CとE-3Aの単価を比較した場合、初度部品を含み、E-2Cは約86億円、E-3Aは約296億円で、E-3AはE-2Cに比較して遙かに高額である。

実はこの後も、防衛庁は早期警戒管制機の導入に関する検討を続けており、1992年(平成4)12月16日に平成5年度予算概算要求の追加要求に関する文書で、早期警戒管制機の必要性を次のとおりに述べている。

1. 専守防衛を旨とする我が国にとって、情報収集機能の一環として早期警戒監視機能の充実は有事・平時を問わず極めて重要。このため中期防衛力整備計画(平成3年度~平成7年度)において、早期警戒管制機を4機整備することとしている。
2. 早期警戒管制機は、その優れた航続性能及び警戒監視機能等により、広範な履域を有しており、計画的な哨戒等を実施できることで我が国周辺の海空域における情報収集に大きく寄与するものである。
3. また、ミサイル性能の向上等の航空軍事技術の趨勢(すうせい)から、相対的に脆弱性を増しつつある地上の警戒管制組織に加え、残存性の優れた空中警戒管制機能を保有することが求められている。

ここで注目すべきは必要性の3番目の文で、不適と判断されたときには指揮能力は過剰な能力であり不要であるとしていたにも拘らず、軍事技術の進歩を理由に空中指揮能力を保有することも必要と説いている(もっとも、あくまで指揮の主体は地上の警戒管制組織であり、早期警戒管制機による指揮はやむを得ない場合における補助的なものであるとの意味合いを残してはいる)。上述のように、E-3を不適と判断したのはやむを得ない事情があったためではあったが、過去の判断を覆す形になってしまうため、何かしらの理由をつけなければならなかった防衛庁の苦心がうかがえる。

また、E-3が不適とされた理由のうち、E-2Cより遙かに高額であるとの理由は、結果としてE-3の倍近い調達費(後述)を要するE-767を購入することになったことで覆されている。他にも既に導入されていたE-2Cの運用との兼ね合いなどの問題もあったが、ここでは割愛する。このように、様々な紆余曲折をたどりながら、発端となった亡命事件から約20年の後、航空自衛隊は早期警戒管制機を導入することになったのである。

調達

1991 年(平成3年)までは、一般の航空雑誌にも「航空自衛隊は、E-3 AWACSを装備する」とされており、予算が承認される直前まで防衛庁もE-3の導入を念頭に置いていたことがうかがえる。しかし、同じ年にE-3の母体となるボーイング707型機の生産が終了してしまったことから、防衛庁は平成4年度予算での発注をいったん見送った。翌1992 年(平成4年)にボーイングが提案したボーイング767型機の改造機“767 AWACS”を採用することとし、平成5年度予算で2機(1,139億6,100万円、1機あたり569億8,000万円)、平成6年度予算で2機(1,080億9,600万円、1機あたり543億4,800万円)の計4機を発注した。防衛庁の文書でも示されていたように、E-2Cは約86億円、E-3Aは約296億円であり、E-767はそれらよりもはるかに高額(E-2C の約6倍、E-3の約2倍)であったが、当時の大蔵省(現在の財務省)は一切予算を削減せず、防衛庁の言い値で調達費を承認した。これには、極端な対米貿易黒字に悩む当時の大蔵省の、日米貿易不均衡の是正を少しでも進めたいという意図が絡み、対米的な配慮も含む政治的な側面を含んでいる。

なお、ボーイング767の製造は日本企業が全体の15パーセントを担当しているため、ただ購入するだけとなるボーイング707と違って日本企業にも調達費の一部が環流されたことになる。

調達は2段階にわけて行われた。第1段階として日本政府がボーイングからボーイング767型機を民間機として購入し、第2段階としてFMS(対外有償軍事援助)によってAWACSに改修された。FMSが必要なのは、AWACSとしてのシステム化、完成した機体のシステム・チェックなどにはアメリカ空軍の協力が必要であるためである。実際の作業としては、まず、ワシントン州エバレットの工場で基本となるボーイング767を建造する。完成した機体はカンザス州ウィチタにある改修センターに送られ、機体構造改修が行われる。再びワシントン州エバレットに戻され、ロートドームの装備などが行われた後、ワシントン州シアトルのボーイング・フィールドで飛行試験が行われた。この作業が終わった段階で、伊藤忠商事を通じて航空自衛隊に引き渡しとなった。

ここからはFMSであり、機体はアメリカ軍に渡されミッション機材の設置と試験が行われた。最終飛行試験は再びボーイング・フィールドで行われ、最終引き渡し形態として航空自衛隊に納入された。

配備

1号機は767本体が1994年(平成6年)10 月4日に初飛行、レーダーシステムを搭載した完成機体が1996年(平成8年)8月9日に初飛行し、1998年(平成10年)3月に航空自衛隊へ納入された。同年4月に浜松基地に導入した、E-767は 航空開発実験集団隷下飛行開発実験団で「E-767運用試験隊」を編成し、約1年にわたる運用試験を経て4機のE-767は1999年(平成11年)3月に警戒航空隊第601飛行隊に配備され、新たに第2飛行班を新編し、警戒航空隊の空中警戒管制隊配属の隊員によって運用されることになった。

2005 年(平成17年)3月31日より第601飛行隊・第1飛行班と第2飛行班の両者は統合され、E-767は警戒航空隊・飛行警戒管制隊(浜松基地)となった(E-2Cは警戒航空隊・飛行警戒監視隊で三沢のまま)。浜松基地は、一度はE-3が不適と判断された理由のひとつにも挙がっていた施設等の改修が必要となり、全備重量170 tを超えるE-767を受け入れるために滑走路を補強している。また、IRANと呼ばれる2~3年に一度のオーバーホールや航空自衛隊で処置できない機体修理は川崎重工業が担当しており、岐阜基地に隣接する川崎重工業岐阜工場(航空宇宙カンパニー)で行われる。

機体

E-767の特徴について次に述べる。本機に関しては警戒監視、情報収集及び指揮管制という任務の性質上の理由から機密情報が極めて多く、外装に関連する情報は比較的豊富だが、機体内部に関する情報は非常に乏しい。

ベース機体

機体はボーイング767-200ERをベースにしており、ボーイング方式の詳細な形式では「ボーイング 767-27C ERの改造機」という位置づけになる。形式に含まれる「7C」は日本政府が顧客であることを示す。ボーイング707をベースとしているE-3と比べてキャビンの床面積が約1.54倍(E-3 = 1,080 ft²、E-767 = 1,667 ft²)、容積が約2.1倍(E-3 = 7,190 ft³、E-767 = 15,121 ft³)あるため機内の移動も容易で居住性は良いとされる。機体内部の機器群は機体前方に集められているため、機体後方は乗員の休憩又は長時間ミッションのための交代要員の控え室として使用でき、ギャレーやラバトリー(トイレ)もある。なお、ラバトリーは操縦席後方左舷にも設置されており、計2カ所となっている。

外見的特徴

機体全体がグレーに塗られ、形状はボーイング767-200ERとほぼ同じであるが、胴体には窓が一つも無い。これは、キャビン内部は電子機器類で占められているため旅客機のような窓は必要ないことと、自身のレーダーをはじめとする各種の無線設備が発射する強烈な電磁波から電子機器と乗員を防護するためである。また、胴体上部に円盤型の直径9.14m、厚さ1.83mのロートドームが装備されている点が大きな特徴である。ボーイングは当初、ベントラル・フィンを装備することを検討していたが、ロートドームの装備による空力変化は軽微と判断され、装備されなかった。

胴体の長軸に沿って胴体上下に無数のUHF及びVHF通信用ブレードアンテナが配置されている。また、両主翼端に機体後方へ突き出した棒状のHF通信用プローブアンテナが配置されている。他には、JTIDS(統合戦術情報伝達システム)アンテナが機首レドーム内と胴体尾部上部にコブの様に設置されているフェアリング内にある。なお、E-3セントリーは片翼に2発ずつ、両翼で4発のエンジンを搭載するが、E-767は民間のボーイング767と同じく片翼に1発ずつ、両翼で 2発である。

エンジン

エンジンは、ゼネラル・エレクトリックのCF6-80C2B6FA高バイパス比ターボファンエンジン2基である。高出力のレーダーと機体内部の機器群の電力をまかなうために、各エンジンの発電機が90 kVA・1基から150 kVA・2基に換装されている。これによって両翼エンジンの発電力は合計180 kVAから600 kVAに引き上げられた。これに、APUの発電力90kVAを合計すると総発電力は690kVAとなる。

ロートドーム

ロートドームは、警戒監視中では毎分6回転(10秒/回転、毎秒36度)で回転しており、 360度全周にわたってレーダーの電波を放射している。離着陸時など警戒監視中以外では、ロートドームの基部にある軸受けにオイルを循環させるために毎分 1/4回転(4分/回転、毎秒1.5度)で回転している。このときは電波を放射しない。

ロートドーム内にはAN/APY-2のレーダー・アンテナとそれと背中合わせにMk.XII敵味方識別装置(IFF)のアンテナが納められている。したがって、レーダー・アンテナからの電波とIFFの質問信号はちょうど180度反対の方向に放射されることになる。また、レーダー・アンテナはフェイズド・アレイ方式であり、機体の傾きを検出して走査を自動的に補正する機能を備えている。

同様のロートドームを搭載しているE-3の開発中、このロートドームは抗力となって飛行に影響を与えるのではないかと考えられていたが、独特の形状のためにむしろ揚力を発生し、巡航速度と航続距離の低下を最小限にできたと言われている。お、ロートドームから放射される電波は非常に強力であるため、地上で駐機しているときには管轄省庁の許可なく電波を放射することは法令により禁止されている。

レーダーシステム

レーダーシステムはE-3最終型と同様のウェスティングハウスAN/APY-2が搭載されている。これは他機の方位、距離、高度を同時に測定できる3次元レーダーで、同社のAN/APY-1と比べて洋上監視能力が強化されている。 AN/APY-1及び-2はともにパルス・ドップラー・レーダーであり、前出の探知諸元のほかに速度も測定できる。また、AN/APY- 2は自由に設定を変更できるマルチ・モード・レーダーであり、他のレーダーではその能力を制限されてしまうグラウンド・クラッター及びシー・クラッターを排除し、空中及び水上の目標を分離できる。クラッターとは、レーダーから送り出された電波が地表面や海水面に反射してしまうこと。通常のレーダーでは、上空から低空を飛行している航空機を監視しようとしても、航空機からの反射波が大量のクラッターに埋もれてしまう。特に波の高い海面のシー・クラッターは深刻である。

E-3の初期型に搭載されていたAN/APY-1も空対空監視ではAN/APY-2と同等の能力を有しているが、洋上監視に強いAN/APY-2は国土が海で囲まれている日本の航空自衛隊にとって大変好都合である。国内における整備は東芝が主担当となっている。

電子装備

レーダーで獲得した情報はE-3ブロック30/35準拠CC-2E中央コンピューターによって処理され、14台ある状況表示コンソールに表示される。他に敵味方識別装置、戦術データ・リンク装置、航法装置が設置されている。なお、将来のアップデートにも対応できるように、機内は余裕を持たせて機器群を配置し、機体後部の15,000 lb(約6,800 kg)もあるロートドームとのバランスをとるために機体前方に集められている。

武装

警戒監視が主任務であるため固定武装はなく、外部兵装も装備できない。

その他

将来の空中給油のための配管などの準備がされており、簡単な工事によってKC-767空中給油機などからの空中給油が可能となる。

仕様

諸元

* 乗員: 操縦士2名、機器操作員19名
* 全長: 48.51 m (159 ft 2 in)
* 全高: 15.85 m (52 ft)
* 翼幅: 47.57 m (156 ft 1 in)
* 翼面積: 283.3 m2 (3,050 ft2)
* 水平尾翼幅: 18.62 m(61 ft 1 in)
* ホイールベース: 19.69 m(64 ft 7 in)
* ロートドーム直径: 9.14 m(30 ft)
* ロートドーム厚: 1.83 m(6 ft)
* 空虚重量: 132,903 kg (293,000 lb)(推定)
* 最大着陸重量: 144,242 kg (318,000 lb)(推定)
* 最大離陸重量: 174,635 kg (385,000 lb)
* 動力: GE CF6-80C2B6FA ターボファン, 273.6 kN (27,900 kg) (61,500 lb) × 2
* 燃料容量: 91,378 L (24,140 gal)(推定)

性能

* 最大速度: 800 km/h以上 (432 kt以上)
* 巡航速度: 722 km/h (390 kt)
* 航続距離: 10,370 km (5,600 nm)
* 実用上昇限度: 10,360 m - 12,222 m (34,000 ft - 40,100 ft)
* 連続警戒滞空時間
    o 進出半径1,000 nm: 9.25時間
    o 進出半径300 nm: 13時間

武装

* 搭載不可

さらに詳しく → E-767  早期警戒管制機



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(2007/06)
菊池 征男

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